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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第五章:ウィリディス領の実態

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アルラウネの本体

「腐ったこの国をぶっ壊してもらうのさ……。アルラウネは国を崩壊させることができるほどの魔物だ。歴史書にも乗っているくらいだからな。アルラウネによって滅んだ国は数知れず。緑色の勇者と黒色髪の者だけが、戦えると言う何ともふざけた魔物だ。私の娘と妻を奪った元凶……。歴代最弱の緑色の勇者にアルラウネが狩れるわけがない。このまま、国が亡ぶのを待つか、他国に逃げるか、隙にすればいい」


「家族が無くなったのは災害に巻き込まれたからですよ。他の人を巻き込んでいいわけがない」


「あぁ、災害だとも……。多くの犠牲者を出した最悪な災害だ。あんな奴が来る場所に国があっていいわけがない。これ以上悲しむ者が現れるのなら、国ごと滅びてしまえばいい」


 学園長の考えは極端で、真面な精神状態じゃなかった。


「『無心』」


 僕は学園長に能力を使った。彼は心が無になり、その場で放心状態になっている。なぜその場にいるのかもわかっていないだろう。考えが出来ないので動くことも出来ない。


 僕は学園長を園舎の中に避難させる。その後、マンドラゴラの駆除をあとに回し、家に帰ってフルーファを取りに来た。フルーファを背負い、持ち物を全て手にした後、家を出た。その時、丘から城壁の向こう側に巨大な根が地面から生え、巨大な花の上に立つ異様な威圧感を放つ魔物が見えてしまった。


「あれだ……。あれが本体だ」


 遠目で見ても異様な大きさで、花のマンドラゴラがいる地面を巨大な根で解しながら、土ごと口に放り込んでいる。


「ブラックワイバーンくらい威圧感が半端じゃないな……。ブラックワイバーンの時はルフス鉱山の頂上に現れたから人への被害が少なかった。でも、今は違う。ウィリディス領の人々が危険に陥っている。逃げるわけにはいかない」


 僕はアルラウネの接近を発見し、北西まで全力で走る。ミルとシトラ、プラスさんも向っているはずだ。

 僕が一番に到着していないと行けなかったのに、一発目に食らった攻撃で頭が狂わされていた。魔力視が使えても脳が見えるわけじゃない。アルブもいなかったため脳に付着した魔力を見つけられなかったのが原因だ。

 今、失敗を悔しがっている場合じゃない。全力で走って、領内に入る前に戦わなければ。


 僕がウィリディス領の中を走っているとローブを着た見覚えのある集団が蜘蛛の子のように散り散りになっていく。非常事態に悪事でも働く気なのか、締まっている宝石店や高級品が売られている店に入って行く。未だに懲りずに盗みを働いているのか……。

 この瞬間を見計らっていたかのような行動に吐き気がするも、今はかまっている場合じゃない。アルラウネが領土の中に入って来たら多くの者が被害にあう。そうなったら、お金がどうとか言っていられない。なにがなんでも進行を食い止めて、領土に入る前に倒しきる。


 アルラウネの根が魔力を持つ者を探し、ウネウネと建物に纏わりついている。ウィリディス領が緑の領地になってしまったのは全てアルラウネの根のせいだと知っているが、今は考えている場合じゃない。アルラウネ本体以外見ず、北西に向って全力で走った。


 ☆☆☆☆


 壊れた城壁の奥から見えるのは鼻歌のような音楽を口ずさんでいる魔物の姿だった。僕の姿を視界にとらえるや否や、口を大きく開き、花の胚珠の部分から魔力が人型の個体に送られ、口が緑色に光っていた。

 あの攻撃は先ほど見た。僕の脳内も狂うほどの濃い緑色の魔力を放つ攻撃だ。あの攻撃を受けたら普通の者は死んでしまうのだろう。

 自分の三原色の魔力以外を体内に入れたら拒絶反応を起こす。きっと緑色の魔力が一〇〇パーセントの攻撃なのだ。だから、緑色の勇者しか耐えられない。加えて黒色の魔力を持つ者は緑色の魔力も黒で塗りつぶせるから効果が無いのだろう。ほんと、どうせなら無色じゃなくて黒色の魔力を持って生まれたかった。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!」


 音速三四〇メートルでウィリディス領内にいるすべての者に届きそうなほど大きな声が響き渡れば、声に乗った一〇〇パーセントの緑色の魔力が体に流れ、毒となり死に至る。


「『無限、対象、緑色の魔力と無色の魔力』」


 僕は叫び声に大きな問題はないと知り、緑色の魔力だけを高大に広げた僕の無色の魔力で防いだ。

 だが、バカみたいに無色の魔力を消費した。そりゃ、北西方向から来る扇状に広がる緑の魔力を防ぐほど無色の魔力を放出し『無限』を使ったのだ。

 あの攻撃を連発されたら、さすがに身が持たない。声に問題が無かったせいで、僕が考えていた対処方法は絞られてしまった。

 口を封じて攻撃を畳みかけると言う作戦は取れなくなった。でも、僕が囮になって他の者が戦うしか、ウィリディス領に被害を出させない方法が考え付かない。


「主、大丈夫ですか!」


 勢いよく飛んできたのはアルブだった。シトラとミルのもとにいたはずなので、もうすぐ来ると思われる。


「アルブはアルラウネの声を『無音』で消して。僕が囮になって戦う作戦は変えず行う」


「了解です」


 アルブは彗星の如く素早く飛び、アルラウネの頭上に移動。


「『無音』」


 アルブの力により、アルラウネは声を失った。


「あれ、声が出せなくなっちゃった。もう、最悪。せっかく沢山の魔力が食べられると思ったのに」


 アルラウネは声が出せないのに、喋っていた。どうやら声帯で喋らずに頭に直接喋りかける念話が使えるようだ。でも、相手を即死させる方法はすでに解読済みなので、当たらなければ問題ない。


「アルラウネ。お前はここで倒させてもらう」


 僕はフルーファの柄を握り、即死の攻撃に備える。フルーファなら、魔力を抉れる。あの即死の攻撃も魔力なら食べてくれるはずだ。分身体の攻撃では僕は即死しなかった。魔力量が多かった影響で濃度が薄まったのだろう。でも、他の者が食らったらただじゃすまない。

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