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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第五章:ウィリディス領の実態

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楽園のような光景。

「はぁー、当時は水で体を洗っていたけど、こんなに広かったんだ……」


「ほんとね……。無駄に広いわ」


 シトラは辺りを見渡し、口を開けていた。


「こんなに広いと泳げちゃいますよ~」


 ミルは平泳ぎをしながらお風呂を楽しんでいた。

 お風呂に入っていると、扉が開き、獣族のメイドたちがやってくる。


「え、えっと……」

「お客様の背中を流すようにと仰せつかりました」

「私達にキース様の体を洗わせてくださいニャ」

「お、奥様方はそのままお風呂に浸かっていてください」

「うぉ、スージア様よりも凄い体……。そそるぜ」


 獣族のメイドたちは僕のもとにやって来て背中を流してくる。


「キース、変な気を起こしちゃ駄目よ。ただのしきたりみたいな行いだからね」


 シトラはものすごーく怖い表情を浮かべ、僕に話しかけてきた。


「わ、わかってるよ……。あ、あはは……」


「キースさん、やっぱりおっぱいが大きい方が良いんですね……」


 ミルはペタンコな胸に手を当てて、耳をヘたらせた。どうも、獣族のメイドたちは皆乳が大きかった。スージア兄さんの好みだろうか……。僕は乳の大きさで善し悪しを決めるような浅はかな男ではない。だが、眼福なのは間違いなかった。


「キース様、凄い筋肉ですね……。こんな体に抱きしめられたら、体がキュンキュンしちゃいそうです……」


 モクルは石鹸を手の平に付け、僕の腕を洗いながら微笑んでいた。


「この匂い、くらくらしちゃいそうなくらい強いオスのにおいなのにゃ……」


 猫族のメイドは首筋に鼻を近づけながら背中を洗ってきた。


「み、皆、あまり近づいちゃ駄目だよ……。ただ背中を流すだけって言われたでしょ……」


 犬族のメイドは皆になんやかんや言いながら僕の体に抱き着いている。


「あぁ……。こんなのぶち込まれたら絶対やばいぜ……。体が疼いちまう……」


 虎族のメイドは鋭い眼光を僕に向けながら涎を啜っていた。


 僕は感情を無にしながら、体を洗われた。シャワーで石鹸を落とされた後、シトラとミルもメイドたちに体を洗われていた。


「では、失礼いたしました」


 メイドたちは僕達の体を洗い終えた後、お風呂場を出て行った。


「はぁー、息がつまる思いだったよ……」


「キース、今日は許さないんだから……」


 シトラは僕の腕に抱き着き、頬を膨らませていた。


「そうですそうです、ぼくも怒っちゃいました」


 ミルも僕の腕に抱き着き、体を密着させてくる。

 僕は怒られるようなことをしただろうか。もし、そうなのだとしたら、なにが原因かわからない。でも、原因を聴いたらもっと怒られるのは明白。だからこそ、じっと押し黙る。


「なにか言ったらどうなの」


「キースさん、ぼくたちは怒っているんですよ。ぷんぷんのかんかんです」


「えっと……。僕はシトラとミルを愛しています……」


「愛を呟けば許すと思ったの……。おバカ……」


「いっぱいのおっぱいを見て少し喜んでごめんなさい……」


「よろしい」


 シトラとミルは僕の謝罪で許してくれた。沢山乳があったらどうしようもないと思うけどなぁ。


 僕は頭から楽園のような景色を振り落とし、現実に戻る。すでに両隣に天使のような妻がいるのだから、甘い誘惑に惑わされてはいけないと自分を戒める。


 体を温め直したあと、お風呂から上がり、寝る準備をして客間に向かった。

シトラとミルの髪をブラシで梳き、気分を上げてもらう。


「はぁー、やっと寝られる……。と言うか、この家に住んでいたのに、こんな場所に来るの初めてなんだけど……」


 僕は大きくて柔らかいベッドの上で寝ころぶ。


「確かに、こんなところで寝るのは初めてね。さすがにこのベッドを汚すわけにはいかないから、今日はお預けね」


 シトラは僕に軽くキスした後、すーっと眠りに入る。


「今日はお預けですかー。残念です」


 ミルも僕にキスしてから深く眠りに付いた。


「二人共、お休み」


 僕も目を瞑って眠る。無縁の部屋でも妻が一緒に寝てくれたから、しっかりと寝つけた。

 次の日、ミルにキスされながら起こされた。


「キースさん、おはようございます。今日も元気に生きましょう」


 ミルはこれ以上ない幸せを噛み締めながら、笑顔を浮かべる。


「うん。おはよう」


 僕が上半身を起こすと、シトラも目を覚ました。彼女は上半身をもたげ、僕の顔に手を添えると唇を重ねてくる。


「キース、おはよう。よく眠れたようね」


「おはよう。確かによく眠れたよ」


 僕はシトラの笑みと少々はだけた寝間着姿を見て、軽く興奮してしまった。


「身と心が元気になったみたいね。よかったわ」


 シトラは僕に覆いかぶさってくる。


「ムムム……、シトラさんの方が色気があったと言うことですか。悔しいです」


 ミルは僕のズボンに手を伸ばした。二人も元気になり過ぎだ。


 僕は軽く奉仕を受けた後、起き上がって服を着る。


「いったん家に帰って夕方ごろにドマリスさんの家に向かうよ」


「わかったわ」

「了解です」


 シトラとミルは軽く頷く。服を着替え終えた後、食堂で、朝食をいただいた。スージア兄さんはエリクサーの代わりになるような品が今、出せないと言う。でも、僕はすでにアルブと言う友達を受け取っているので、気にしないでもいいと伝えた。


 朝食後、僕達は自分達の家に帰る。その途中に市場により、食料を買っておいた。


 家に帰った後は当たり前のように勉強と鍛錬を始める。シトラが料理を作り、皆でパンや焼かれた肉、スープ類を食べた。


 昼食を終えてからも勉強と鍛錬に時間を使った。知識を深め、技術を高め、自分に出来る背一杯の努力を怠らない。もし、手を抜いてシトラやミルが奪われたらまた、後悔する。そんなの嫌だ。だから、サボりたいと言う気持ちが沸いて来ても不安な気持ちをかき消すために努力する。ミルがボケーッとしている姿を見ると妙に集中できるので、逆にありがたかったりするが、少しでも気を抜くと僕もボケーッとしてしまうので、意識をはっきりとさせる。


 午後四時になり、ドマリスさんの家に向かった。


「おや、キースさん、お久しぶりです」


 ドマリスさんは僕が指導したクルス君の父親だ。今、目の前にいるのは執事のモンズさんだ。

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