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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第五章:ウィリディス領の実態

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ウィリディス領の食事

 ウィリディス領の駅を出ると、自然豊かな街が広がっていた。木材やレンガの家に蔓が纏わり、自然と一体化している。あまりに綺麗で目を奪われた。街と森が合体しているようだ。


「ぼく、ここ好きです。故郷を思い出します……」


 ミルは微笑み、辺りを見渡していた。


「自然があるとやっぱり心が休まるわね。さすが、人気な領土。皆が好きな理由がわかるわ」


 いつも表情が硬いシトラも頬が緩み、優しい顏をしていた。


 二名の嬉しそうな顔が見れてよかった。


「じゃあ、観光に行こうか」


「そうね。今まで王都で遊べなかったぶん、ここで羽を伸ばしましょ」


 シトラはすでに尻尾を振っており、嬉しそうに笑っていた。


「羽を広げてそのまま飛んで行っちゃいそうなくらい楽しみましょう!」


 ミルも笑い、飛び跳ねている。もう、旅行をする前から楽しかった。


 僕達はウィリディス領の駅から歩いて手始めにウィリディス領の料理を食べに向かう。


 まだまだ冬のような寒さが続いており、暖かい恰好をしている者が多く行き交っていた。皆、笑顔で険しい顔をしている者がいない。幸福度が常に一位の領土なので一体どんな理由があるのか知りたいと言う気持ちが大きい。多くの者が並ぶお店を見つけた。どうやら、僕達が食べに来ようと思っていたお店らしく、人気店だとうかがえる。時間はあるので列に並び、僕達の番が来るまで待った。


「いらっしゃいませ、三名様ですね」


 緑髪の店員さんが僕達の前に立ち、テーブル席に案内してくれた。


「野菜たっぷりシチューを四人前ください」


「かしこまりました。野菜たっぷりシチュー四人前ですね。少々お待ちください」


 店員さんは頭を下げ、その場を離れて行った。


「ねえ聞いた? 最近、ウィリディス領も犯罪が起きやすくなってるらしいよ」


「ええ、そうなの? いやねー。どれもこれも緑色の勇者が勇者順位戦で三年連続最下位のせいよ。どれだけ回復魔法が素晴らしくても戦いの面があれじゃね……」


「まー、緑色の勇者が弱いのは今に始まったことじゃないし、昔から一緒じゃない」


「確かにね。回復魔法が出来て戦える緑色の勇者様なんていたら凄いわよねー」


 近くの女性たちがウィリディス領や緑色の勇者について話していた。


「ウィリディス領は犯罪がちょっと起こっただけでも記事に乗るんですかね?」


 ミルは話を聞いていたのか、耳を動かし、情報を確保する。


「さあ? でも、犯罪が起こるだけで珍しいってことだから、住んでいる人達がそれだけ心優しいってことだね」


「勇者に関しては気の毒な話ね……。今回は特に一発目からライアンに当たったそうだし、運が無いのかな?」


 シトラは首を傾げ、ボロボロに言われている緑色の勇者を気にした。


「緑色の勇者は弱くないよ。凄く強いと思う。でも、相手を傷つけたくないと言う思いが強いから力に制限が掛かっているんだ」


 僕は緑色の勇者の戦いを見て感じたままに伝えた。


「まあ、ぼくも緑色の勇者が戦っているところを見た覚えが無いので強いか弱いかの判断が出来ません。でも、勇者ならそれ相応の強さを持っているはずです」


 ミルは腕を組み、考え込んでいた。緑色の勇者が悪い者ではないと皆が知っている。あれだけ心優しい勇者も珍しいはずだ。勇者と言うより、聖女と言ったほうがいいかも。聖女なら傷ついた者を直していくだけでいい。根本から性格が合わないんじゃ……。いや、ライアンと戦っている時、熱い気持ちをライアンが得ていた。性格も勇者に向いているはず。それなら、何かきっかけでもあれば、彼女は大きく変われるのではないだろうか。


「お待たせしました、野菜たっぷりシチューです」


 店員さんは白っぽいシチューが緑色になるほど多くの野菜が入った品を四皿持って来た。


「お熱いので気を付けてお召し上がりください。こちらは無料のパンですので、お召し上がりください。では失礼します」


 店員さんは笑顔で頭を下げ、他のお客さんのもとに向かった。


「パンが無料なんだ……。凄い」


「水も無料だし、気前がいいわね」


「でも、シチューの値段が普通より二倍くらい高いので色々盛り込まれていると思いますよ」


 ミルはメニュー表を見て、呟く。


「ウィリディス領は物価が高いんだよ。でも、こういうサービスが充実しているんだ」


「なるほど、面白いですね」


 ミルは理解したのかメニュー表を閉じ、テーブルの端に置いた。


 僕達は神に祈り、スプーンを持つ。アルブの前に置かれたシチューは少し冷まし、食べやすくする。


「じゃあ、いただこうか」


 僕達は野菜たっぷりシチューを食し、パンもたくさん食べる。バスケットの中に入っていたパンが僕達のせいでゼロ個になってしまった。


「た、食べ過ぎた……」


「まあ、それだけ美味しかったってことよ。無料なんだからいいじゃない」


「はは、そうだね」


「キースさん、水も美味しいです。なんで何もかも美味しいんですか?」


 ミルは水を飲みながら呟いた。


「水が美味しいから食べ物も美味しいんだよ。水が無かったら何も育たない。一番大切な水が美味しいからウィリディス領の食べ物は美味しいんだ。って、冊子に書いてあった」


 僕はウィリディス領の情報が乗った冊子の文をミルに伝える。


「なるほど。水が美味しいから食べ物がおいしい……、理解しました」


 ミルは水を飲みながら呟いた。


「水が美味しいから食べ物も美味しいんだよ。水が無かったら何も育たない。一番大切な水が美味しいからウィリディス領の食べ物は美味しいんだ。って、冊子に書いてあった」


 僕はウィリディス領の情報が乗った冊子の文をミルに伝える。


「なるほど。水が美味しいから食べ物がおいしい……、理解しました」


 ミルは水をグビグビのみ、一息つく。水差しからコップに水を移し、何杯も飲む。


「あまり飲み過ぎるとトイレに行きたくなるからほどほどにね」


「美味しい水が飲み放題なんですから、沢山飲みたくなっちゃいますよ」


「じゃあ、お茶でも頼もうか。すみません、お勧めのお茶を四人前お願いします」


「はーい、かしこまりました」


 店員さんはお盆にポットを置き、空のコップも運ぶ。


「新茶です。甘いずんだ餅とご一緒にどうぞ」


 店員さんはコップに緑色のお茶をそそぎ、枝豆を潰し、もち米に纏わせた品を出してきた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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