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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第五章:ウィリディス領の実態

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繁華街の観光

「心はシトラが支えてくれるんでしょ」


 僕はシトラの腰に手を回し、くっ付く。


「行く当てもないからそうしてあげるわ」


 シトラはおはようのキスをして来た。


「じゃあ、今日も頑張って働きなさい」


「うん、そうするよ。領内を旅行する日は八日に一度とかにしようか」


「そうね。ずっと旅行だけしていてもありがたみが薄れちゃう。そのくらいの頻度で良いと思うわ。楽しみながら仕事をして沢山稼いできなさい」


「はは……。まあ、虹硬貨八枚分くらいは稼ぎたいかな」


「この領土でそれだけ稼げたら相当なやり手よ。頑張って」


 僕はシトラが使った土地代を稼ぐため、ミルと共に冒険者の仕事を行う。


「うぇーん、ぼくもキースさんとお風呂に入りたかったですー」


 ミルは昨晩疲れすぎて超ぐっすり眠ってしまっていた。そのため、現在すねている。


 ミルは朝食を得てから服を着替えた。

 僕はすでに着替えているのでいつでも出発できる。


 僕とミルは出入り口に向かう。アルブは僕の肩に飛び乗り、まったりした。


「じゃあ、シトラ。僕達は仕事に行ってくるよ」


「ええ、行ってらっしゃい」


 シトラはメイド服姿で微笑み、見送ってくれた。


 僕とミルはウィリディスギルドに移動し、依頼を見る。薬草採取を手に取り、受付に持って行って受理してもらった。その後、指定された薬草を取りに向かい、午前中に依頼完了。

 そのまま『緑の森』のなかでミルと鍛錬し、勉強を行う。勉強中、人とたまにすれ違うが挨拶だけして気にも留めない。


「勉強、勉強、楽しいなぁ……」


 ミルは集中力が切れ、地面に落書きを書いていた。


「そろそろ帰ろうか」


「はい! おやつ食べたいです!」


 ミルは急に元気になり、両手を上げてお菓子を欲しがる。


「わかった。じゃあ、ウィリディスギルドに返ってからお菓子屋さんに寄ろう」


「はーいっ!」


 ミルは元気よく返事をした。


 僕達は薬草を持ってウィリディスギルドに戻り、報酬をもらってそのままお菓子屋さんに向かう。お菓子を買って家に帰る。このような生活を七日続け、予定していた観光を行う。


「じゃあ、今日はウィリディス領の繁華街に行ってみよう」


「はい! 服装はどうしますか!」


 ミルは手をあげ、訊いてきた。


「僕は普通に冒険者服で……」


 僕が言葉を言いかけていると、シトラとミルは顔を暗くする。


「ちょ、ちょっとおしゃれして行くよ……。シトラとミルもおしゃれして行ったらどうかな」


「はい! そうします!」


 ミルは暗い顏がパーッと腫れ、元気よく返事をした。


「もう、仕方ないわね」


 シトラは渋々了承し、微笑みながら立ち上がる。


 僕はあまり高い服を着ると他の者と浮いてしまうと考え、冒険者服ではなく白のカッターシャツと黒いズボンを身に着ける。

 深緑色のローブを羽織り、アダマスを左腰に掛ける。フルーファを背負ったら冒険者になってしまうので、今回は置いていく。ブラックワイバーンの革で作られた靴を履き、準備を終えた。


「キースさんが冒険者服を着ていない所を見るのは新鮮ですね」


 ミルは僕の服を見ながらシトラに話しかけた。まだ服を着ておらず、下着の状態だ。


「そうね。いつも冒険者の恰好をしているから、普通に違和感があるわ」


 シトラも服を着替えている途中で、未だに選んでいた。

 僕は服をほとんど持っていないが、シトラとミルは何を着るか迷うほど、すでに持っているらしい。まだウィリディス領に着て半月も経っていないのに……。まあ、自分のお金を使っているのだからいいか。


 僕は寝室から出て居間でアルブを撫でながら待っていた。


「じゃじゃーん、キースさん、どうですか? ぼくの春物衣装です!」


 ミルは薄い桃色のニットと白いフリルが付いたクリーム色のスカートを身に着けていた。

 首にスカーフを巻き、大人っぽさを醸し出している。

 動きやすい茶色の革靴を履いており、全体的に纏まっていた。手もとの銀色の指輪や手首に黒色のブレスレットが見える。スカーフで見えないが首にネックレスも掛けているのだろう。


「凄くよく似合ってるよ。ミルの元気な印象がそのまま出てる」


「えへへー、ありがとうございます!」


 ミルは頬を赤く染め、身を捩る。


 ミルが出てきたあと、シトラも出て来た。


「ど、どう……」


 シトラはオーバーオールと白いニットを着ていた。尻尾がどうなっているのかと思ったら、穴に通してあり、問題なかった。

 銀色のネックレスは見えるが、装飾品は襟元に入っており見えなかった。シトラの放漫な胸がニットのせいで強調されており大人っぽいがオーバーオールのおかげか絶妙に子供っぽい。大人と子供の間のような雰囲気を放っている。


「凄くよく似合ってるよ。シトラの大人っぽさと子供っぽさが良い具合に混ざっていて、春っぽい。シトラはどんな服を着ても似合っちゃうね」


「うう……、ほ、褒めすぎ」


 シトラは耳と尻尾をヘたらせ、視線を下げる。


「悔しいですけど、シトラさんの体型には勝てません……。だからぼくは動きや振る舞いで可愛さを醸し出します!」


 ミルは僕に抱き着き、微笑みながら言う。


「どちらも可愛いよ。僕の自慢の妻だ。だから、張り合わないで」


「まったく、今日は舌が良く回るわね」


 シトラも僕にくっ付き、歩きにくい状況を作る。


「じゃあ、ウィリディス領の繁華街に行こうか」


「はい!」


 ミルは大きな声を上げ、返事をする。


「ええ」


 シトラは穏やかな返事をした。両者共に全く違う言い方で性格の違いが良くわかる。


 僕はアルブを抱きかかえ、赤子のように優しく接する。実際、まだ一歳にもなっていないので、赤子同然だ。


 僕達は家を出てウィリディス領の繁華街に移動する。多くの観光客や日ごろから使用している領民の方達が多くおり、賑わっていた。

 とても賑わっているので僕達のような白髪や金髪、銀髪の者がいても大して気にされない。なんなら、僕が『無視』を使っているのでこちらから話しかけない限り気づかれない。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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