始まりの先に見えるもの
あの日のことを俺は永遠に忘れないだろう。あの日、俺はこの世界に迷い込んだ・・・
ここ数日で日本中にある噂が脅威の早さで流れていた。それは、
「元旦の深夜12時に2nd worldというサイトに夢を書き込むと、その夢が叶うサイトがある。」
というものだった。そのサイトの名を知らない人はいない。とまで言われているVRMMORPGで有名な会社【ワンダー】の公式サイトであり、世界からも注目されている、最近急上昇中の会社だった。
中3で受験生だった俺は、志望校に合格できるかどうかのギリギリの学力だった。噂を聞いたとき興味をもち、元旦の12時に願いを投稿しようと思った。
いま考えればおかしな話だ。【ワンダー】が夢を叶えれるはずがないじゃないか。あのときだって、所詮、噂だって分かっていた。だが、それに頼るほど俺はギリギリの場所にいた。
【受験で合格し、そして憧れのあの娘と付き合えますように・・・】それが俺の願いだった。
噂通り、【ワンダー】では、あなたの努力次第では願いを叶えます。という広告とともに、リンクが貼ってあった。
俺は、そのリンクから別のサイトに移動し、用意されていた掲示板に夢を投稿した。
「送信しました。」の文字が表示された瞬間、画面がフリーズし、そして消えた。そこには漆黒の暗闇だけが写しだされていた。突然、画面に白い文字が浮かび上がってきた。
「あなたの願いは受け付けました。あとはあなた次第。健闘を祈ります。」
突然、画面から大量の光が放出され、俺は気を失ってしまった。
目を覚ますと、そこにはRPGでよくある、城下町のような大きい街だった・・・
その街の真ん中に俺は立っていた。そしてそれは俺だけではなかった。
周りを見回すと、そこには俺と同じように、何が起きているのか分からない。という顔をしている人が数えきれないほど集められていたのだ。
そして、空からローブで全身を隠した男と思われる奴が現れた。そして・・・
俺は、ここまで思いだして深い溜め息を吐いた。昨日この世界に来たというのに、ずっと昔からこの場所にいた感じがする。
すこし肌寒い風が、この世界は現実じゃないのか?と疑問に思わせる。それくらい、この世界は現実と変わらないのだ。モンスターの存在だけがこの疑問を打ち消してくれていた。
俺は立ち上がると、目の前にいる可愛らしいモンスターに標準をあわせた。モンスターとの戦いは死と隣合わせだ。見た目で判断してしまうと命を落とす結果になってしまうだろう。俺は右手を腰の剣の柄えと移動させた。
突進してきたモンスターを左に回避した。モンスターは方向を転換すると、またこちらに向かって突進してきた。俺は深呼吸をし、敵の動きに合わせ剣で斬りつけた。俺の剣は見事モンスターの急所を捕らえ、そのまま真っ二つに切り離した。
モンスターは奇声を発した後、ポリゴンの欠片となり砕け散った。
目の前に画面が現れれ、経験値やこの世界の金貨であるゴルド、ドロップアイテムの獲得情報が表示された。
俺は力を抜き、剣を鞘へ収めるとその場でしゃがみこんだ。戦闘は激しく体力を消耗させる。そのため、連戦は死の危険を数倍に高める。だが、戦わないとレベルも上がらずクリアは難しくなり、またレベルが低いと死の危険性も高くなる。
俺は街に帰ろうと、歩いていると前方にたくさんの人が集まっている。
覗いてみると、そこには憧れの人が、大量のモンスターを1人で相手にしていた・・・。
今回も読んでいただきありがとうございます。そして次回も読んでください!!
次回は、憧れのあの人とのやりとりをメインに構成していく予定です。次回もよろしくお願いしマース!