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幼なじみ


鬱蒼とした木々と石畳の間から、ぽつぽつと野花が咲いているこの空き地を、僕は裏庭と呼んでいた。

特別なことなど何もないその場所に、今日は不思議な姿をした一羽の鳥がいた。

緑色に青緑色、オレンジ色、そしてわずかに黄色味も帯びているようなその鳥は、僕をじっと見つめていた。

僕も長い間見つめていると、その鳥はまるで笑っているかのような印象を僕に与え、尾を扇のようにぱっと広げた。


「きゃっ!」

隣にいたルワンダが驚いて声を上げた。すると、その鳥は驚いたのか、それとも去る時間になったのか、首を巡らせると、そのまま空へと飛び上がった。


不思議なのは、その日の出来事の前後の記憶が、今も全く思い出せないことだ。鳥が飛び去った方角さえ覚えていない。

ただ太陽に向かって飛んでいっただけだった。他の記憶が全く思い出せないほど幼い頃の記憶であるにもかかわらず、その記憶は鮮明に残っていた。しかし、不思議なことに、ルワンダは全く覚えていなかった。


それがもし夢だったなら、すぐに忘れてしまうべきではないのか?


そして、さらに不思議なのは、その日以降のことだった。


「最近、どうにも集中できていないな、ピル。」


「父さん、首都に行ったらガラスでできた果てしなく高い建物とか、馬なしで走る馬車、一つしかない月…そんなものがあるんですか?」


「いや、月はどこにでも4つだ。もっとあると聞いたが…。とにかく、馬なしで走る馬車だと?それじゃ馬車じゃないじゃないか。人が引くのか?」


「やっぱりそうですか。じゃあ、うちに代々伝わる剣術とか、エゴソードみたいなものはないんですか?」


「うちは平民だよ、ピル。変なことを言うのはやめて、もう一度集中しろ。目を閉じて、気配を使ってこの石を避けてみるんだ。ほら、投げるぞ、避けろ。」


ドンッ!


「ああっ!!!」

僕は目を見開いてベルを睨みつけた。


「おいおい…避けろと言ったのに。」


去年から…いや、もしかしたらそれよりも前から、奇妙な夢をよく見ていた。見たことのない奇異な建築物や言語、食べ物、そして軍人たち。

夢を見ていると、僕が夢を見ているのか、それとも今これが夢なのか、分からなくなる時があった。二歳?三歳?

幼い頃の記憶はないが、その時、僕の体に何か変化が起こったのではないだろうか?その変化のせいで、あんな夢を見るようになったのだと。


「ピル~、今日は何して遊ぶ?」


赤いスカートをはき、うさぎのぬいぐるみを持った5歳の女の子。向かいの家に住むルワンダという名前の女の子だった。

昔は確か、一緒におままごとをしたり、下手くそな剣術を教えてやったりして、仲良く遊んでいた。

しかし、夢を見始めてから、理解しがたい想念が僕の頭の中をいっぱいに満たし、目の前でぐずる女の子は、僕にとってただ面倒な存在になった。


[マリア百科事典]


ゴブリンは生後5ヶ月、オークは生後3年、獣人は生後7年、そして人族は生後10年、遅くとも13年で成長を終える。


人族の成長速度が遅い理由は何だろうか。

生まれてすぐに歩き始めるゴブリンや、我々よりはるかに体の大きい中央大陸に生息する象という動物を見れば、単に体の大きさと成長速度が比例しないことが確認できる。成長速度が理由でないとすれば、我々人族は彼らと何が違うのか。それは知能である。


知能とは何か。

このような推論を通じて理論を確立し、実験を通じて証明する作業ができる能力を知能と言うことができる。また、このような理論を検証するために実験を行い、その結果を集めたものを知識と言うことができる。人族はこのような知識を最も蓄積した種族として、セレスの他の全ての種族を治め、彼らの野蛮な行動を矯正し、知識を伝播するという神聖な使命を持っている。


ある者たちはこれを 두고、百年以上成長するエルフたちを見て、我々より知能が高いのではないかという愚かなことを言うが、これはただ人族だけが神の恩寵がただ人間にのみ下されたという証拠であると言える。自分たちが木から生まれた存在だと信じ、未だに木の葉などを編んで身を覆って暮らす原始的な部族が、人間より知能が高くないということは、一定水準の知能を備えた者なら誰でも推論できる事実だからである。また、このような人物100人を調査した結果、幼い頃の成長速度が非常に速かったという証言を得ることができた。


エディ


そうして8年という月日がさらに過ぎた。そしてついに、過去8年間の僕のぐずりに耐えかねて、ベルが狩りに出た。


最初の獲物はノール。見た目はそうだが、ここの言葉で言えば「中級悪魔」と呼ばれる。

ゴブリン(小悪魔)ではないのが意外だったが、ゴブリンの場合、自分たちが弱いことを知っているため、群れで行動し、いつでも支援を要請できるように角笛のようなものを持っていて、かえってノールよりも危険なことがあるという。城の外に出るだけで3時間、そしてノールがいそうな場所へ行くのに5時間以上かかった。


「うむ…。そろそろ着く頃だな。気をつけろ。」


「はい。」


ベルは先頭に立って剣を横に振り、雑草を刈り取った。真夏に人の手の入らない湿った地域の森に入ったことがあるだろうか。道から外れると、雑草?茂み?何かも分からない植物が本当にびっしりと、一歩先も見えないほど鬱蒼と生い茂っていた。幸いなことに、ここには鳥が多いせいか、蜘蛛はあまりいなかった。しばらく進むと、草がだいぶ少なくなり、前方が少し開けてきたのが感じられた。

その瞬間、ベルが止まれという合図を送ってきた。ノールが通り過ぎる場所なのか、踏みつけられた茂みが見えた。

僕たちはその踏みつけられた茂みを境界に、ぐるりと外側を回った。


どれくらい回っただろうか。そろそろ初めての狩りという興奮が冷め、装備の重さが感じられる頃、荒い息遣いが聞こえてきた。木の盾と棍棒を持った4匹のノールが見えた。

僕は息さえできず、ベルが剣を握りしめるのを見つめていた。久しぶりの狩りに、ベルもまた緊張していただろう。


ノールは嗅覚が発達しているため、奇襲的な接近攻撃は意味がない。そのため、ベルは毒針を使ってノールの頭を狙った。僕も真似をしたが、残念ながら外れた。怒ったノールは「クルルク」と音を立て、盾を掲げてゆっくりと近づいてきた。距離はもう10歩ほどだろうか。ベルが剣を両手で握り、駆け出しながら振り下ろすと、ノールは盾ごと斬り裂かれた。僕も左手に盾を固く握りしめ、近づいてノールの盾が防いでいない場所を、斜めに打ち下ろすように攻撃した。骨に当たったのか、何なのか分からない嫌な感触が剣から伝わってきた。再び剣を抜き、横にノールの首を薙いだ。やはり、難しい相手ではなかった。


ノールは倒れ、次の標的を探して周りを見渡した。その瞬間、頭に大きな衝撃が走った。

「ピル、これがノールの斧だったら、お前は死んでいたぞ。何度言えば分かるんだ?目で追うな、気を使って相手の位置と攻撃を把握しろと言っただろ?」


その通りだ。本当に何十回も聞いた言葉だ。しかし、簡単ではなかった。

まるで本を読みながら足でジャグリングをするような感覚だった。十年以上も踊ったり歌ったりしているアイドルたちでさえ、二つのことを同時にやるのは大変だと言うのに、自分の体でもないものを動かすのが簡単なはずがない。できたとしても、こんな興奮した状況、そして攻撃するその瞬間には、なおさら難しい。それでも、初めてにしてはよくやった方ではないか? 괜스레 울컥하고 눈물이 핑 돌아서 고개를 치켜들었다. ベルはそんな僕の反応を見て驚いた。何を言われてもヘラヘラ笑って、全部冗談で受け流していた僕だったが、今日だけはそんな気分ではなかった。


「簡単じゃないですね…」


「まあ…ふむ。そうだな!これからはもっと熱心に修練しなければな。」


「はい。」


「さて、ノールの処理の仕方は教えたな?やってみろ。」


ベルはそう言いながら、最初に毒針を当てたノールに近づき、首にかかっていた指輪のようなものを外した。モンスターは普通、装備アイテムをドロップしない。あのアイテムは、ノールに殺された別の冒険者の指輪である可能性が高かった。


「運がいいと言うべきか…」


奥歯と耳を切り取りながら考えた。


「ステータスウィンドウが出ない。」

「レベルアップもしない。」

「インベントリさえない。」

「まさか、僕が主人公じゃないのか?」


幼なじみ (2)


実は、この瞬間が怖かった。

過去8年間、覚醒するかもしれないこの瞬間を先延ばしにしてきたのは、モンスターを狩ることが危険だったからでもあるが、今この瞬間に向き合うのが怖かったのも一因だった。

悲しいが、もうこの現実を受け入れなければならなかった。


「もしかしたら僕は主人公ではなくて、このまま永遠にベルより弱いのかもしれない。」


それなりに上位の冒険者だったベル。この辺りではほとんど何でも屋のようなことをしているベルより弱い数千人の人々。その一人になるのだ。


「はは…」

鞄にはノールの牙4本と脚が二本入っていた。血はある程度抜いたが、鞄からは血がぽたぽたと滴っていた。これも全部、インベントリがないからだ。


「はぁ…」


何も言わなかったベルが、そっと近づいてきて頭に手を置いた。


「おいおい、まだ落ち込んでいるのか。最初はみんなそんなもんだ。どうして最初からうまくできるんだ?お前くらいなら、そんなに悪くなかったから、そんなに気落ちする必要はないぞ。」


ベルを見つめた。

「はぁ…」

雀が鴻の志を知る由もなかった。


「ピル~~~」


向かいの家に住むミジおばさんの娘、ルワンダ。あのぬいものが好きだった5歳の幼い子供が、今ではすっかり淑女になった。ここでの成長速度は非常に速く、老化は遅い。

ルワンダの笑顔を見ていると、憂鬱だった気分が洗い流されるように消え、自然と口角が上がった。いやらしく見えるかもしれないので、すぐにルワンダの目を見つめた。


「ルワンダ!」


「そうか…平凡に生きるのも悪くないかもしれない…」


「狩りに行ったって話、聞いたよ。どこか怪我してない?」


「え?ああ。ノールくらいなら、軽いもんさ、ははは。」


視線を感じて目を向けると、ベルが僕を虫けらでも見るような目つきで見ていた。

「どこぞの雀ごときが!」


偶然会ったルワンダは、熱心にアカデミーの話をして去っていった。エオス城の中央にあり、金さえあれば誰でも入れる場所。学生は30万人を超える。アカデミーとは、生きていく上で最低限必要なことを教えてくれる場所だった。もちろん、そこを卒業した後、成績上位1%だけが入れる上級教育機関もあるにはある。そうしてたった二つが、この城にある教育機関の全てだった。それ以外には、魔法使い協会や錬金術協会のような塔があるだけだった。僕は偉大な使命を持ってこの地に遣わされた者。ノールを捕まえる前までは、そこに入って時間を無駄にする気は全くなかった。しかし、今は…。


「学校か…。僕も、平凡に学校に入るべきじゃないか?」


もちろん、僕は魔力も使えるが、100人に一人は僕のように気力と魔力の両方を使える者がいた。このままでは人類の救世主どころか、取り残されてしまうかもしれないという不安が襲ってきた。


「来年入るか?今は本当に学ぶことがなくて、時間の無駄だと思うが?」


「そうします。」


そうして、来年のアカデミー入学が決まった。ベルは入学祝いだと言って、以前ノールを捕まえた時に手に入れた指輪をくれた。

もちろん、装飾用の指輪ではない。指輪には、魔石の魔力を人が使えるように精製した「精製された魔力石」が埋め込まれており、緊急時には魔力を引き出して使えるが、ものすごい苦痛が伴うと聞いた。使用回数がどれくらいかはよく分からないが、この光が消えたら耐久度も尽きたということだという。この小さな指輪一つが、なんと70ゴールドもするので、大切に使わなければならなかった。


エオス城の真ん中にあるマリア・アカデミー。

エオスという単語は始まりと終わりという意味を持つ単語だが、聞くところによると、昔アビムポル・ルネサジ大王が世界の果てを見ようと南へ向かって征服戦争を繰り広げ、その果てにある城にエオス城という名前を付けたという。しかし、終わりなら終わりなのになぜ始まりという言葉を付けたのだろうか?海を越えて他の大陸へ向かうという意味だという説もあるが、ルネサジ大王がある予言者の言葉を聞いて征服戦争を繰り広げたという話もあった。


とにかく、アカデミーはとてつもない大きさを誇っていた。白い壁に高くそびえ立つ建物たち。城の中に一つしかないからというのもあるだろうが、ここの人間たちは地球と比べると最低でも3倍以上の力を出せるし、魔法もあるので、作業速度が違うのだろう。そして今日、その正門前には数多くの学生が集まり、そこへ入っていった。


「この子が、あのピル???」

「うん。」

「ふーん。」


思ったより大したことないな、という表情をしているのは、ジェナという奴だ。そのほかにも、ルワンダの友達と言えるような子たちが集まって、僕に質問を浴びせてきた。男も女も、誰もが芸能人級の容姿。ここがセレスだ。そうして慣れない瞬間を満喫していると、視線を感じて見ると、一人の赤毛の男子学生がこちらを見て「ちっ」という音を立てて通り過ぎた。一見しただけでも、かなり背が高かった。体格も僕より大きい。


「クルーノっていう子だけど、よくルワンダのことを見てるんだよ。」


「ほう…恋敵か?」


「う~、気色悪い。」


幸いにも、ルワンダは気に入らないようだった。そろそろホルモンの影響で異性に目覚め、疾風怒濤の時期が始まる頃だった。僕もまた、ホルモンの影響を無視するのは難しかった。


一番前には教卓のようなものがあり、その前には道が開けており、両脇には机があった。後ろに行くほど高さが上がっており、誰もが先生を見られるようになっていた。ざっと見渡したが、特に新入生を気にする人はいないようだった。そうして、最初の授業が始まった。


「昔の賢人であるダニエル様は、人間は自身の欠乏を満たそうとし、そこから苦しみが始まるとおっしゃった。これが何を意味するのか、金を例に挙げてみよう。パルス、君はゴールドがどれくらいあれば豊かだと感じるかね?」


一番前にいる痩せた奴を指名した。


「5人家族の1年の生活費が最低でも7ゴールド以上は必要なので、500年ほど生きると仮定した場合、1万ゴールドほどあれば豊かだと言えると思います。」


「なるほど、君はどうだね?」


その後ろの太った奴を指名した。


「あの…私も1万ゴールドあれば豊かだと思います。」


「君は?」


顔が細長く、バッタのように見える疲れた様子の奴に尋ねた。


「金は多ければ多いほどいいでしょう。」


「そうだ。誰しもその基準が違い、望むものも違う。ある者は少し持っただけでも幸せになれるが、またある者はそうではない。そのため、ダニエル様は欠乏とは自分自身にかかっており、自分自身を愛してその欠乏を満たせとおっしゃった。特に愛情の場合は、自分自身を蝕む…」


「かなり胸に響く言葉だった。」


しかし、学生たちはほとんど退屈そうにしており、顔が細長い奴はふっと笑いさえした。

「私がこれを新年初の講義にする理由は…」


「さて、この火山灰と粘土を2:1の割合にし、ここに水を25%ほど加えると…」


「サニア様は…背教者によって教団が崩壊…」


「ここエオス城から北東に50万km離れた場所にルネガード城があり、この中間をミアンダ平野、そしてルネガード城の上30万km離れた場所からブリティアの領土…


「オーク、獣人、人間などはエルフやドライアドのような異種より毒に対する免疫が強く、オークや獣人より伝染病などに対する免疫が強い優越種として…」


「飯食いに行こうぜ、ピル。」

4つの講義が終わった後、食事をしてから3時間の自習。最初の数年は強制的に行われ、家に帰ると欠席扱いになるが、その後は強制性がなくなり、傭兵ギルドや個人的に任務を受けた後、証明さえすれば出席も認められた。学生の80%以上が小遣い程度の奨学金を受け取り、成績が悪いとこの奨学金を受け取れないようにするシステムだった。


学校は思ったよりずっと体系的なシステムを備えており、いろいろなことを学んだ。ある日は、野宿に必要なものや簡単な調理方法などを学んだりもした。話を聞いてみると、学年が上がるにつれて、全く新しいことを少しずつ加えながら、毎年繰り返して学ぶという。これだけは絶対に忘れてはいけない、というそういう趣旨ではないだろうか。


そうして4つの講義と食事の後、図書館を行き来して数日が過ぎた。


何事もなく過ぎていた日々に、誰かが僕に近づいてくるのが感じられた。


「おい。一緒に飯食いに行こうぜ。」

大柄な赤毛。クルーノが僕の肩に腕を回して話しかけてきた。


「ほう…。ついにイベント発生か?」


幼なじみ (3)


大人の体格をした14歳の少年。彼にとって恋敵とは、同じ空間で息をするだけでも不快な存在だろう。やはり、学校といじめは切っても切れない関係だった。地球でさえそうだったのに、こんな弱肉強食の世界でなければ、それこそおかしいことではないだろうか。


「悪いな、僕はルワンダと食べる約束があるんだ。」

クルーノの手を払い、そっとルワンダの肩に腕を回して引き寄せた。


「あら!」

ルワンダは顔を赤らめ、レナは声を上げて興味深そうな眼差しで見ていた。クルーノは表情を歪めて怒りに震えたが、意外にも冷静に、避けられないカードを切った。


「怖くて女のスカートの裾に潜り込むとはな。恥も知らないようだな。」


ここで逃げれば、面倒なことが次々と起こるものだ。人間も結局は動物、弱く見えれば餌食になり、面倒だと避けて報復しなければ、さらに面倒なことが起こった。


「ついてこい。」


「でも、どこへ行けばいいんだ?」ルワンダをちらりと見た。


ここでは卒業時に剣術トーナメントを行う。普段は剣術の講義の時にトーナメント場で対練を行い、学生間の対練は遊びのようなもので、紛争も対練で解決することを推奨していた。そのため、常に教授たちが常駐していたが、今日はベンという教授がいた。


「さて、両者とも怪我をしないように、ほどほどにな。」


思ったより多くの学生が集まっていたので緊張はしたが、悪い気分ではなかった。試合のルールは簡単だった。兜が脱げるか、相手を制圧するか、降伏すれば負けだった。


「万に一つも、僕が負ける可能性はない。」


才能が僕より優れているとしても、たかが14歳のクルーノが剣を握ってからどれくらい経っただろうか。僕は4歳の時からベルと毎日5時間ずつ修練してきた。その努力の時間が、僕に自信を与えてくれた。


「始め。」


クルーノは両手に剣を握り、猪突猛進に突進してきた。二つの剣で攻撃するので、確かに派手ではあった。しかし、気を使って相手の攻撃を予測できる瞬間から、盾の役割は絶対的だった。バックラーでクルーノの攻撃を受け流し、攻撃の合間合間にクルーノの隙を突いて、まるで指導対練のような感じを与えた。彼は怒ったのか、突進してきて全身の力を剣に込めて突き込んできたが、軽く避けて太ももを突いてやった。もちろん力を抜いており、剣先も丸まっていたので肉には食い込まなかったが、その痛みは刃のない剣で斬られるのとは次元が違っただろう。


圧倒的な技量の差。

時間が経ち、刃のない鉄剣ではあったが、クルーノは突かれた太ももがかなり痛むのか、足を引きずり始めた。その姿を見て、勝負をつける時が来たと直感した。突きが一度も通じないと、体を大きく回して横に斬り込んでくるクルーノ。がら空きの脇腹を突いて終わりにするつもりだったが、クルーノは待っていたかのように、もう一方の手に持っていた剣で僕の剣を上に弾きながら、もう一方の剣で僕の手を打ち下ろそうとした。急いで剣を捨てて手を後ろに引いたので攻撃は届かなかったが、剣を落としてしまった。まさか、意図的に隙を見せたのか?


「何だ??こいつが主人公だったのか?まさか僕はクルーノのハーレム王国に出てくる悪役?」


大きくなったざわめきに周りを見渡した。そして、その中にはルワンダもいた。


「負けたらやばい。」


背筋を冷や汗が流れた。クルーノは得意満面の眼差しで剣を振り回し始めた。剣がないとはいえ、避けることに決めると、バックラーで防ぎながら避けるのは難しくなかった。


しかし、僕も特に攻撃する方法がなく、時間を稼いでいると、かなり不便そうなクルーノの足が見えた。ずっとその痛めた足の方向へぐるぐる回った。痛む足を軸にすれば、当然破壊力は落ちるだろう。格闘技とは違い、休憩時間もない対練。クルーノの速度はだんだん遅くなっていった。


「いつまで逃げ回るつもりだ?恥ずかしくないのか?」

「足がかなり痛むようだな?どれくらい持つか気になるな。」


挑発が通じないと、クルーノは仕方なく最大限距離を詰め、剣を振るった。そして、しばらくして限界が来たのか、彼は全身の力を込めて剣を大きく振るった。しかし、僕はその気の遠くなるような状況で、高度に集中した気感を介して、彼の動作を本当に一つ一つ感知することができた。何か今までとは違う、一歩前に進んだような感じがした。そして、たやすくクルーノの剣を避け、背後を取り、膝裏を蹴って膝をつかせ、首に手を当てた。


「ピルの勝ち。」


「ふぅ…」


「やばかった…このクソ野郎が、情欲に目がくらんで、犬畜生のような真似をしやがって。」


それでも、こういう場では無理にでも紳士的な態度を見せなければならなかった。膝をつき、自分の二本の剣を呆然と見つめているクルーノに近づき、手を差し伸べた。


勝者だけが見せられる寛容。


クルーノは僕の手を追って顔を上げ、僕の目を見つめた後、急いでルワンダを見つめた。自分は見向きもせず、ただ僕を見つめるルワンダの眼差しを見て、クルーノは再び顔を向けた。そして、ふっと笑い、すっきりした表情で頷き、僕の手を取った。


こうして、ルワンダ争奪戦は僕の勝利で幕を閉じた。


「おい、ピル。」


「?」


クルーノが僕の肩に手を置き、僕の目を見つめながら言った。


「幸せにしてやれよ。」


これが本物の中二の狂気か…


そうして、クルーノの初々しい片思いも終わりを告げた。

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