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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第二章 シトラの為に……

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力の使い方

「リークさんはどうしてそんなに早く動けるんですか?」


「ん~、簡単に言えば魔法でキース君の攻撃を読んでいるからキース君の攻撃を見る前に動作を起こせるんだ。一応言っておくけど使っているのは『藍色魔法:動作予知』っていう魔法だよ」


「す、すごい……。僕もそんな魔法使えたら……」


「はは……。でも、大量の魔力を使うからあまり使いたくない魔法なんだ」


「でも、リークさんなら一撃で勝負を決めるでしょうから回数が少なくて済むんじゃないですか?」


「一対一だったらね。でも、戦う相手が五〇人とか一〇〇人だったらどうなると思う?」


「それは……、消費魔力が五〇倍、一〇〇倍になりますね」


「そうでしょ。どうも『藍色魔法』は魔力の燃費が悪いんだよ。まぁ、『藍色魔法:反射(ミラージュ)』なんかは一回発動すれば効果が消えるまで持続するから比較的楽な魔法なんだけどね」


「へぇ~。七色の勇者の序列で言ったら、藍色の勇者が一位ですよね。それだけ藍色は強いんですよ」


「勘違いしないでほしいんだけど髪の色で人の強さが変わるわけじゃないよ。『藍色魔法』は確かに強いけど、その分扱うのが難しいし、魔力の消費も激しい。逆に序列最下位の緑色の勇者が使う『緑色魔法』は攻撃特化の魔法じゃなく、回復特化の魔法だけど、上手く使えば敵を攻撃しながら味方を回復させられる万能な魔法になる。要は使い方だよ」


「使い方……。そうですよね。強い力でも使い方を間違えたら相手を不幸にしてしまうと言うのはよく耳にします」


「キース君は今の力をどう使うのかな?」


「僕の力ですか?」


「そう、今、キース君は『橙色魔法:身体強化』を使った時みたいに体がなぜか強化されている。その状態が普通なのだとしたら、力を制御して生活しないと生きにくいと思うよ」


「力の制御……。僕、そんな力持っていませんよ?」


「自覚がないみたいだね」


 リークさんは薪を一個持ち、僕のもとに歩いてきた。


「ふっ!」


 リークさんは薪を思いっきり握り締めて、少しだけへこませた。


「これが僕の素の力。キース君も一回やってみて」


 リークさんは薪を僕に手渡してくる。


「わ、わかりました」


 僕は右手に薪を持ち、握り締める。力を入れただけなのに、薪がはじけ飛んだ。


「え……、折れた」


「今、キース君はとんでもなく筋力が高まっている。もしそんな力で大切な人を抱きしめたらどうなると思う?」


「薪と同じく体をへし折ってしまうかも……」


「そう、だね。だからこそ、キース君は暴走している力を制御して、別の方法で活用する必要があるみたいだ」


「いったいどんな方法があるんですか?」


「そうだな……。力を日常的に使って慣れるのが一番いいと思うよ。自然に力の加減が分かるはずだ。魔法の練習もそうだけど、慣れることが一番重要なことかな。慣れるまでとことんやる。これが力を使いこなす一番の近道だよ」


「なるほど……。そうだとすると、僕はもっと戦闘経験を積まないとだめみたいですね。リークさん、引き続きよろしくお願いします!」


「そう来なくっちゃ。それじゃあ、どんどん行くよ!」


 それから五時間後……。


「はぁ、はぁ、はぁ、も、もう無理……、ごめんキース君、僕……もう動けない」


 リークさんは夜空を見て倒れていた。

 僕が倒したわけではなく、リークさんの体力の限界が着てしまったのだ。


「そ、そんな。僕はリークさんの攻撃をまだ一度も回避できていないんですけど。何ならあと二〇時間くらい連続で教えてください。僕、頑張って強くならないといけないみたいですから!」


「は、はは……、あ、アイクさん……、とんでもない子を見つけて来ましたね……」


 リークさんは仰向けに倒れながら外灯に照らされており、やり切った男のカッコいい横顔だった。


 僕はリークさんを担ぎ上げてアイクさんのお店の中に入っていく。


「あ、もう治っている。魔法って凄いな」


 お店の中は元通りに戻っていた。


「ん……。キースか?」


 アイクさんは僕達に気づいたらしく、僕のもとに駆け寄ってきた。


「ど、どうしたリーク! 誰にやられた!」


 アイクさんはリークさんが誰かに倒されたと思っているらしい。

 実際は二日酔いによる疲労と、僕との鍛錬によって極度の体力の消耗により倒れている。


「誰にって……。この子ですよ……。休み無しで五時間ぶっ通しの鍛錬はさすがに今の僕にはきつ過ぎました……。こんなの、学園でもやりませんよ」


「あぁ、リークは疲労でぶっ倒れたのか。それなら仕方ないな。キースの体力は化け物並みだ。なんせ休み無しで丸三日動き続けてたんだ」


「ははは……笑えない冗談ですね。仮眠くらいとっているでしょ……」


「えっと……、仮眠したら間に合わなかったので働き続けました。死ぬかと思いましたけど今こうやって生きていけてます」


「じゃ、じゃあ、すっごく楽な仕事……なわけないか。アイクさんの仕事内容は僕も聞かされてますけど、あれは所業ですよ……」


 リークさんは、くたびれながら話していた。


「馬鹿みたいな仕事を休みなしで三日間動ける体力……。さすがにどの魔法使いでも持っていないですね。実際、一番消費魔力の少ない生活魔法でも三日間出し続けたら死にます」


「生活魔法? そんな魔法あるんですか。僕は七色の魔法しか知らないんですけど」


「まぁ、魔法と言うかほんとに些細な魔法ですよ。例えば『赤色魔法』の中に『ファイア』があるよね」


「ありますね」


「『赤色魔法』の中で『ファイア』はもっとも簡単な魔法。『ファイア』のような簡単な七種類の魔法より、もっと簡単な魔法を生活魔法と言うんだ。学園で習った程度の知識だけどね」


「ほとんど使っている人は見ないがな。まぁ、マゼンタの魔力を持っていない人間は絶対に『赤色魔法』は使えない。だが、生活魔法の『メラ』なら使える」


 アイクさんはリークさんの話を補足してくれた。


「『メラ』はどんな魔法ですか?」


「ちょっと見ていて……」


 リークさんは僕に抱きかかえられた状態で右手を僕の目の前に持ってきた。


「『生活魔法:メラ』」


 リークさんは指先から火の子を発射した。

 実際、火打ち石で火の子を飛ばしたときと何ら変わらない火力で『赤色魔法:ファイア』には到底及ばない代物だった。


「い、今のが『メラ』ですか?」


「そう、実際の使いどころは火付けくらいだけどね。あと、嫌がらせとかよく使われるかな。学園の授業で寝てた時に教授によく前髪を焦がされました」


 リークさんは笑いながら前髪を弄っている。


「『メラ』のほかにもあと六色の生活魔法がある。魔力を持っていればだれでもできる魔法だから、少し練習すれば子供でもできるようになる。学園の初等部で初めに習う魔法基礎で行うね」


「三原色の魔力を持っていない僕じゃ、できないってことですかね?」


「いや、そうとも限らない。確かに難しいと思うけど魔力がゼロの人間はいない。キース君も魔力は持っている。ただキース君に合った七色の魔法がないだけだ」


「え、僕は魔力を持っているんですか?」

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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