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第十六話 ピリつく学園

学園での生活は、入学してから半年が過ぎたころ、いよいよ中間試験が近づき、そのプレッシャーが私たちの間にのしかかっていた。これからの成績が、学期末試験で選ぶべき進路を左右する。


転属希望者が出るのは毎年のことだが、どの学科からも転属を希望する者が必ずいる。そして、経営科にいるナイラもまたその一人。


彼女は特別科への転属を目指しているという。だが、転属試験に合格しなければならないのに加え、万が一に備えて経営科の試験も受けなければならず、二重の試練に挑むことになる。だが、彼女はそのプレッシャーに負けず、高成績を目指している。


私も同様に、特別科での学びを続けるために、この試験にかける思いが強い。


試験前は、学園全体がピリピリとした雰囲気に包まれていた。特別科は常に高い成績を保たなければならない。

もし下の学年から転属希望者が現れた場合、競争に敗れた者は普通科に転科されてしまう。それが王立学園のルールであり、椅子取りゲームのような状況が常に繰り広げられている。


この学園では、青春を謳歌する時間などほとんどない。そんな余裕もなく、みんながひたすら競い合っているのだ。昔はもっと緩かったようだが、ある出来事がきっかけで厳しく規則が改変されてしまったのだ。


「桃色ヒロイン」なるキャラクターも、普通科には時折出現するようだが、それも一種の噂にすぎない。


学園側はそうした「レア珍獣」を排除しようと必死になっているらしい。だから、婚約破棄などの事件が起きることはまずない。


そう、滅多にないのだ。


…と言いたいところだが、その滅多にが私に訪れたわけで。今となっては、あの時の出来事がどうしても笑い話のように感じられる。



一方で、ユリオはというと、学園では居づらさを感じながらも、何とか頑張っているらしい。彼は本来騎士科2年生であるべきところを、1年生として再度試験を受けることになった。騎士科では、1年生の中間試験で1位から半分以下の成績しか取れない者は、自動的に退学処分となるという厳しいルールがある。ユリオにはすでに警告の「イエローカード」が出ているとのことだ。彼が今回の試験でどうなるか、少し気にはなったが、私自身は他人のことにあまり気を取られている暇はなかった。




そして、ついに中間試験当日がやってきた。学園全体が緊張の面持ちで試験に臨んだ。


試験終了後、私の結果は20人中2位というものだった。あと一歩で1位になれるところだったが、結果としては惜しいものだった。


ナイラは経営科でトップの成績を収めたようで、試験の手応えに自信を感じていた。彼女はやはり転属を希望すると言っていた。


私も同じく、特別科での進学を決意していたが、この結果に少しばかりの余韻を感じつつ、試験後の解放感を味わった。


試験が終わったことで、少しだけほっとした気分になった私は、ハルシュタイン様に「試験が終わったので、今後の方針を話合いましょう」と伝えていたので、これから本格的に取り組むべきことに集中しなければならないという気持ちを新たにした。



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