かわいそうなシンデレラ。今日、魔法使いはお休みなんですよ。
灰かぶりと呼ばれた女性がおりました。
若くして母親を失い、不憫に思った父親は再婚して新しい母親を見つけてきました。新しい母親とその連れ子はとてもシンデレラを可愛がり、シンデレラと父親は安心しましたが、その父親も程なくして亡くなりました。
そして新しい母親とその連れ子は豹変しました。
それまでの可愛がりが嘘のように、シンデレラに冷たく当たり、キツい仕事を平気でさせます。シンデレラは着る服もボロボロで食べ物も僅かしか与えられず、毎日を馬小屋で過ごしました。
ある日のこと、母親と姉達が慌ただしく支度をしていました。
いくつものドレスや宝石を出しては着て、着ては出してを繰り返し中々に忙しい様子です。
「シンデレラ! 今日はお城で舞踏会があるから私達は出掛けるけれど、お前はいつも通りキチンと仕事をするんだよ!」
母親と姉達が馬車でお城へと出掛けて行きました。シンデレラは窓から外を眺め、見たことの無いお城と舞踏会の事を考えていました。
「あーあ、私も舞踏会に行きたいなぁ~」
シンデレラがホウキをグリグリと動かしながら、大きなため息をつきました。
しかしその声に応える者はおりませんでした。
何故ならその日、魔法使いは休みだったのです。
「あーあ、私も舞踏会に行きたいなぁ~」
シンデレラは諦めていつも通り仕事に精を出しました。
「……こっそり行っちゃおうか♪」
シンデレラはホウキを投げ捨て姉達の部屋へと向かいました。
姉達のドレスを当ててみますが、どうにもイマイチピンときません。
「なーんか悪趣味なんだよねー」
シンデレラはいつも通りボロ服を着たままメイクを始めました。
しかしメイクをしたことの無いシンデレラは、たちまち変な顔に早変わり。
「プププ……誰コレ?」
結局メイクを落としていつも通りの灰かぶりのまま出掛けました。
踵が取れそうな靴で走り、夜も更けた頃、シンデレラはようやくお城へと辿り着きました。
「待て!」
お城の見張りがシンデレラを止めました。
「あら、舞踏会が終わっちゃうわ。早く中に入れてよ」
「その様な見窄らしい格好の女を中に入れる訳にはいかん!」
その言葉にシンデレラは頬を膨らませて怒りました。
「あら? 舞踏会は踊る所よ? なんなら貴方もその格好で参加なさっては?」
シンデレラはその場で見張りと踊り出しました。
最初は戸惑っていた見張りも、シンデレラとのダンスに次第に気分が乗り始め、気が付けばお城の中へと進んでいました。
見張りと見窄らしい格好の女性が踊りながら現れ、お城の中がザワつきます。見張りが我に帰り持ち場へと逃げると、シンデレラは毅然とした態度で王子様の前へと進みました。
「どうか私と踊って頂けませんか?」
王子は笑顔でシンデレラの手を取りました。
そして踊り始めると、王子は楽しくなり、シンデレラの事が気になり出しました。
「君はいったい…………」
シンデレラは名乗ること無く、自分の履いていたボロボロの靴を片方差し出しました。そしてお城から走り去り、追い掛けてくる王子を振り切っていつもの馬小屋へと帰りました。
程なくして王子が人捜しをしているとの噂がシンデレラの耳に入りました。どうやら女性のようです。
シンデレラの家に、王子がやってきました。
「この靴が似合う女性を探しています」
母親と姉達はボロボロの靴を見て嘲笑い、試しに履いてみるも直ぐに脱いでしまいました。
「こんな汚い靴ならシンデレラにお似合いでしょうよ!」
母親と姉達が酷い笑い声でシンデレラを指差します。
「貴女もどうぞ試して下さい」
シンデレラがその靴を履いてみると、案の定ピッタリでよく似合いました。そして無言でもう片方を取り出し履きました。それを見た王子はとても驚きました。
「貴女があの時の……!!」
王子はシンデレラの前に跪き、手を差し出しました。
「どうか私と結婚して頂けませんか!?」
シンデレラは無言でその手を取りました。結婚の成立です。
「はい、喜んで」
母親と姉達が何やら叫き散らしながら地団駄を踏んでいますが、シンデレラの耳には届きません。
王子は一つ聞きました。
「どうしてあの時走り去ったのですか?」
シンデレラは笑顔で答えます。
「こう見えて私も女の子の端くれですから、ぜひ王子様には迎えに来て欲しいのですよ? フフッ♪」
灰かぶりの強さが功を奏したお話しでした。
読んで頂きましてありがとうございました!
(*´д`*)




