表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第四章:王都の騒動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

446/660

赤色の勇者対黄色の勇者

「あと一人……。藍色の勇者か……」


 北門から現れた一人の青年。ほぼ黒と言っても良いぐらい濃い藍色の髪が日に当てられて輝いて見えた。服装は黒の学生服。長袖長ズボン、革靴、全て黒。肌は白く、艶やかため、とても綺麗だった。もう、髪が長かったら女性と言われても気付けなそうだ。腰に一本の剣が掛けられており、余裕のある雰囲気。

 

 勇者たちは皆、自分の色のマントを付けており、各領土の代表だとわかる。


 藍色の勇者は一歩前に出て右手を上げた。


「宣誓、われわれ勇者一同は、各領土初代勇者の精神にのっとり、正々堂々と戦いぬくことを誓います。宣誓、われわれは今まで培ってきた鍛錬の成果を十二分に発揮し、各領土が抱き続けてきた夢の全てをこの試合にかけ、精一杯頑張り抜くことを誓います。勇者代表、藍色の勇者、ルラキ・カエルレウス」


 ルラキは前回の勇者順位戦で優勝したため、宣誓を行っていた。


「では、七色のうち、藍色の勇者は初戦を待たずして二回戦進出とする。他の勇者の対戦はビオレータ第一王女がくじ引きで決定する」


 国王は聖杯に六本の金属棒を入れた。特別席に置かれた台座に聖杯を置き、ビオレータが聖杯の前に立つ。


 右手と左手で金属の棒を持ったら一気に引き抜いた。先端に赤色の宝石と黄色の宝石が付いていた。


「第一試合、赤色の勇者フレイ・ルブルム対黄色の勇者ジョール・リノス」


「うおおおおおっ!」


 会場にいる人々は前回大会二位のフレイと五位のジョールの戦いに叫んだ。フレイの戦い方は知っているが、初戦から魔力を大きく消費したらその分、後半がきつくなる。そう言った魔力管理も重要な戦いだ。ジョールがどんな戦いをするのか知らないが、フレイにどうやって勝つのだろうか。


「ちっ。初っ端からお前かよ……」


 ジョールは頭皮を掻き、面倒くさそうに吐き捨てる。


「今回も勝たせてもらう」


 フレイは赤いマントをひるがえし、試合開始位置に移動する。


「はっ、言ってろ。今回ばかりは負けられねえからな。勝ちにいかせてもらう」


 ジョールも試合開始位置に移動。他の勇者はそれぞれの領民が固められた観客席の下に置かれている王座に似た椅子に座る。

 隣に関係者が座っていた。人数はまちまちで一人のところもあれば、二人のところもある。ルフス領は二名座っており、ルフスギルドのギルドマスターであるハイネさんと、領主のイグニスさんだ。

 良い人達なのはわかるが、あまり拘わりたくない。フラーウス領の方に座っているのは気が強そうな女性だ。ギルドマスター感が強い。両者が定位置に移動するとビオレータが聖なる鐘の前に立った。


「ただいまより、勇者順位戦、赤色の勇者対黄色の勇者の試合を開始する。時間制限は八分。場外、棄権、気絶等の内容で敗北とする。時間制限を過ぎた場合、この場にいる王家の者が審査する。以上だ」


 国王が宣言すると、ビオレータは鐘を鳴らした。その瞬間、真っ赤な炎と黄色い稲妻が会場に広がる。


「ふっ!」


「はっ!」


 フレイは燃え盛る剣で攻撃し、ジョールは二本の短剣で攻撃を受け止めていた。


「『赤色魔法:体温上昇』」


「『黄色魔法:細胞活性』」


 両者は自分の体の動きを上げる魔法を使い、中央で攻撃の打ち合いを見せる。以前見たフレイの剣は素人そのものだったが、今のフレイは基礎が出来ていた。どうやら黒髪(煤を被ったキース)の男に敗れたのが相当悔しかったらしく、鍛錬をしているようだ。


 ジョールの方は攻撃が早く、手数が多かった。そのためフレイは押される。魔法の方が得意だと思うが、魔力を大量に消費するため、あまり使いたくないのかもしれない。

 一〇時間も大量の魔物を吹き飛ばせる魔力量を持っているのだから普通に使ってもいい気がするんだけど……。


「おらおらっ! お得意の魔法はどうした! まさか、そのへっぽな剣で勝てると思ってねえだろうな!」


「つっ! うるせえ! お前なんて、剣で十分なんだよっ!」


 両者の性格は似ており、戦いながら罵倒し合っていた。逆に仲が良かったりして……。そんなことを考えていたら、ライアンの体に切り傷が増える。やはり剣速はジョールの方が上だ。このままではフレイの判定負けだ。


「『赤色魔法:バーニングスラッシュ』」


 フレイは燃える剣を振り、ごうごうと燃える炎の斬撃を飛ばした。燃え盛る斬撃はジョールの目の前に飛んで行く。


「ははっ! 追い詰められてやんの!」


 ジョールは炎の斬撃を回避し、足裏に魔力を溜め、一気に加速。


 フレイは連続で攻撃を放っており、ジョールは回避する暇がない。だが。短剣に電気を流し、超振動させ、切れ味を上げていた。そのおかげで炎の斬撃が切れ、真正面から堂々と突っ込む。


「『赤色魔法:バーニングピラー』」


 フレイはジョールが足を踏み入れた地面に真っ赤な魔法陣を出現させた。両足が空中に浮いており、即移動は難しそうだ。


「つっ!」


 ジョールは黄色の魔力で砂鉄を足裏に集め、無理やり後方に回避。真っ赤な火柱が魔法陣から生まれ、砂鉄を蒸発させた。あんなのをくらったら、普通の人間はひとたまりもない。


「あっぶねぇ。やっぱり、お前は剣なんかより魔法の方が断然やばいな」


「口数が多いな。今、焼いてやるから待ってろ」


 フレイは残り時間を見て、赤色魔法で一気に攻撃すると決めたらしい。剣戟の時間が長く続いていたので焦っているのかもしれない。


「全部回避して疲れ切ったところを狩ってやる」


「ふっ。たった二分じゃ疲れねえよ。『赤色魔法:プロミネンスストーム』」


 ライアンは燃え盛る炎の竜巻を試合場に起こした。高さが五〇メートル以上あり、ジョールの髪や服が靡く。


「たく……。魔力量が規格外なんだっての」


 ジョールは『プロミネンスストーム』を躱すように地面を走る。だが……。


「『赤色魔法:バーニングピラー』」


 フレイはジョールが逃げられないよう、地面に大量の魔法陣を出現させ、火柱を立てる。


「くっ! あっついな!」


 ジョールは体を焼かれ、顔を顰めていた。やはり、フレイの火力は高い。勇者の体でも容易く焦げている。


 フレイが魔法を使い始めると戦況は一転し、黄色の勇者はじりじりと追い詰められていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。


評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


毎日更新できるように頑張っていきます。


これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ