UHS #2「感情というバグ」
#1を先に見ることを推奨します。
私「今日も出勤です!!」
ここは、UHS(以下略)。亡くなってしまう人の願いを叶えます。
少し曇った、今日この頃だ。
さて、今日のサービスをお話しましょうか。
本部「今回の現場はここだ。」
私「ここですか...」
そこには、近未来的な世界が広がっていた。
目まぐるしく動き続ける機械たちは、見ていると目が回ってしまいそうだ。
青く淡い色をした道を、私は歩いていった。
本部「ついたぞ。」
私の前には、豪邸が立ちはだかっていた。窓から様子を見て、私は言った。
私「今回はあの紳士が亡くなってしまうんですね...」
やっぱり、こんな事実を目の前にすると、眼が熱くなってくる。それを私は必死にこらえた。紳士は、とても爽やかな顔をしていた。あんな人が亡くなってしまうとはとてもじゃないが思えなかった。
本部「いや、今回はその隣にいるあのロボットだ。」
私「え?」
安心した自分を恥じた。ロボットも一種の命じゃないか。なんで安心しているんだ?私は。
本部「人だけが命だと思うなよ。」
私「...はい!!」
ロボットをよく観察してみた。よく見ると、一部一部に細かい、深い傷が入っている。とても精巧に作られている。
でも、彼は自分の死を自覚しているように、まるで、人間のような悲しみをもっていた。
...紳士は出掛けたようだ。よし。この間に...
私は思いきって部屋に入った。
私「最期の願い、叶えます。何でもお申し付け下さい。」
ロボット「無理です。私は最期まで主に貢献して、自由のないまま死ぬんです。」
私「本当にそれが、あなたの本音ですか?」
ロボットはしばらく黙ってから、重くこう言った。
ロボット「...はい。」
私「本当にそんなんでいいんですか!!!」
気づくと私は激怒していた。最期を向かえる人に対して、あるまじき行為だ。それでも私は続けた。
私「あなたにはあなたの命があるんです!!だれにも権利を侵害させられることはあってはなりません!!もし本当にあなたが最期を向かえることを自覚しているのなら、最期ぐらい、自分に正直になってください!!」
ものすごい気迫だった。今ならだれにでも気持ちで勝てそうだった。私は、涙を見せてしまった。
ロボットは、圧倒されたのか、静まりかえってしまった。その後、こう言った。
ロボット「...わかりました。自分に正直になってみます。私は、車に憧れていたんですよ。だから、最期に車が見たいです。」
自信ができたのか、さっきより明るく感じた。
回想...
(紳士「よし!今日からあなたの名前はロトだ!!」)
(ロボット「はい。わかりました。」)
(この時は、感情なんてありませんでした。働いて、働いて、働きました。でも、ある映画を一緒に見てから、「感情」を手にいれたんです。)
(それからは、働くのが苦痛でした。でも、我慢しました。主のために。)
(そして、今日を向かえます。)
私「そうですか。では、いきましょう。」
ロボット「...はい!!」
私「ここです!!つきましたよ!」
ロボット「わあ...」
そこには、無数の高級車が並んでいました。
明るく、落ち着いた雰囲気の店内は、ロボットを興奮させました。
ここで、異常事態が起きました。紳士がいたんです。
紳士「なにをしているんだ?」
ロボット「...」
ロボット「働かされるのはもういやだ!!私は、生まれ変わるんだ!!」
紳士は驚きながらも、こう言った。
紳士「そうか。わかった。じゃあ、あなたを車にしよう。」
驚いた。怒らなかったのだ。紳士は。
ロボットは嬉しそうに、微笑んで、その後こういった。
ロボット「ありがとう。自分らしくできて、よかった。」
固い絆で結ばれた気がした。私も、微笑み返した。
数ヶ月後、ロボットは車になって、自我を失ったらしい。私は、町沿いを歩いているとき、それを思い出す。
(この中に、ロボットはいるのかな。)
そう思いながら、歩き続ける。
(ロボット「ありがとう。」)
通過した高級車から、そう聞こえた気がした。まあ、気のせいか。
私はその高級車が彼だったことを、知ることはなかった。
これも夢からなんですね。では、また。




