大量のゴブリンを駆除する
「ギャギャギャッツ!」
ゴブリン達は僕達の潜入に気づいたらしく、声を荒げながら辺りに伝令を送る。
僕達は片っ端からゴブリンを狩っていく。アルブはゴブリンの魔石と耳だけを残し、むしゃむしゃと食べて行った。一気に消し、吸収する方法もあると言うことだが、それをすると、お金になる部分も消えてしまうため、しっかりと食べてもらう。
「ん……」
僕は村の中央部にやってくると、多くのゴブリンが倒れていた。
「ギャギャギャッツ!」
一体のゴブリンが何者かに飛びかかる。
「はああああっ!」
ゴブリンの血を全身に浴び、剣を振るっていたのは少年だった。声と綺麗な剣筋からしてクルス君だと思われる。
クルス君は六歳とは思えないほど大量のゴブリンを駆除していた。完全に集中状態に入っており、いったいどれだけ剣を振るっているのだろうか。
ゴブリンの数からして三日間くらい戦っているのではないだろうか。戦って休んで戦って休んでを繰り返しているのだろう。そうじゃないと普通の人間のクルス君が三日間も持つわけない。
「クルスっ! 変われ!」
屋根の上からシャツが黒い血に染まっているドマリスさんが飛ぶ。クルス君と入れ替わる形で、ゴブリンと戦っていた。
「う……、父上」
クルス君は疲労が蓄積していたのか、入れ替わることが出来ず、倒れる。
「クルス! くっ……いったい何匹いるんだ!」
「ドマリスさんっ! 加勢します!」
僕はフルーファを横に振るい、ゴキブリのように大量に蠢くゴブリン達の首を根こそぎ切り飛ばす。
「キース殿、どうしてここに……」
ドマリスさんは僕の方を見ながら呟いた。
「帰りが遅いので、何かあったのかと察し、駆けつけました。まさか、これだけのゴブリンがいたとは。ドマリスさんはクルス君を避難させてください。この場は僕が引き受けます。つかのことをお伺いしますが、村人たちはどこに非難していますか?」
「生きている者は教会に非難している。他の者の生死はわからない!」
「そうですか。えっと、無人の家屋を破壊してもいいですか?」
「構わない」
「了解です」
僕は魔力視を使い、緑の魔力を持つゴブリンが建物の中にいるかどうか調べながら、フルーファを振っていく。
フルーファは暴食なので、食っても食ってもすぐにお腹が空いてしまうのだ。
僕は効率を二倍にあげるため、右手でアダマスの柄を握り、ぐっと押しつける。カチッという金属音が鳴ったら放出状態になった証拠だ。そのまますぐに引き抜いた。すでに魔力が大量に溜まっているので、横一閃に振り抜く。光の刃が飛び、大量のゴブリンの首を切り割いていく。
僕の無色の魔力で見える視界の中で他の人間はいなかった。
「ギャギャギャッツ!」
一気に大量の仲間を倒されたゴブリンは激怒し、僕に攻撃を挑んでくる。
僕はアダマスを七回振るい、斬撃を七発飛ばしたあと鞘に戻して押し込む。アマダスは滞留状態になり、魔力が溜まり続ける。溜まるたび、剣の切れ味が増していく。
「い、いったい何がどうなって……」
ドマリスさんは僕の戦いを見ながら、クルス君を抱きあげ、屋根に非難した。彼らが攻撃範囲外に移動したのち、僕はフルーファとアダマスを振るい、大量のゴブリンを駆除していく。
「ミル、生き残っている人族がいれば、保護して教会に連れて行って!」
「了解です!」
ミルはゴブリンを駆除しながら、人族の声が聞こえる方に走る。人族がどこにいるのかわかるのだろう。全力疾走し、視界から消えた。
大量のゴブリンが僕の方に攻めてくる。僕は『無休』を発動し、大量のゴブリンの討伐を引き受けた。
ゴブリンを倒し始めて半日が経った頃、生き残っているゴブリンがほとんどいなくなった。
「あとは、少しずつ倒すしかないな」
僕は全身ゴブリンの血塗れだった。なので、少々、試してみる。
「『無限』対象、服とゴブリンの血液」
すると、パンっと言うくらい勢いよく、服に付着した血液が弾き飛んだ。同じように髪や肌などもゴブリンの血を弾く。すると、嫌な臭いまで消えていた。
「便利だな……」
靴裏に魔力を溜め、ゴブリンの血液を踏みつけても沁みないようにした後、魔力視で残ったゴブリン達を見ていく。死んだふりをしている個体は他の個体と明らかに魔力量が違うため、すぐにわかった。アダマスで首を跳ね飛ばし、不意打ちを狙っていた個体を討伐する。
――これだけのゴブリンがいたら、親玉がいるはずだ。そいつを駆除しないと。
「ギャギャギャッツ!」
弓を持っているゴブリン達が遠距離から矢を放ち、僕を攻撃した。
「無色斬」
僕はアダマスを振るい、溜めた魔力を放つ。無色の魔力で作られた斬撃が飛び、二〇メートル先のゴブリン達を切り割いた。
矢は僕に当たらず、地面に突き刺さる。
僕は地面に突き刺さっている矢を持ち、魔力で作った矢の弦に掛け、残っている個体に放った。頭部を貫通し、絶命。
――弓の練習もしておいてよかった。
親玉を探しながら残った個体を殲滅していくこと一時間。村の中で生きているゴブリンが一体もいなくなった。
「ふぅ……。この村の中に親玉はいなかった。でもこの近くに巣があることは間違いないな」
「うわ、ゴブリンの死体だらけ……。臭いがひどすぎます……」
ミルはゴブリンの死体塗れになっている地面ではなく、屋根を移動し、僕に話しかけてきた。
「ミル、親玉の位置とかわからない?」
「んー、難しいですね。音だけじゃ、探れません」
「そう……。なら、仕方ない。森の中に入ってゴブリンの足跡から追跡するか……。その前に、村の周りにある柵を直さないとな」
僕とミルは壊れている柵を木材と縄で修復した。簡単なつくりだが、無いよりましだ。
僕達は村の周りを探り、ゴブリン達がどこから侵入したのか調べる。三方向から攻め込まれており、西門が破壊され、なだれ込んできたと思われる。西側は川で警備が手薄だったのが狙われたと考え、北、東、南のどこかにゴブリン達の巣があるはずだ。
足跡の数や量から考え、南に絞る。大量の足跡が南の森に発見されたので信憑性は高いだろう。ミルと共に、足跡をたどり、岩壁に作られた大きめの穴を見つける。
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