43 心からの感謝を言ういい子。(新一視点)
新一視点。
さて。どう切り出して、話を進めようか。
「じゃあ、また仕事の話すっけど。てか、金の話。足りないだろ。もっと自由に使う金、欲しくないのか?」
「……なんですか? くれるんですか?」
「受け取るのか?」
「冗談ですよ」
「お兄ちゃんがお小遣いをやってもいいんだぞ」
「アハハ……」
兄妹みたいってのノリでお小遣いを受け取るなら、あげるぞ。
ナナハネは、微苦笑で笑うだけ。
……まっ、受け取らないか。
「絵。趣味で描いてるじゃん。それで小遣い稼ぎしたら? ほら、このサイト」
一番口コミの評価もよくて、システムも複雑でもない、最有力候補のサイトを、タブレットに表示して差し出して見せる。
受け取ったナナハネは、目をまん丸に見開いて、両手にタブレットを持って見た。
すっかり眠気は吹っ飛んだんだな。
「あ〜。アイコンイラストだけじゃなく、歌ってみたの動画とかで、オリジナルイラストや動画作成を頼めるヤツ……?」
「なんだ、知ってんのか。利用したことあんの?」
「まさか。広告で見ただけですよ。……ここで、依頼を受けて、イラストを描いて売れと? 無理ですよ」
困り顔で笑って、ナナハネはすぐにタブレットを返してきた。
即答か……。
「なんで?」
「依頼に応えられませんよ。技術もないですしね。私は誰かのリクエストに応えて絵を描いた試しがありません。妹に中学の宿題のために描いてくれ~って、イラスト部だったからってズルを頼まれた時だって、指定のモノを描くなんて、無理って拒絶反応が出るくらいですもん。それにお金が絡むなんて、プレッシャーですよ」
ちゃんと無理な理由が出るんだな。
億劫という理由だけではなく、リクエストに応えることも金銭が絡むことも、プレッシャーで無理だという要因。
それは少しずつ、慣れていけばいいんじゃないか。
ステップアップしていって……。
「別にいきなり本格的にやれって言ってんじゃないし、お小遣い稼ぎだから、軽い気持ちでさ。一定の評価の高さと依頼完遂量があれば、プロ認定されるって。だから、素人も出来るってこと。技術がないとか言うけど、そうは思えないぞ? よく描いてる猫のイラストとかで、ツブヤキとかのアイコンを依頼で描いてみれば?」
「……いや、だから、依頼に応えられないですって」
「そうか? じゃあ、ナナハネに依頼するから、おれのアイコン描いてくれよ。このサイトを利用してな」
練習がてら、やらせてみるか。
「サイトを利用しなくても……見返りをくれれば、描きますよ?」
「なんだ。依頼に応えられるじゃないか」
「……ムッ」
おれのアイコンを描くって言うなら、依頼には応えられるじゃないか。
揚げ足取られて、むくれるナナハネを、ククッと喉を鳴らして笑う。
「友だちだからですよ? 好き勝手描くだけです」
「どんなの?」
「え? ああ……えーと。新一さんは青や濃い紫が合いそうですので……クールな感じがいいと思いますけど」
「クールか……クールなデザインの猫がいいな」
「クールな猫? はい、描いてみますね」
「……応えられるじゃん、リクエスト」
「…………ムッ!」
やり取りをしてから、すんなりと引き受けるナナハネを見て、噴き出すことを堪えた。
ナナハネはむっすーっと唇を尖らせて、ご立腹さを示す。
それでも、おれのアイコンを描く気でいるのか、バックに手を突っ込む。てっきり、自分のタブレットを取り出すと思ったのに、手帳だった。A5サイズの大きい手帳は革素材っぽくて、ダイアル式のカギまでついてる。
「手帳? タブレット持ってるのに、アナログでスケジュール管理とメモするのか?」
「ああ、これはアナログ時代の癖ですよ。中学から紙で絵を描いてたんですもん。先ずはアナログでラフを描いて、写真で取り込んで、タブレットで描くんです。あ、ラフっていうのは、下書きのことですよ。どうにも、最初からデジタルで描くのは上手くいかなくて……」
「見ても?」
ああ、なるほど。納得して手を伸ばしてみれば、少し悩む素振りをしてから、差し出してくれた。
バスルームの方を振り返って、なんとも言えない表情してたのは、気になるけど。見られても平気だと、判断したらしい。
白紙のページを戻ってみれば、見覚えのあるイラスト。もしかして……と思いきや、数斗とお家デートした日付が下に書いてあった。
「それは数斗さんが迎えに来る前に描いてて、それから数斗さんの部屋で、デジタルで描き上げました」
「へぇ~。あ、いいな。水彩画も描くって聞いたけど、アナログもいいじゃん」
「正確には、水彩色鉛筆ですけど」
ペラペラ捲れば、アナログイラストも見付ける。真樹が気に入ってた水の妖精のイラストも、挟んであった。
ファンタジー感が強くて、いいデザインだし、塗り方も凄いと思う。
「デザインの案って、どうやって思い付くんだ?」
「んー、他の方のイラストを見たり、ですかね。鶏肉をせっせとから揚げサイズに切っている仕事中にも、考えたりしますよぉ」
「仕事集中してないのかよ……転職しろ」
「何言ってんですか。単調作業だから、好き勝手妄想出来るんじゃないですかぁ」
「そういうもんか?」
そういう創作活動はしたことないから、疑問をそのままに言えば、ナナハネはけらりと笑って答える。
単調作業中も、頭ん中でデザインを思い付いたり考えたりするなら、十分イラストレーターの仕事をやれそうだと思うんだけどな……。
じっ。
ナナハネの大きな瞳が、おれを見ていることに気付いて、なんだ? って怪訝な顔になったが、ナナハネはテーブルの上に視線を移すと、オレンジジュースを手にして飲んだ。
「あー、そういえば、スタンプとかも発売出来るじゃん。可愛い猫キャラのイラストでシリーズ化して、販売とかもいいんじゃないのか? おれ達が真っ先にメッセージアプリで使ってやるよ」
メッセージアプリにもダウンロードすれば、ちゃんと使えるはず。ナナハネはセンスいいし、可愛いスタンプをいくつか描けるだろう。おれは使う相手がそうはいないけどな。
ナナハネから、返事はない。
オレンジジュースをちびちび飲んで、黙り込んでいた。
……しつこすぎたか? 踏み込みすぎて嫌になった?
まぁ、でも。強制的に押し付ける気はないけど、説得はさせてもらう。出来ることなら、好きなことをして、稼げばいいじゃないか。それで少しでも、生きる苦労が減るなら、そうしてほしいってな。
イラストを描く仕事が一番いいってのは、おれ達の勝手な考えだし、ナナハネがどうしても嫌なら、他の仕事をリストアップして勧めるだけ。
グラスを置いて、両手を差し出してきたから、手帳を返す。
すると、ペラッと捲っては、開いたページを見せてくる。
「新一さんのアイコン。こんな感じの系統で、どうですか?」
「あ、ああ……うん。いいな」
入れ墨みたいにスタイリッシュに線だけで描いているデザインは、猫だけじゃなくて、蝶やドラゴンの形がそのページに描いてあった。試行錯誤したのか、何度か消しゴムで消した跡や線の跡が残っている。
……努力してんのに、技術不足なんて、自信持ってほしいな。まぁ、考えがあるけど。
「スタンプの方も、考えてみます。よくわかりませんけど……見よう見まねでいいんですかね」
「あー、それは確か、説明するサイトのページがあったはず。送ってやるよ」
「ありがとうございます」
スタンプの方は、手順があるからな。親切にやり方を説明したサイトのURLを送る準備をしつつ、急に静かな雰囲気になったように思えて、ナナハネを気にする。
もう早朝に近い時間帯だし、静かになってもおかしくはないけど……なんとなく、雰囲気が、静かすぎるような……。
「あの……本当にありがとうございます」
手帳に挟んでいた付箋におれの名前を書き込んで、そのページに貼り付けながら、ナナハネがまたお礼を言う。
なんの礼だ? それとも、念を押しての礼? サイトを教えただけで?
「私のことを考えてくれて、そう提案してくれたのでしょう? ありがとうございます」
小遣い稼ぎの提案したこと?
また感謝の言葉。
そう言えば、ナナハネの無事を確認するために、ホテル従業員が確認しに来る度に、礼を言うナナハネに担当の女性従業員がニッコニコと笑みを深めてたな。仕事の一環でも、ナナハネが労いも込めて、心から感謝しているのが伝わったんだろう。
飲み屋の店員が運んだ物を受け取る度に、お礼を言うもんな。
謝罪も多いけど、感謝も多い。……いい子だ。
「別に、思いついたから言っただけ。ナナハネのイラストのレベルなら、有償でもいいって思ったから」
ナナハネのブラック気味の仕事は、過労で倒れる前に辞めてほしいし。
本心で、ナナハネのレベルなら、商売しても通用すると思うしな。
「ちゃんと、サイトを通じて依頼を受けて、売ってくれよ」
「……ありがとうございます」
「……おう。おれもちゃんと買うから、しっかり描いてくれよ」
心を込めているお礼に、くすぐったくなって、そっぽを向く。
そう素直に感謝されると、ナナハネの転職を誘導していることに罪悪感が生まれそうだ……。
「こういうことに挑戦させてくれるお礼ですよ?」
なんて、ナナハネは笑って言うから、目を丸めて顔を戻す。
「自分では、知らないことになんて挑戦しませんから。今の勤め先だって、重い腰を上げて面接に行ったんですよ。数斗さんから聞いてません? お試し交際も、ビビりな私のために設けてくれたって。初めての交際とか、数斗さんと上手くやれるとか……もっと時間をかけて答えを出すために。結論を急かさないためでしょうけど。保守的なビビりのためを思って、考えてくださってありがとうございます」
不甲斐なさそうに微笑んでは、ナナハネは自分のために考えたってわかっている。
聡いな……。
おれ達の目論み、バレバレか?
これだと、数斗が全く持って手放す気ないくらいに、すでに愛が激重だってこともバレてんじゃ……? いや、どうだろうか? そこは怪しい。
「……ナナハネをどう評価すればいいか、わからなくなってきたな。人を見る目があるのか、ないのか……鋭いのか、鈍感なのか」
「……何故に?」
「腹黒は一目で見抜いたけど、アホな先輩の下劣な下心はそばで野放しだったろ。不倫副店長には警戒してんのに、高校のモテ期を気付きもせず完全スルー。どっちなんだよ」
「……それは、あれです、あれですよ……人間、完璧じゃない」
「あっそー。ナナハネのセンサーは完璧じゃないってことな」
しどろもどろになるナナハネの感情センサーは、完璧じゃないってことだな。当然か。超能力者じゃあるまいし。
「なんでまた、モテてる自覚なかったん?」
「いや、普通に、根暗のモサい女子高生だと思ってましたもん。していたお洒落と言えば、グロスつけてたぐらいですよ」
「それで高校時代の写真、見せたくなかったのか?」
「もちろんですよ」
「でも、なんで花の高校生が、恋愛に消極的になってたんだよ?」
「高一の時にカノジョをフッて以来、作ってない人に言われても……」
「うっせ。そのおれの経験みたいに、なんかあったのか?」
「恋に恋していたことをやめて、現実を見ただけです」
「いや、見えてなかったよな? 自分のモテ期」
「うぐっ」
「考えてみりゃ、恋人はいらないって言ってたよな? おれ達と出会った日に。お洒落を頑張り始めても、恋人を求めたわけじゃなかった? それとも、初対面からの数斗のアプローチをやんわり断るための嘘だったのか?」
いつもなら、他人の恋愛経験なんかに突っ込まないけど、おれも眠気を感じていたせいか、ついつい興味本位で質問攻めしてしまった。
「あー、正直言えば……アプローチを断るためでもありましたが、でも本当に恋人はまだいいかなって……」
「なんで? ビビる原因でもあった?」
「なんでビビってるだなんて、言うんですか?」
「お前の目が泳ぐから」
気まずそうに視線が泳ぐから、ビビって恋人が作れないと思っていたと予想。
実際、数斗のアプローチに戸惑っていた原因の一つだろ。
苦い顔をしたナナハネは、ピースを見せた。二本指を立てている右手。
「なんだそれ」
「フラれた数です」
「それで懲りた? 片想いが二回終わって? 真樹を見習え。その五倍はフラれてんぞ」
「違いますけど!? 盛らないでくれる!?」
「うおっ。起きてたのかよ……」
親指で差した真樹が飛び起きて否定する。びっくりした。
「いつから盗み聞きを」
「やだな、今名前を呼ばれて起きて」
「嘘ですね。新一さんがモテ期って口にした時に、反応したの、見えましたよ」
「な、なんだと……! 完璧な狸寝入りだと思ったのに!」
ナナハネがしれっと指摘するから、狼狽える真樹。
ナナハネの感情センサーの話をしている時からかよ。
盗み聞きしていた真樹に、ジト目を向ける。
「ちなみに、さっきのフラれた回数ですけど……一人に対してです」
「は?」「はい?」
「聞きたいですか? 聞くんですか? 面白くないですよ」
「お前、さてはまた睡魔に襲われてんな?」
かくりと頷くみたいに頭が揺れたナナハネ。
テンション、おかしくなってきてないか?
「二回告白してフラれたってこと? そんなに好きだったの? どんな奴?」
「サッカー部のイケメン生徒会長です」
「クソモテる奴じゃん」
真樹。そんな露骨にひがむな。
「そうなんですよぉ。長くなりますけど、聞きます?」
「また短いんじゃないのか?」
「……どうでしょ? あれは、私が中学に入学した日です」
「始めた……」
うとうとと目を閉じたり開いているナナハネは、抱き締めているクッションに顎を置きながら、話し始めた。
聞くとはまだ言ってないんだが……まぁ、いいが。
「母が保護者が集まる時間と間違えて、私は遅刻してとっくに新入生が集まって席についたクラスには行ったんです。めっちゃ視線を集めてしまって恥ずかしかったんですけど……その中の一人、男子生徒と目が合って、そのまま見つめ合ってしまったんです」
「やだ、うわあ。青春の始まり」
「ですよね? そう思いますよね?」
「うんうん。で?」
遅れて登場って……少女漫画のヒロインか。
盛り上がるのはいいけど……それ、数斗は聞いた話か? 先に聞いていい話か、これ?
絶対に聞いてない、よな……?
「そのあとも、二学期までは友だちとして親しくなっていったというか、そこそこ仲良く喋ってたんですよね。好きだな~って自覚していった頃です。同じクラスメイトの女の子と二人でラクガキして遊んでいた休み時間。彼女が描いた人気少年漫画の主人公を描いたんですよ。めっちゃ上手くて、原作にもそっくりで。私には無理だな~って感心してたら、彼が”上手いじゃん”って覗き込んで褒めたんです」
「えっ……そっちで芽生えちゃった?」
「いえ。何故か、彼女の方が沈黙しちゃって。私が描いたわけじゃないので、私も言葉に迷っちゃって、好きだったですし、ドキドキしてどうしていいかわからないうちに……彼が不機嫌そうに離れちゃったんですよね。無視されたとでも思ったんでしょうか。それから冷たくなっちゃって」
しょぼんとするナナハネは、顔を俯かせる。
「あ~、あれか? 思春期の男の子として、女子二人に無視されたと思って、実は傷付いたとか?」
「そうなんでしょうか……とりあえず、それでも好きだったんで、バレンタインデーに本命チョコを渡したんです」
「チョコ! バレンタインチョコ!」
「めちゃくちゃ不機嫌顔でした」
「ワガママだな!? 七羽ちゃんほどの可愛い子にチョコもらっておいて!?」
「声、落とせよ。数斗に聞かれるぞ」
てか、数斗。長すぎないか? 大丈夫か、アイツ……。
真樹も口を押えて、首を捻ってバスルームの方を見た。
その前に、数斗がこの話を知っているかどうか、だよな。
「あ、秘密でお願いします。この運命感じたみたいな話したら、数斗さんの嫉妬が……」
「感じるのか? これをおれ達が知っている方が、嫉妬するだろうが」
「いいんですよ……林間学校のハイテンションなノリでまた告白して、嫌な顔をされて断られた、こんなバカな失敗恋愛。もう少女漫画脳で暴走してただけの恋愛未満な失敗談。今しか話しません。あと、数斗さんなら、ドライヤーしているところです」
げんなりしているナナハネは、深夜テンションのノリで、自分の恥ずかしい経験を暴露しているらしい。
いや、それなら、数斗にも教えてやれば……。
ん? なんでドライヤーしてるってわかるんだ? 一番バスルームに近い位置にいても、そんなの誤差だろ。聞こえないけど。
すると、ナナハネが振り返った。ほぼ同時に、数斗が出てくる。
「あ、七羽ちゃん、起きたんだね。ねぇ、ヘアーオイルとか持って来てないかな?」
「はい。ありますよ、どうぞ」
ナニしてきたくせに、平然と微笑む数斗は、タオルで頭をごしごしと拭いながら、やってきた。
まだ髪が濡れてるな……ドライヤーの途中で来たのか?
返事をしたナナハネが、バックからポーチを取り出して、ヘアーオイルらしいボトルを数斗に渡そうと伸ばす。
「ん。つけてくれる?」
「えっ」
「お願い」
背凭れを挟んで、数斗はしゃがんで自分の頭を差し出した。
戸惑うナナハネがこちらに助けを求めるみたいに視線をやるけれど、今の恋愛話をしないってなら、助けてやらねー。知らん顔。
ナナハネは観念したみたいに、蓋を外して、ポンプで出したオイルを掌に広げてから、数斗のまだ濡れた髪に塗り始めた。
数斗は嬉しそうに目を細めて笑みを零す。ナナハネに撫でられるように触られて、気持ちよさげだ。
「いい匂い。オレンジかな?」
「ええ、はい。これは、スイートオレンジです」
「七羽ちゃんは、フルーツ系の匂いが好きだね。いつもそう?」
「そうですね……ローズ系だとキツイ感じで、どうしても甘いミックスベリー系を選んじゃいます。このシリーズにも、ミックスベリー系の匂いの物がありますが、かなりしっとりする効果があって、保湿が十分すぎるのでベタつくんですよね。これだと、ごわつきなく、サラッとする効果なんでちょうどよくて」
照れ照れしつつも、ナナハネは顔を向かい合わせながら、数斗の髪に丁寧に塗り付ける。
おれは堪えているが、真樹はニヨニヨしていた。
数斗がナナハネのヘアーオイルの効果を確かめようとしたのか、手を伸ばしたが、ナナハネはバッと身を引いて離れる。
「わ、私のは、もう効果切れですので」
まぁ、それもそうだな。一日シャワー浴びてないんだから。
数斗。しょげるな。
「数斗も聞くか? ナナハネの恋愛談」
「七羽ちゃんの? 恋愛談って?」
この際だから、数斗を仲間外れにせず、聞かせてやればいい。
ナナハネに、むくれ顔で恨めしげにジト目を送られたが、また知らん顔をしてやった。
(2023/10/04)




