『赤光(せきこう)のルベウス』
「あの、本当にありがとうございました。いつまで経っても戻ってこないので捜索隊を出してもらおうと思っていたところです」
「そうでしたか。でも、仲間なのに自分たちで探しに行かれなかったんですね」
「へ? だって、冒険者の手引きには仲間とはぐれた際は合流地点に向い、待つという鉄則があるじゃないですか。私はそれに従って待っていたんですけど……」
「あ、そう言った教えがあるんですね。すみません。勝手に冒険者さんのことを勘違いしていました。もっと仲間思いの人たちなのかと思ってたんですけど、結構冷たいんですね」
「え……?」
「え……」
僕はなぜかリーダー格の女性に睨まれた。
「ご、ごめんなさい。リーダーはいつも言葉足らずなんですよ」
リーダー格の女性の横にいた物腰の低い女性が割って入り、僕に頭を下げてくる。
「私達、ドジちゃんのことをずっと心配していたんです。なので、冷たい訳じゃないんですよ。リーダーは私達の安全を考えた行動をとっただけで……」
「は……、そ、そう言うことだったんですね」
僕はその場で地面に頭をこすりつけて謝った。
「ご、ごめんなさい。自分の勝手な誤解で冷たいだなんて言ってしまいました!」
「え、ええ……。ちょ、頭をあげてくださいよ」
物腰の柔らかい女性は戸惑っていた。
だが、僕はそのまま謝り続けた。
なんせ、仲間の友情を冷たいだなんて言ってしまったのだ。
僕自身に友達がいないからといってあまりにも軽率な言葉。
考えなしに口から出てしまった発言に僕は自分を心底バカなやつだと思う。
「もういいですから、頭をあげてください。私達だって探しに行きたかったですけど、冒険者の手引きに従わないと危険な行動には変わりないですから……。はたから見たら冷たいと思われてしまうかもしれません。それは私も分かります」
リーダーは僕を許してくれた。
心が広い人でよかった。
「あの、あなたのパーティーはどうしたんですか? 周りに見えないのですが。先に帰られたんですかね?」
「いや、僕はソロですよ」
「え……」×4人
「ん?」
なぜか皆、不思議そうな顔をしており、その理由が僕には分からなかった。
「白髪さんはソロだったんですか……。ソロで冒険者の依頼をこなすなんて、勇気があるんですね」
ドジっ子さんは涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔を僕に見せながら、話す。
「えっと……。Eランクの簡単な依頼と聞いたので、ソロでも大丈夫だと言われたんですけど」
「冒険者歴は何年なんですか?」
「今日が初めてですが……」
「え……」×4人
またしても女性たちは疑いの目を僕に向けてきた。
「普通は初めての仕事でソロの依頼は受けませんよ」
「三原色の魔力を二色以上持っていたり、冒険者歴が長かったり、特段強くないとソロで依頼はうけられないと思うんですけど」
「ドジちゃんを助けたのは白髪さんなんですよね、なら特段強い方なんですかね?」
「でも、そう見えない……」
四人の女性は僕の方をそれぞれ見て言葉を口にする。
「ぼ、僕にそんな冒険者のあれこれを言われても分かりませんよ。今日初めての依頼なんですから」
「でも、冒険者のギルドカードを作る時に一定期間講習を受けたり、冒険者の基礎を教えてもらったりするはずですよ。なんか怪しいんですが……」
リーダーさんは顎に手を置いて、僕が不正しているんじゃないかと疑ってくる。
「僕、ギルドカード(仮)なんですよ。なので、リーダーさんの言う講習は受けていないんです」
僕はギルドカード(仮)をリーダーさんに見せる。
「あ、なるほど。ギルドカード(仮)を使って冒険者の仕事をしていたんですね。だから、話がかみ合わなかったみたいですね」
リーダーさんは回答が分かってすっきりしたのか、眉間に寄せていた皴を解き、表情を緩めた。
「でも、何でギルドカード(仮)を使っているんですか? 私、初めて見ました」
「知り合いに、冒険者が少ないから手伝ってほしいと言われまして……。本業の方には申し訳ないんですが副業の感覚でやらせてもらっています」
「なるほど、なるほど……。そう言うことだったんですね。すみません、色々聞いてしまって」
「いえいえ、僕の方こそ軽率な言葉を吐いてしまったので、気にしないでください」
僕とリーダーさんは互いに謝りながら仲直りをした。
「えっと、自己紹介がまだでしたね。私は『赤光のルベウス』でリーダーをしている、トーチ・ラストロと言います。職種は魔導士、三原色の魔力はマゼンタ一色です」
トーチさんはマゼンタ色の長髪ですらっとした体形だった。
露出は少なめの服装。
武器は長さ1メートルほどの魔法の杖を持っている。
顔は綺麗なのだが、眼付が鋭く僕自身が凍ってしまいそうな程冷たく感じる。
ただ、少し口角を上げてくれているので冷徹とまでは言い切れない。
身長は165センチくらいだった。
「私はマイア・アンデシュと言います。副リーダーをしています。職種は弓士、三原色の魔力はイエロー一色です」
マイアさんは黄色の長髪を後頭部で束ねたポニーテール。
こちらも露出度は少なめの服装で、背中に弓を背負っていた。
右腰に矢筒の入り口を向けていることから、右利きだと推測できる。
顔は大人っぽく、しっかり者といった印象だった。
身長は160センチくらい。
「フラン・スカーレットっす。職種は盾士、一応近距離攻撃も出来るっす。髪色から分かると思うっすけど、三原色の魔力はイエロー一色っす」
フランさんは四人の中で一番重装備だった。
大きな盾に鎧、そのせいで肌は完全に隠れている。
さすが盾士なだけあると思った。
髪は邪魔にならないよう短髪で少し男っぽい。
顔は女性らしい小顔で、盾士をしているのが少しおかしく思えるくらいのお嬢様顔だった。
身長はもっとも高く170センチほどだと思う。
靴底のせいか分からないが僕よりも背が高かった。
「わ、私はロミア・モートと言います。職種は剣士です。三原色の魔力はマゼンタの一色です。きょ、今日は助けてくれてありがとうございました」
ドジっ子のロミアさんは僕に向って頭を下げる。
「いえいえ、僕も前助けてもらったのでお相子ですよ」
ロミアさんは四人の中で一番軽装備、剣士だから仕方ないかもしれないが男の人の視線をもう少し気にしてほしい。
しっかり立つと身長は僕と同じくらいで168センチと長身の女性だった。
「最後は僕ですね。初めまして。キース・ドラグニティと言います。職種は決まっていませんが一応剣士と言うことにしておきます。三原色の魔力は持っていません」
僕が三原色の魔力を持っていないと言うと、四人はそんな人初めて見たと言わんばかりに僕の髪を凝視してくる。
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