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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第五章:ウィリディス領の実態

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新居での生活

 瓶に入っていた珈琲豆をコーヒーミルに入れてゴリゴリと削る。漏斗にろ紙を引き、引いた珈琲豆を入れ、じっくり蒸らしながらコーヒーカップに注いだ。


「はぁ……。フルーティーないい香りがします……」


 ミルは椅子に座り、匂いと外の景色を見て心を落ち着かせていた。


「ほんと、良い景色ね……。王都とは段違いだわ」


「別に王都が悪い場所じゃないんだけどね……。こっちが良すぎるのかな」


 僕は珈琲を三杯入れ、テーブルに持って行く。クッキーや角砂糖を取り出し、テーブルに置いた。シトラとミルは角砂糖を珈琲の中に沢山入れて飲む。僕は苦いまま飲んだ。


「珈琲の味はわからないけど、良い品だって言うことはわかる……。クッキーも美味しい。こんなに初めから何でもそろっているなんて、本当にお得だね」


「でしょでしょ。私の目に狂いは無かったわ」


 シトラは珈琲とクッキーを交互に楽しんでいた。ミルは珈琲にクッキーを浸し、楽しんでいる。周りに貴族はいないので、どのように楽しもうが自由だ。


「一応言っておくけど、僕達は男爵家だからね」


「……はっ」


 ミルは気づき、粉が付いた指を舐める行為を止めた。


「うっ……」


 シトラは脚を組みながら珈琲を飲んでいたが、姿勢を正す。


「キースさんが男爵なの忘れかけていました。ぼく、婦人なんですよね。食事の規則を守らないと痛い目を見そうです……」


 ミルは背筋を正し、胸を張って珈琲を飲む。


「あまり意識しすぎるのもよくないからほどほどにね」


 僕達は晴れているおかげで遠くまで見渡せるウィリディス領の綺麗な景色を見ながら一服した。昼頃になり、買い物ついでに外食をすることになった。


 人が並んでいるお店に入り、暖かいコーンポタージュやサイコロステーキ、美味しい白パンを堪能する。


「ウィリディス領の各地で犯罪者がまたでたらしいわ。もう騎士達は何をしているのかしら」


 お店の中で食事をしていた女性が呟く。


「そうね。ウィリディス領で犯罪なんて滅多に起こらないのに、最近、立て続けに起こってるなんてちょっと怖いわね。騎士に何とかしてほしいわ」


「はぁー。緑色の勇者様じゃ頼りにならないものね……。きっと他の領土なら、犯罪者が出ても勇者様が守ってくれるんでしょうね……。羨ましいわ」


 女性陣は平和な領土で暮らしているせいか、数件の犯罪があっただけで恐怖していた。シトラとミルは彼女たちの方に驚愕しており、少々怒りを覚えている。


「他の領土に行けば犯罪なんて日常茶判事なのに……。二、三件で済んでるだけマシでしょ」


 シトラは小言を呟きながら食事を進める。


「赤色の勇者なんて犯罪者も同然ですよ。あんなの勇者に数えられません」


 ミルも怒りながら食事を進める。


「まあまあ……。安全な場所にいると平和ボケしちゃうんだよ。でも、事件が起こっているのはどこも同じだから、警戒心が強くなるのは悪くない。きっとみんなの防犯に対する意識が高いから犯罪が少ないんだと思う。集団圧力ってやつかな」


「なるほどね。まあ、そもそも犯罪をする必要が全くないくらい生活が安定しているのよね」


「そうらしいですね。孤児も見当たらないですし、野垂れ死んでいる者もいないなんて異常ですよ。街も綺麗ですし、全然臭くない。別世界みたいです」


「確かに。王都は結構失業者もいたし、孤児も一定数いた。ウィリディス領は目を凝らしても見当たらないし、本当に質が良い領土なんだね」


 僕達は昼食を得た後、買い物に向かう。売っている品は外食よりかは値段が安く、自分達で料理をしていた方が値段が安くなった。

 そのため、ウィリディス領に住んでいる者はあまり外食せずに、自分達の手で料理を作って食べるそうだ。着職に行ける者はお金持ちの者が多い。だから、犯罪者に敏感になっていたのかもしれない。


 僕達は肉や野菜を購入し、家に帰った。僕たちに掛かればこの程度の山は障害にならない。そのため、あっと言う間に家に到着した。


「よし、行って帰ってくるのも別に苦じゃないね」


「獣族の運動神経とキースの体力なら何ら問題なかったでしょ。誰にもじゃまされない空間が虹硬貨八枚で手に入ったのよ」


「……普通に高いからね」


 僕はシトラの発言に突っ込んだ。


 家の中に入り、シトラは夕食の準備。僕はお風呂にお湯を張った。魔動式の給湯器が付いており、お湯を作るのはとても簡単だった。


 僕はシトラの元に戻り、一緒に夕食を作る。

 夕食を作る時も外の景色が見えるので、心が落ち着く。外をふと見れば絶景なのだ。隣を見れば大好きなシトラが楽しそうに料理を作っているし、皿の用意をしているミアも笑顔だ。

 テーブルの上で寝転がっているアルブも幸せそう。宿に泊まっていた時はこじんまりとしていてそれはそれでよかったが、今は自然の中にいるような不思議な感覚を味わっている。無性に心地よい。


 料理を作り終えたころ、午後六時三〇分。椅子に座り、四名で夕食を楽しんだ。シトラの完璧な味付けと僕が切った野菜、ミルが用意してくれた食器とパン。皆が強力して夕食を作り上げていた。それだけで統一感が出て僕達の仲を深めてくれる。


 夕食を終えると、僕達はお風呂に入った。


「このガラスって外から見えないの?」


「見えないようになってるみたいよ。こっちからは見えるけど、あっちからは全く見えないんだって」


 シトラはお風呂に入りながら堂々と言う。


「へえ……、不思議。どんな技術が使われているんだろう……」


「まあ、そんなところを気にしてもしょうがないでしょ。今はお風呂を楽しみになさいよ」


「そうですよ良い景色を見ながら待ったりしましょう」


 シトラとミルは僕の腕を持ち、引っ付いてくる。外は暗く中は魔石の優しい緑色の光がまったりとした雰囲気を作り出していた。僕は外の綺麗な夜景を見ながら両脇にいる妻と共にお風呂を堪能した。やはりお風呂は落ち着く。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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