昼の集い
これって二次創作なのかな?
『ハーメルンの笛吹き男』
これはグリム童話に出てくる物語の一つである。
ネズミの害で悩まされていたハーメルン村に色とりどりの服を着た男が現れて「報酬を出すのならネズミを退治しよう」と言う話を村人に持ちかけ、笛を吹いてネズミをヴェーザー川まで連れていき溺死させて依頼を終わらせた。
だが、依頼を受けて正当な報酬を村人たちから笛吹き男は貰おうとしたが、村人たちは拒否した。
激怒した笛吹き男は捨て台詞を吐いてハーメルンから出ていき、翌日の朝、町人たちが教会に言っている間に戻り、笛を吹きながら歩くと、ネズミではなくハーメルンの子供達、計130人が笛吹き男に着いていき、市外の山腹にある洞穴の中に入り内側から岩で塞がれてしまい、二度と帰ってくる事がなかった。
『困っている事があれば冷静に考えよう。』『自分達だけの都合で自然の摂理に反してはならない。』と言う教訓を描いた作品だが、これには元ネタがある。
それは1284年、ヴラウンシュヴァイク公家のアルブレヒト1世を領主とするハーメルンで起きた子供達の失踪事件である。後生のハーメルン村に作られたマルクト教会のステンドグラスの説明によれば『1284年、ヨハネとパウロの記念日、6月26日、色とりどりの衣装を着飾った笛吹き男に、130人のハーメルン生まれの子供達が誘われて、丘近くの処刑場で姿を消した』と書かれている。
自然災害、黒死病、十字軍、開拓者……様々な考察が現代でも続けられている。
だが、違う。似ているものもあるが全て違う。
今から語られるのはハーメルン伝説の真実である。
=☆=☆=☆=☆
「ぶえっくしょん!!」
うう……誰か噂しているのかな?
取り敢えず、服を着て早く家の手伝いに行こ……
「アドルフ!早く来なさい!」
「分かってるよ!」
くすんだ金髪を適当に縛って、手作りの服を着てっと……。さて、行くか。
「アドルフ!パンを食べてさっさと行きなさい!」
「分かってるって!」
全体的に太い母から黒パンと水筒を貰ってさっさと家から出ていく。
俺が住んでいるこの町の名前はハーメルン。幾つもの丘に囲まれた小さな町だ。水流もあり、教会もあり、産業や経済的にも恵まれた地域である。
なぜ、これ程までに冷静に判断できているかと言うと、俺は教会にある牧師の聖書を勝手に読んで文字を覚え、教会に置かれている聖書以外の本を読んだけである。
(文字なんて、幾つかの記号を繋げたりして単語を作り、並べ方で熟語を作り、それを組み合わせれば簡単に読める。)
無論、ここまで行くのに数年も掛かった。何せ、放牧している羊の世話をしたりして時間がなかったし、書かれていた文字が普段見かける文字と違ったりして苦労した。
まぁ、結果として子供だけど文字を読めるようになったけど。
さて、そんなことりより仕事仕事っと。
=☆=☆=☆
「暇だなぁ……ふわぁ……。」
暇。本当に暇。暇すぎてあくびが出るよ。
羊を放牧している囲いから出ないように見張ったり、狼をいち早く見つける為に木の上いるけどさ……基本的にそんな事は無いから暇なんだよね……。
こんな時に聖書でも読んでいれば時間を潰すことが出来るだろうけど……そんなの出来ないし俺は俺でキリスト教の洗礼を受けたけど、心の中ではキリスト教を信仰していないし、ここで聖書を読む気になれない。
仕方ない、親父が来るまで惰眠でも貪っていよっと。
「アドルフ~!一緒にご飯食べよー!」
「アドルフお兄ちゃんー!降りてきてー!」
……人が時間を潰すために昼寝しようと思っていたけど、木の下で金髪と茶髪の同年代くらいの少女二人が来たし、降りるか。
「アドルフ、また木の上で監視していたの?」
「もー、アドルフお兄ちゃんだめだよそれ。」
「ちゃんと監視しているからいいじゃんかアドルフォにヨハナ。」
呆れている二人には悪いけど、あまりにも暇なんだから仕方ないじゃん。
金髪で穏やかな口調をしているの方はアドルフォで茶髪で俺に何故か懐いている方はヨハナ。二人はこの町で商人をしている親がいてそれなりの権力がある。また、自分たちを親が花よ蝶よと育てて自分に縁がある貴族の妾にしようとしているらしい。
商人にとって横の繋がりは重要だし仕方ないけど、二人ともそれを嫌がっているから諦めて貰いたい。
「さて……そう言えば、例の作戦はどうなっているんだ?」
「うん。みんな賛同しているよ。今日の夜にみんな抜け出して処刑場に一回集まるわ。」
「分かった。」
計画について少し情報を貰い、固い黒パンを食べる。
『作戦』とは、アドルフォと俺などの年長者が中心になって立てている脱走計画である。
今、この街は人口が過剰に多くなっている。これでは貰える金も入手できる食料も足りない。このままではまともに金も貰えず食にありつけない可能性も出てくる。脱却するにはこの街を出て新天地に行くしかない。
新天地に向かう旅路には危険がつきまとうが子供達132人のみんな同意しているが、耳が不自由な奴や目が見えない奴は置いていくため実際には130人が脱走する。
今日の夜、数日後に控えた実行の為にそれぞれが道具を持ち出して隠し場所である処刑場に置くのだ。あの辺りはあまり人がこないし良い場所である。
「取り敢えず、飯を食おうぜ。」
「うん!」
「よしよし、ちゃんと食べろよ。ほれ、お兄ちゃんの分もあげるよ。」
「ありがとうアドルフお兄ちゃん。」
「はぁ……。」
元気の良いヨハナの頭を撫でて自分の分の黒パンを上げて自分も黒パンにかじりつく。
何としても、計画は成功させないとな。