2度目のおはようございます
―――起きた瞬間、心臓が止まるかと思った。
目が覚めたら知らない天井でした…ということもなく。
見慣れたとは言えないけど、前も見た豪華なベッドに装飾の施された部屋。うん、それはいい。
…目を開けたら視界いっぱいに人の顔があったら誰でもビビるよ!身体がビクン!ってなったよ!
けどまぁ…不安気だった表情がほっとしたように緩んでいき、瞳が潤んでいくのを見たら…あー、僕がビビったのなんて些細な事だよね、うん。
「えっと…おはようございます?」
なんだか間の抜けた挨拶だけど、起きたばっかりだし時間もわからないし許して欲しい。
「ええ…おはよう。けど、5日も寝ていたのよ?随分と豪快な寝坊だったわね。」
安堵の表情で目尻に涙を浮かべているのは母のレイラ。
プラチナブロンドの髪をもつ、まだ20代と言っても通用しそうな美貌だけど、心労からか少し隈が見える。父も似たような状態だ。
「ご心配をかけたようですみません、母様、父様。」
「いやいい。無事に起きてくれてなによりだ。」
…なんか普通に父様母様とか敬語で話してるな。思考と口調がずれてる…?
けど、不思議と身体に染み付いているかのように違和感がない。
「フローラお嬢様は…お身体平気ですか?お怪我はありませんでしたか?」
涙目になっていたフローラお嬢様に顔を向ける。
思い出した。2人で一緒に書斎へ本を運んでいた際に彼女が階段から足を踏み外し、咄嗟に腕を引いて…支えきれなくて一緒に階段から落ちてしまったんだ。
咄嗟に自分が下になって彼女を庇った事は『僕』にグッジョブ!と言いたい。
「フローラ姉様は大丈夫よ。少し足を捻ったのと擦り傷くらいで、この通りピンピンしてるわ!」
とアリサお嬢様が言ってくる。
ああ…庇いきれなかったか。まだ僕の身体の方が小さいししょうがないのかもしれないけど…やっぱり申し訳ないな。
「そうですか…庇いきれなくてごめんなさい、フローラお嬢様。」
「そんなことない…そんなことないわ!助けてくれてありがとう、ハルくん…!」
身体を起こしてフローラお嬢様に謝ったら、ぎゅっと抱き着かれてお礼を言われた。
あの…嬉しいしすごく良い匂いがしてドキドキするんだけど、周りに人がですね!?
読んでくださりありがとうございます。