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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第五章:ウィリディス領の実態

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ウィリディス領で買った別荘

「おはようございます」


 僕はウィリディスギルドの受付嬢さんに挨拶をした。


「ああ、白髪の冒険者さん。おはようございます。えっと、昨日は質が良い薬草を提供していただきありがとうございました。各薬草の買い取り金額を支払わせていただきます。通常各薬草は銀貨一枚の買い取りですが、最近は数が少なかったので銀貨三枚での買い取りになります。六六株ずつあったので回復草、解毒草、解麻痺草、解熱草の四種類で中金貨七枚と銀貨二枚になります」


「ありがとうございます。では、また同じ薬草採取の依頼に行ってきます」


 僕とミルは昨日受けた薬草採取の依頼を受けた。大量に取ると自然が壊れるそうなので、それぞれ一〇株までにしてほしいと言われた。一株銀貨三枚なので、四種類集めれば金貨一二枚。僕達にとっては十分な報酬だ。


 薬草を取って森の中で鍛錬をする。ミルの勉強も森の中で行った。どうも建物内で勉強するのとは違った解放感があり、集中力が続くそうだ。


「鍛錬と勉強、仕事を一変にやっている気分です。体力が無いとすぐにばてちゃいますよ」


「大変だけど、僕達なら達成できる。なんせ、すでに習慣になってしまっているからね」


「そうですけど……。森の中で勉強しているなんて、他の人に見られたら何を思われるか」


「どう思われてもいいじゃん。勉強しているなんてすごいことなんだよ。あの子達凄いって言われるに決まってるさ」


「確かに……。森の中で勉強していたら凄いって思いますよね」


 ミルはやる気を取り戻し、午後三時頃にウィリディスギルドまで戻って来た。


 ウィリディスギルドに到着すると、受付に完璧な緑髪の女性がいた。髪型はポニーテール。服装は布地が白で縁が緑色の女性用燕尾服を着ている。肩から緑色のローブを羽織っていた。左腰に細剣(レイピア)が掛けられている。その全体像にあまりにも見覚えがあった。


「あ……。白髪の子」


 女性が後ろを振り向くと僕の顔を見る。


「もしかして、この薬草はあなたが全部取ってきたんですか!」


 緑色の勇者こと、プラスさんは両手に麻袋を四袋もち、僕に問いかけて来た。


「は、はい」


「ありがとうございます! これだけあれば、各種類のポーションが沢山作れます!」


 プラスさんは頭を何度も下げて微笑みながらウィリディスギルドを出て行った。


「キースさん。今の人は知り合いですか? 物凄く良い匂いがしました」


「えっと……。あの方は緑色の勇者だよ」


「ええっ! あの人が勇者なんですか! ……ぼくより弱そうでした」


「そ、そんなことを言ったら駄目だよ。緑色の勇者さんも強さを気にしてるんだから」


 僕達は受付に向かい、採取した薬草を提出した。金貨一二枚をしっかりと受け取る。


「えっと、薬草は緑色の勇者さんが買って行ったんですか?」


「いえ、緑色の勇者様は薬草を使ってポーションを作ってくれるんです。どの薬師や錬金術師よりもポーション作りが上手くて効果が高いので高値で売買されるんですよ」


「へぇー」


 僕は受付の女性から話を聞き、プラスさんがウィリディス領にどれだけ貢献しているのか知った。

 孤児院で先生をしたり、薬草を育てたり、ポーションを作ったり、病気や怪我人を治したりと言った善行ばかりしている。

 なのに勇者順位戦で最下位になったと言うだけで一定数プラスさんを卑下する者がいるそうだ。加えて、その一定数のせいでプラスさんは自信を喪失しているらしい。周りの空気に敏感に反応してしまう性格だと言う。


「人には得意不得意があるんですけどね……」


 受付の女性はプラスさんに気を強く持ってほしいとでも思っているのか、ため息をついていた。


 ――プラスさんに自信をつけてあげる方法か。思い浮かばないな。


 僕とミルはおやつのケーキを四人分買い、借りた宿に戻った。シトラは帰って来ていなかったので、おやつではなく夕食後にでも食べよう。


 僕とミルは帰宅後も勉強を行い、知識を深めた。高等部の卒業証明を貰い、大学に入るため、沢山頑張らなければならない。でも、頑張るだけでは面白味が無いので生活も楽しむ。


「ふふん、ふふん、ふふんっ」


 シトラが上機嫌で部屋に戻って来た。


「シトラ、お帰り」


「ただいま。家が決まったわ。明日に住めるようになるから、楽しみにしてなさい」


 シトラは結構自信があるようで期待度を上げて来た。それだけいい家が見つかったのだろう。


「わーい、新居、楽しみです」


 ミルは両手を上げ、満面の笑みを浮かべた。


 僕達は食堂に向かい、夕食を得た。部屋に戻ってきてデザートのケーキを食し、お風呂に入る。


 シトラとミル、アルブにキスやハグと言った軽い触れ合いをして仲を深める。お風呂を出た後、寝る準備を整え、ベッドに寝ころんだ。シトラとミルはやる気満々だが、僕は微笑みながらお預けにした。二人は怒りかけたが「待てしてからの手錠をしたらどうなるのかな?」と言うと、二名は鼻息を荒くして元気よく眠る。


 僕は二名が眠ったのを確認し、勉強の続きを行った。


 次の日、シトラとミルは互いに寝汗がすごかった。ずっと体温が高かったらしく発情に近い状態らしい。でも制御できない辛さではなく期待しすぎて頭がどうにかなりそうだと言う。


 僕達は朝食を得てから荷物を纏めて宿を出て、シトラが購入した新居に向かう。


 僕達は西側に移動した。小山があり、木々が生い茂っていた。木のアーチを潜っていくと、視界が開けた。その先に、こじんまりとした家がある。


「あれは私が買った家」


 シトラは家に向って指さした。


「ここがキースのお金で買った土地」


 シトラは小山も買ったらしい。


「小屋のほかにも池とか畑とかもあるし、小屋と一緒に土地も買ったらお得になるって言われて。色々考慮したら、買った方が得だと思った」


「へぇ……。おいくら?」


「小屋が金貨八〇〇枚よ」


 シトラは腰に手を当て、胸を張る。


「小山は?」


「…………」


 シトラは押し黙り、僕から視線を反らした。


「しーとーらー、小山はいくらしたの?」


 僕はシトラの頬を掴み、問いただす。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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