ボスの間
「よかった、生きていてくれていた・・・」
俺はアスカとの再会に思わず涙を零しそうになったが、なんとか耐え言葉を繋いだ。
「あの、助けてくれてありがとう。」「どうもいたしまして。それより今のどういう意味?勝手に殺さないでください。」
アスカは俺の顔を覗き込んで問いかけてきた。その顔には多少の怒りが含まれていたが、またアスカの顔が見られた嬉しさを感じ、今度こそは必ず守ると決意を固めた。
「はは、気にしないで。アスカ、話がある。俺と_____。」
俺の、勇気を振り絞ったパーティーを組んで欲しい。という問いかけは見事に「休憩終了」の号令にかき消されてしまった。俺がもう1回伝えようと口を開くと
「カイト君、早く行くよ!!」
とアスカは俺の手を握り、中央を指で指しながら俺を引っ張っていってしまった。アスカはそのまま俺の手を掴みながら中央に向かって走っていった。俺もアスカに引っ張られる形で走っていった。
「これから進軍を再開するが、その前に皆に伝えることがある。」
と今回の作戦の発案者であり、これだけの人数を集めた【シンラ】と名乗る大柄の男は周りを見回し、頭をさげた。
「この休憩中、此処を住処とする巨大なオークに襲われるというハプニングが起こった。幸い死人は出なかった。それも2人の勇者のおかげだ。カイト君、アスカさん、ありがとう。」
周りから大量の拍手や歓声が沸きあがる。俺とアスカは顔を合わせ微笑み会った。アスカの笑顔はとても輝いていた。
俺たちは進軍を再会してから約1時間後、大きく分厚い扉の前に立っていた。あれ以降、敵には遭遇せず順調に進んでいっていた。きっとこの扉の奥には・・・
俺は唾を飲み込んだ。体中に鳥肌がはしる。それは全員が同じだった。皆お互い顔を会わせそれぞれ覚悟を決めていた。
「これより、この奥にいると思われるボス攻略を開始する。」
大人数で扉を押すと、ゴゴゴッと扉が開いていった。中は真っ暗でモンスターがいる気配はない。俺たちが恐る恐る中に入ると、ボボッと部屋を囲むように青白い火がつき部屋を照らした。
「どうなっているんだ・・・」
俺たちの前に広がっていた光景は、大きな部屋とその奥に不気味な祭壇があり、そこには大きな十字架とワープホールのようなものが置いてあった。肝心のボスの姿は見当たらない。
突然、俺の隣にいた男が倒れた。体には肩から腰かけて深い傷跡があり、男はそのままポレゴンとなって跡形もなく消え去った。俺はその原因を見てしまっていた。頭上から巨大な釜のようなものが振り下ろされていたのだ。それもとても高速で・・・
「上だー!!ボスがいる!!!!」
俺の必死の声とボスが俺たち目掛けて落ちてきたのは全く同じタイミングだった。ほとんどの人はその場をとっさに回避したが、何人かは逃げ切れずにいた。その中にはアスカの姿も・・・
「アスカーッッ!!!!!」