瘴気と魔族が支配する世界を打ち負かし、浄化させた勇者たち。望みを何でも叶えると言われていた勇者たちが望んだ願いとは…?
「朝よー!おきなさーい!」
まだ眠い目をこすりながら、ゲームで夜更かしした気だるい体を起こし、ため息をつきながら時計を見た。
「起きてるよーー!」
今日もいつもと変わらない朝がやってきた。
私はオンラインゲームが大好きな高校1年生。
お洒落はそこそこに、毎日はまってるのが
【魔障の王国~奇跡を信じて~】
これが楽しくて!勉強しなきゃと思いつつ毎晩夜更かししてしまっている。
「こらー!おきなさーい!!」
さっきより声色強めにママが呼んでいる!
起こしてくれるのは有難いんだけど…毎朝大声で叫ぶのは参るなぁ。。と思いながら制服に着替え、ゆっくり階段を降りた。
今日は土曜日。美術部の絵を仕上げるために学校に行かなきゃなんだけど、やっぱり眠い!
「ほらほら!早く食べちゃいなさい!」
いつもは優しいママだけど、朝だけはちょっと恐いんだよね。と思いながら大好きな目玉焼きにお醤油をかけた。
広くはないけど、スッキリとしたリビングに大きな窓が我が家のお気に入り。可愛いレースのカーテン越しに、パパが洗車している。
ご近所のおばあちゃんと談笑しながら、車を流すパパはいつもどうりニコニコしていて、癒しの存在だ。
「食べた?時間大丈夫?」と急かすばかりのママも、娘が言うのもおかしいけどかなりの美人!どうして遺伝してないのか不思議で仕方ない。。パパも同級生が騒ぐくらいのイケメンなのに…なぜ?
不平等な世の中だなと思いつつ、天気予報を見ながらトーストにかじりついた。
父の向こう側に見える青い空が微かに黒く歪んだ気がした。
「ママ!なんかあそこ変じゃない!?」
皿洗いをしていたママに、声をかけた。その瞬間、リビングのガラスが吹き飛び後ろから顔をかすめていくのが分かった。
かすったガラスで痛みを感じたか感じてないかくらいに、母がカウンターを飛び越え私を庇った。母の腕から覗き見た先に現実世界では見たこともない魔物がいた。そう…これは
ゲームの世界だけでしかあり得ない生物だった。
「カイ!!!」
母が父に向けて叫び、聞いたことのない呪文を唱えていた。