ベータテスト開始直前
そしてベータテスト開始日になった
開始時間の1時間前だが期待感がヤバい。
この一週間ポチったアスレチックと弓のゲームは意外と面白く難しかった。
まずアスレチック、子供向けの物から大人用のハードな物まであり、リーマンからニートになった俺には最初はきつかった。
目標タイムがあり、ステージクリアするには駆け上がり止まらずに次の物へといった風に行くしかなく、遊びではなく競技のようだった。
現実でやったらなら筋肉痛待ったなしのハードな競技だ。
製作者が遊び心とできるならやってみろという感じで作った、○リオのステージは意外に怖かった。
あんな強靭なジャンプ力のない俺は、走って飛んでふちをなんとかつかみよじ登り、数メートル幅の穴を飛び越える。あの有名な1面をクリアするのにもかなりの時間がかかった。
弓のゲームはインストラクター役の子が可愛く癒されながら学べた。
ショートボウと呼ばれそうなものからアーチェリー、和弓や大弓、変わり種でバリスタまで用意したあったのには製作者の熱意を感じた。
最初は的に当てるのにも苦労したが、筋肉痛もなく続けられるので流鏑馬や、動く的を狙うサバイバルモードなどで、狐狩りのようなこともでき楽しかった。
だが最後の方に解禁された弓兵に成ってみようには手が震えた。
数百から数千の人が駆けてくる中、敵兵を引き付けてから撃つのだが、一秒が永遠に感じるほどの恐怖があった。
戦いは数だよ兄貴!と言っていたが、群衆が自分の方に向かって走ってくる恐怖は、本当に尻尾まいて逃げ出したくなるものだった。
戦国時代を生き抜いた武将や侍、駆り出された百姓の人には尊敬の念とともに、こりゃ逃げる奴もいるわなと納得した。
そんなこんなで予習は完璧と言えるだろう。
いや思いたい…
一週間の思い出に浸っていると開始十分前になっていた。
VR空間の和室に入りゲーム開始の画面を出してじっと待つ。
そして開始5秒前、俺はスタートボタンを連打した。
分かってもらえるだろうあの急いでる時にボタンを連打したくなる気持ちを。
視界の端にあるデジタル時計の数字が切り替わりベータテストがスタートした。
いまだに主人公の名前すら出ていない…