確かに事の発端は僕かもしれない。
「…あのさー。あのサイトのダークライトっての、ほんとはチームなんだろ?」
誰かがそう言った。
すると、あちこちから会話が聞こえてきた。
「あー…。俺もよく知らないんだけど、そのサイトって完全会員制で、チームに入ってるやつしか入れないんだろ?」
「あたし、知り合いにダークライトのメンバーってやついるんだけど、なんかよくわかんないって言ってたなぁ。」
「あたし、彼氏がダークライトなんだ!」
「なんかさー。知らないところからメールが送られてきたらしいよ?」
教室が騒がしくなった時、帰りのHRを知らせるチャイムが鳴った。
とたんに辺りが静まり返る。
帰りのHR
「えー。最近は危ない事件が多発しているので、気をつけるよーに。」
と先生から指示があった。
たぶん半分も聞いていないのだろう。みんな視線が下を向いていた。
チャイムとともに、学級委員が号令をかけた。
「きりーつ。礼。」
そして、みんながぞろぞろと扉に向かって足を進める。
何人かのグループみたいなやつらは、溜まって何か話をしていた。
少し聞いていた限りでは、どうやらさっきのダークライトについて話していたようで、みんな少しばかり興奮していた。
「なーなー朝陽河~。さっきみんなが噂してたの聞いてたか?」
少し興奮気味で、僕に話しかけてきたこいつは、僕の親友の有巣革 鏡磨。
「あぁ。妙に騒がしかったから、僕にもちゃんと聞こえていたさ。」
ちなみに、僕こと朝陽河 拓都は、この学校一と言っていいほどの平平凡凡な生活を送っているお気楽主義者の人間だ。
「…でさ、実は俺、ダークライトのメンバーだったりするんだよなぁ。」
それもそのはず。
なにせお前にダークライトを教えたのは俺だからな―…。
と危く口にしてしまいそうだったが、言いたい気持ちを抑え、僕は冷静に対処する。
「へぇ。すごいねぇ!…んで、どーやってメンバーになったんだい?」
知ってるけどそこはあえて質問してみる。
鏡磨もまさか僕がメール発信者なんて気づかないだろう。
「ある日突然メールが送られてきてさ。そこにURLとパスワードが書いてあるわけよ。暇だったから面白半分でアクセスしたら、ダークライトっていうサイトで、グループ名でもあるって知って…。」
そこから大半の話は、僕がほとんど知っている内容だったため、聞き流してしまった。