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ドラゴンの卵を孵して、大切な家族と王国一周旅行がしたい ~無職が無色で無双する~  作者: コヨコヨ
第七章 悲惨なフラーウス領

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大量のオルソプテラ

「シトラ、虫が苦手なんだね」

「少しならいいけど、何匹もいるのはちょっと……」


 集合体恐怖症というやつだろうか。確かに、大量の虫が蠢く姿は気持ちが悪い。

 外で未だにブンブンと大きな音が鳴っている。大量のイナゴが飛び交っているのだろう。ただ、あれだけ大量のイナゴがいる状況で、列車は真面に進めるのだろうか。

 そう思っていたら、稲妻が落ちるような音が聞こえてきた。

 空気が震える音というのか、窓際が大きく振動している。外は晴れていた。雷が落ちるとは考えられない。でも確かに音は聞こえた。


 外を見たくても、窓を開けてしまうと大量のイナゴが入り込んでくると思うと開けられない。いや『無限』で車両の中に入って来られないようにすれば外が見られるか。

 僕はイナゴと車両の間に『無限』を作り、窓開ける。するとイナゴが入ろうとしてきても、一切車両の中に入ってこなかった。


「う、えぇぇ……、き、気持ち悪い……」


 シトラは大量のイナゴを見て、気分を害していた。

 もう、列車がイナゴの砂嵐の中を進んでいるような状態だ。何匹いるのか予測すらできない。

 そんな中、黄色髪の男性が列車の上を走っているのが見えた。

 雷属性魔法を放ちながら列車に食い付こうとしているイナゴに攻撃を繰り返している。その姿に見覚えがあった。

 この中で真面に動けている時点で凄い人なのだけれど、彼は黄色の勇者ジョールで間違いない。


「おいっ、窓を閉めろ! 食い殺されたいのか!」


 ジョールが車両の上から声を張り上げてくる。

 イナゴによって死ぬ可能性があるのか?

 人まで食らうようになってしまったのなら、危険極まりない。普通のイナゴは確かに数は多いが、一個体の力は非力。ただ、人を食うイナゴがいるのなら、話は別。


「僕たちは大丈夫です。今、どういう状況が教えてもらえますか?」

「大丈夫って……、なら、もう知らんっ! 教えている暇なんかない!」


 ジョールは説明無しに僕たちのもとからいなくなった。


「このイナゴは、魔物化しているのかな? 通常の個体より、明らかに黒い。バッタの魔物でオルソプテラがいるけど、黒色じゃない……」


 通常のオルソプテラはもっと薄い茶色や緑色っぽい。加えて、三〇センチメートルから、一メートル近くまでいる。ただ、普通のイナゴのような大きさの個体は初めてみた。

 それが真っ黒になっており、クサントス領を襲った黒いマクロープスのように個体の色が変わってしまっていた。

 あの時は一番悪い個体が、別の個体を黒くしていた。

 もしかすると、このオルソプテラの大群も何かしら一体の個体から大群にまで発生したんじゃないだろうか。ただ……。


「こ、この中から一体の悪い個体を探し出すのは、現実的に考えて可能なのだろうか」


 光が遮られるほどの数。

 大量のオルソプテラの群れが少し薄くなったころ、列車は最後の駅に到着。フラーウス領にやってきたわけだけれど、降りる者は命が掛かっていそうだ。


「ど、どうしよう、私、外に出たくないかも……」


 シトラは完全に腰が抜けてしまったようで、足がガクガク。


「来てしまったのは仕方がない。僕がいるから大丈夫。シトラにオルソプテラが付かないようにするから」


 僕たちは手を繋ぎ『無限』でオルソプテラが体に付かないように配慮する。扉を開き、外に出る。すると駅のフォームにところ狭しと魔物が並ぶ。人が全員、オルソプテラになってしまったのかと思うほどの数だった。

 僕たちがホームに乗ると、オルソプテラたちは飛びのき、距離を取る。近づこうとしても『無限』の影響で近づけない。


「こりゃあ、本当にやばい状態っぽいね」

「どう考えても、国の危機ですよ」

「お、おうちに帰りたい……」


 僕たちはフラーウス領の駅に降り、フラーウス領の街で何かできないか探る。とりあえず、宿を探すところから。


 街並みは綺麗なのだけれど、至る所にオルソプテラがいる。

 ぴょんぴょんと飛び跳ね、人間の代わりに行きかっているように見えた。

 ただ、アルブにとっては食べ放題にやってきたような状況らしく、パックンパックンと好きなだけ食べていた。

 彼女のお腹は無限に食べ物が入ってしまうので、何十年か食べ続けてもらえばいなくなるんじゃないか……、なんて頭の悪い考えが浮かぶ。


「フラーウス領で会った人、黄色の勇者だけって……」

「他の人達はどこで何しているんでしょうね。仕事はどうやってしているのかも気になります」

「この状況でよく平然としていられるわね。怖すぎるわよ」

「キースさんがいてくれるので、全然怖くありませんよ」

「そ、そうかもしれないけど……」


 シトラは地面にいるオルソプテラが怖いようで、僕に力強くしがみ付いている。こういう時こそ、男らしく妻を守らないとな。

 僕はシトラをもっと近づけるように肩を抱き寄せる。触れている部分が多くなるだけで恐怖心は小さくなるはずだ。


「も、もう……、これ以上、好きにさせないでよ……」

「シトラさんだけズルいですー。ぼくも、魔物がこわいこわいー、きゃー」


 ミルは下手くそな演技で、僕に抱き着いてくる。あまり密着されると動きにくいけれど、生憎周りに誰もいないので別にいいかと思ってしまう。


「人がいないと、誰かに話かけることも出来ない。案内板があればいいんだけど」


 駅の近くなら案内板があってもおかしくない。状況を探るため、フラーウスギルドに向かうのが一番手っ取り早いだろう。

 できれば、トロンくんの両親も探りたい。


「あれが案内板か……」


 僕はオルソプテラが張り付いて、黒い板にしか見えなくなっている物体を見つける。近づいて個体を払うと、フラーウス領の地図が現れた。食べられていないので、問題なく読み取れる。


「この道を真っ直ぐ行けば問題なさそうだ」

「この状況、馬とか絶対に餌食になっちゃうわよね……。移動とか、食料とか、どうしているのかしら」

「わからない。でも、誰もいないわけじゃないはずだ。さっきも黄色の勇者がいたんだから」


 僕たちは街中を見て回っていると、他の街中と全く別物だった。

 扉や窓に鉄製の板が取り付けられており、隙間からオルソプテラが入り込まないようにされていた。

 食料は木製の箱ではなく、鉄製の缶詰が鉄の容器で守られている。

 体を食べられないように、分厚い革の服や鎖帷子を身に纏っている。

 顔も隠され目もゴーグルのように守られていた。

 普通の人は、そこまでしないと外を出歩けないようだ。『無視』を使い、人々の目を向けられないように配慮する。


 問題なく移動していき、フラーウスギルドの前まで到着した。入口の前に小さな部屋のような建物が立っている。

 オルソプテラが建物の中に入らないようにするための二重扉の役割を果たしているようだ。僕たちの体に、一匹も付いていないので全く問題ない。

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