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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第五章:ウィリディス領の実態

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お風呂付の列車

「シトラさん、そんな厭らしい顔を昼間っからしちゃ駄目ですよ」


「い、嫌らしい顔なんてしてないわよ……。ちょっと体温を調節しようと思っただけだし」


 ミルとシトラは軽く言い合いに発展していた。冷房が効いているのに暑苦しさと欲求が重なり、どちらも一歩も引かずに取っ組み合いに発展した。

 このままでは両者共に殴り合いにまでなってしまうのではないかと思い、止めざるを得なかった。だが、もっと早く止めなさいよと言われた。なんて理不尽なのだろうか。

 まあ、男が不幸を被るのが結婚と聞くし、喧嘩が悪いのは初めからわかっていた。それを止めるのが男だというのなら、そうなのだろう。でも、女の喧嘩を止めるなんて相手の好みを探るのと同じくらい難しい気がする。


 僕は二名の喧嘩を止めた後、机の上ですやすや眠るアルブの背中を撫でながら、意欲を高め勉強を再開した。シトラとミルも僕に迷惑を掛けまいと勉強を始め、三時間ほど経つとミルは熟睡、シトラは集中力の低下が見て取れる。


「三時のおやつでも頼もうか」


「そうね。そろそろ休憩したいわ」


「しゅぴぃ~」


 僕たちは駅員さんに頼み、三時のおやつを購入した。チーズケーキ、チョコレートケーキ、ショートケーキの三種類と紅茶二杯、珈琲一杯で、金貨三枚。

 普通に買うよりも高い気がした。でも、仕方がない。これも列車を運営している者達の商売なのだ。潔く払い、三人で食べた。アルブが僕の分のケーキをパクリと食べてしまい、珈琲しか飲めなかったが僕にとっては十分な休憩となりその後の勉強が捗る。


 午後五時頃、勉強を止め、それぞれの鬱憤を解消してもらった。シトラは全身から汗を掻くほど体を激しく動かし内側に溜まった鬱憤を汗と共に発散していた。


 ミルはトランクから避妊具と禍々しい形の何かを取り出してトイレに駆け込む。

 僕に『無音』を使ってほしいとお願いしてきたので、使ってあげた。その結果、中で何が行われているのか全くわからないほど音がしない。扉に耳を当てて聞こうとしても全然聞こえない。だが、閉じられたトイレの扉の隙間から甘ったるい猫族の求愛フェロモンが溢れ出していた。


 列車の中でミルのフェロモンが蔓延したら最悪な状態になる。トイレの窓を開けさせ、換気してもらうと幾分かマシになった。ざっと一五分ほどの長いトイレが終わったミルはトイレの中から出てきた。

 全身汗まみれ。だが、にぱーっといい笑顔になっており、先ほどの辛そうな顔とまるっきり違う。鬱憤がしっかりと晴らされたらしい。乾いた布でミルの体に滲み出した汗を拭き取り、汗を吸った布を窓から出して『無限』で汗と布の間に空間を作る。すると、湿っていた布は一瞬で乾き、列車の外に汗は吹き飛ばされた。


「これでよし。ミル、辛いなら発情止めを飲めばいいんだよ」


「飲んでこの状態です。飲まなかったらぼくはキースさんにお尻をずっと振っているふしだらな猫になってしまいますよ。気持ちが昂り過ぎて我慢するのが物凄く難しいんです。出来る限り考えないようにするので、そのまま、何も聞かないでください」


 ミルは体を揺らし、呼吸を整えていた。出来る限り感情の高ぶりを押さえているのだろう。その姿を見ると、やっぱり辛そうだ。


 夕食時までそれぞれ好きなことで時間を潰した。

 午後七時になると料理が運ばれてくる。料理の内容は高級な肉料理と暖かいスープにパン、新鮮なサラダ。もう、列車の中で料理を作っているとしか考えられない品ぞろえで、どれもこれも美味しい品ばかり。

 八日間、同じ料理でも飽きが来なさそうだ。シトラとミルも美味しさのあまり、耳と尻尾を沢山動かしている。お替りも出来るので少なくとも一回はお替りした。


 お風呂があるというので覗いてみると本当にあった。僕が足を延ばせるほど余裕で入れるほどの大きさで、脚を曲げれば、三人でも入れる。まさか、列車に乗りながらお風呂に入れる場所があるとは……。各列車で作りが違うのかな。


 せっかくお風呂があるのだから皆で入り、体を温めた。まあ、夏なのでお風呂に入らなくても体は熱い。でも、やっぱりお湯に浸かるというのは疲れを癒してくれる。体を暖めるという目的ではなく、疲れを洗い落とすという感覚で入った方が良さそうだ。その方がしっくりくる。走行中の列車の窓を開けると、外の景色を堪能しながらお風呂に入れた。周りから除かれる心配もなく、楽しいひと時を過ごせる空間に感謝感激だ。


「はぁ~、列車からの景色を見ながら入るお風呂もいいね」


「最高の一言に尽きるわ。まぁ、お風呂に入るだけなのが惜しいけどね」


 シトラは洗い場の無い狭いお風呂場を見ながら苦笑いを浮かべていた。それでも、汗を洗い流せるだけで気分がすっきりするのだから、文句の言いようがない。素晴らしい空間だ。


 体から汗を洗い流したあと、脱衣所で乾いた布を使い体を拭いた。室内の涼しい空気が隙間から漏れてくるのか、熱った体に丁度いい涼しさを堪能できる。

 新しい下着と薄手の半そで半ズボンを羽織り、涼しい室内に戻った。


 現在の時刻午後九時。一時間勉強してから、寝る準備を始める。歯を磨いてトイレを済ませ、ベッドに寝転がる。僕は無休で寝なくても問題ないが、一人、鬱憤を溜めまくっている者がおり、愛情を与えないと倒れてしまいそうだった。

 両手をぎゅっと握りしめ、お風呂を出た後からずーっとランジェリーを着こんでいるミルが金色の瞳を暖色の照明によってキラキラと輝いている。

 軽い化粧と潤った唇、楽しみ過ぎるのか笑った時に見える犬歯などが光を反射させ、僕を狙っている猛獣のような熱気を放っているように見える。

 味見したくてたまらないのか、舌なめずりしてベッドに四つん這いになりながら上がって来た。薄手のランジェリーなので、ミルのそこはかとない胸の谷間がよく見える。まあ、彼女に谷間は無いがそんなことをはっきり言うと、怒るので、言わない。言う必要もない。


「キースさん……。ぼく、もう、我慢できません……」


「ミル、良いよ。おいで……」


 両手を広げ、愛情に飢えた猫族を招き入れる。後方に自分も甘えたいんだけどと言いたそうに尻尾を振っているシトラがいるが、今はミルの鬱憤を晴らさないと、生活に支障をきたすため、先にミルの方を可愛がる。

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