乱れた生活
「はぁー、良い気持ちです。キースさんに体を洗ってもらうと心が温かくなります」
ミルは僕に寄り添いながら微笑んだ。寒くないのかなと思うが震えているわけでもないので問題なさそうだ。
「キースの体も洗ってあげるわ。感謝しなさい」
シトラは僕の背中に濡れた布を当て、優しく洗って来た。お風呂に入るのとはまた違っていい気分になる。
歯を磨き、寝る準備が出来た。
「キースさん、今日も可愛がってください」
ミルは薄手の服のまま、僕の近くに寄って来た。
「キース、獣族が相手なんだから可愛がるのを禁止にしちゃ駄目……。こんなところで一〇日間もお預けを食らったら体と頭がどうにかなっちゃうわ……」
シトラも薄手の下着をつけ、僕のもとに歩いてきていた。
「二人共、撫でられるのが好きなんだね」
「そりゃあ、好きですよ。キースさんに撫でてもらえるなんて何よりも幸せなことです」
「獣族の愛の深さ、舐めないでよね……」
両者は僕のもとに寄ってくると我先に身を寄せてくる。
頭を優しく撫でてあげるだけでも大変喜ぶのだが両者の弱点を触ってあげるともっと喜ぶ。声がギリギリでないくらいの強さで長時間撫でていると両者が震えだし、最後に怒りだした。
「だ、駄目です、も、もう我慢できませんっ!」
「キースっ! 焦らすのもいい加減にしなさいよっ!」
血流が良くなり赤くなった顔と軽く血走った獣目、発汗の良い体がガラス窓から零れてくる薄い月明かりに照らされる。床に伸びる二体の獣の影は僕の体に襲い掛かってきた。
声を出させないように口を押えると……。
≪発音を無音にしたのを確認。よってスキル『無音』を獲得しました≫
「『無音』か。ミル、声を出してみて」
「…………!」
ミルの声が聞こえなくなった。これで列車の中でも愛する妻二名が満足するまでとことん可愛がれそうだ。
夜が明けると襲って来た獣族の二名がベッドの上で良い笑顔を浮かべながら撃沈していた。
「もう、キースさん! 昨日の夜は本当に死ぬかと思いました! でも、逆に最高すぎました!」
ミルは両手を大きく上げ、僕に怒って来た。そのまま腕を手の平でふみふみしてくる。
「ご、ごめん、声が聞こえなかったから止め時がわからなかった」
「キースが満足するまで相手をするなんて……。後半はほぼ気絶してた気がする」
シトラは体の動きがぎこちなく、体力を相当使っていた。
「二人が満足するまで頑張ろうと思って頑張ってたんだけど、二人共途中から力が抜けて反応が無くなっちゃってさ……」
「うう……、反応が無くなったら私達気絶してるから」
「僕、感覚が鈍いのかな……。攻撃を受けすぎて刺激に慣れ過ぎてるのかも」
「でも、ぼくとシトラさんがキースさんのキースさんを可愛がる時は凄く嬉しそうにしてますよね」
ミルは腕を組みながら考え込んでいた。
「その時は刺激を感じられるんだよ」
「じゃあ、避妊具のせいなんじゃないですか。あれ、結構分厚いですしキースさんを鈍感にしている原因かもしれませんよ」
ミルは鋭い指摘をした。
「確かに……。キースは毎回着けてくれるからその可能性は高いわね。だからと言って外してもらうのも困るけど……。逆にこっちは付けられたままで可愛がられて気絶してるし」
「もし、外した状態で可愛がられちゃったらどうなっちゃうんでしょうか……」
ミルは両手を頬にあて、満面の笑みを浮かべていた。
「リーフさんは覚悟ができるまで外しちゃ駄目って言っていたからまだ外せない」
「うぅ、ですよね……」
「王都の店員さん曰くサンドワームの避妊具は物凄く人気らしい。他は動物の腸とかになっちゃうから使いにくそう。もっと薄手の避妊具があれば二人を苦しめずに済むのに……」
「い、いや……、苦しくて気絶してるわけじゃないから……」
「そ、そうですそうです。何度も天に召されそうになってるだけです」
シトラとミルは僕の発言を大きく否定してきた。
僕は男として自信を持っていいと言われたが、意味がよくわからない。とりあえず、起きた二名におはようのキスをした。
起きた後、服を着て、朝食を得る。列車の中で筋力を鍛え、少しでも強くなる。
「ぽーー。はっ。また、キースさんの体に見とれてました」
ミルは頭を振り、屈伸運動を行い始める。彼女も体力をつけるために筋力を強化するようだ。
「ぼぉ……。はっ。な、なに考えてるの。キースの下半身ばっかり見ちゃってた……。うう、私って性奴隷に案外向いてたのかも……。まあ、キース以外とする気が全く起きないけど」
シトラは車両内の掃除や衣類の洗濯を行う。
「ふわぁー、お腹が空きました……」
アルブはずっと眠り、起きれば食べ物を欲した。本当に赤子のような生活をしている。
昼に料理を食べて高等部の卒業資格を得るための勉強をする。頭が疲れたら体を動かし、体が疲れたら頭を動かすと言う行動を繰り返した。夕食を得て、汗まみれの体を綺麗にした後、歯を磨いてトイレをすまし、寝る準備をする。
「キースさん……、今日もぼくを滅茶苦茶にしてください……」
「キース、私、キースに愛されないとぐっすりと寝られないの……」
ミルとシトラは夜になると鬱憤が溜まるのか、僕を欲しがった。
「二人共、そんなにいいの?」
「うう……、キースさんにも同じ思いをして欲しいです……」
「キースの苦悩に歪む顏が見たい……」
僕は淫乱猫と発情狼の二体にまたもや襲われた。毎晩襲撃されるとわかっているので特に嫌じゃない。ただ、毎回僕が勝つ。
毎日運動して勉強して夜に戦ってを繰り返していたら一〇日間の列車の旅が終わりを迎えようとしていた。
「うう……、列車の中にいる間、キースさんに何度も可愛がってもらったのに飽きる気配が一向にありません。このまま生活できちゃいます……」
ミルは下車の準備をしていた。
「ほんと……、列車の旅というか、愛の巣だった気がする……」
シトラも荷物を纏め、下車の準備をする。
「二人共、ウィリディス領が見えて来たよ。あと少しで中に入る」
列車はウィリディス領の駅に入った。優しい音楽が鳴り響き心が静まる。すでにいい気分だ。
「凄い……。緑だらけだ……」
列車を出ると、駅のホームは大概鉄骨が出っ張っていたり、ゴツゴツしい印象だがウィリディス領の駅は草が生い茂っており森の中にいるようだった。
「手入れがされていないように見えて、無駄な部分がないから、何度も切ったりしているんだろうな」
僕はウィリディス領の駅ですでに楽しい気分になっていた。
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