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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第四章:王都の騒動

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イリスちゃんからの報告

「本体はこの場所を知っているんですか?」


 僕は使者の男性に訊く。


「いずれ気づかれる。今日か、明日か、明後日かわからないが、他の者もスージア兄さんを知っているはずだ。なら、俺達の目的も理解しているはず。そう考えれば、この場所が特定されるのもおかしくない」


「そうですか。じゃあ、三原色の魔力がイエローの者がたくさん来たら使者団の本体なわけですね」


 僕は魔力視を使い、家の周りを見渡した。すでに黄色の魔力が当たりに散らばっている。これだけイエローが散らばっていることも珍しいので、きっと本体だろう。


「皆さん、もう本体がこの家の周りを取り囲んでいるようです」


「なっ! 明りが消えるのを待っているんだろうな。皆、準備しろ」


 顔に多くの傷がある男性は防具を身に着け始めた。武器の点検なども行っている。


「了解!」


 七名の部下も装備を身に着け、武器の点検をしていた。


「シトラ、ミル、アルブ。僕達は変ないざこざに巻き込まれてしまったらしい」


「はぁ。だから、王都になんて戻って来たくなかったのよ……」


 シトラは溜息を吐いた。


「まあ、仕方ないじゃないですか。襲われたら倒す。それだけの話しですよ」


 ミルも瞳に無色の魔力を溜め、僕と同じように魔力視を使っていた。


「すぴぃ……」


 アルブはいつも通り、お休みちゅうだ。危機感すら得ていない。


 魔石の照明を消し、数時間後に襲ってくるだろう。寝込みが一番倒しやすい方法だ。でも、相手は逆に警戒するはずだ。数名いれば夜中交代制で見張ることができる。なので相手はどの時間に攻めてくるか、五分五分の戦いだと考えているはず。

 だが、僕達は違う。僕は眠らず、ずっと魔力視を使えるので相手が襲ってくる瞬間がわかる。一人が攻め込んでくると言う作戦は考えられず、大勢で動くはずだから、攻めてくる瞬間がわかりやすい。


 僕達は本体を殺さず、捉えるつもりだ。同じ気持ちなら、話し会えばわかってもらえる。魔力で通信する装置は持ってきていないとのことだ。まあ、大きな魔道具なのでちょっとした移動に持ってくるわけが無いか。


「あ……、動きました」


 僕は黄色の魔力を見る。高速で建物に突っ走ってきた。もう、ここにいると確信しているようなほどの勢いで窓をぶち破って入ってくる。


「命令違反により、処刑する! ぐあはっ!」


 家の中に突発的には行ってきたら不法侵入だ。普通に犯罪行為なので、とっ捕まえる。金属製の鎧を付けた者達が八名ほど入って来た。皆、奇襲したと思っているはずだが、残念ながら、奇襲された方に回った。なんせ、僕たちは彼らが攻めてくるとわかっていたからね。


 不意を突かれた本体はあえなく捕まり、皆、自決しようとするも、僕が毒を消して止める。


「なにがどうなって……」


 僕は襲って来た者達の身ぐるみを剥がしたあと、縄で縛る。


「皆さん、話し合いましょう。殺し合いは無駄です。これで皆さんは同じ罪を犯しました。つまるところ、領土に戻って説明すれば全員揃って死刑。あまりにも馬鹿らしい。話しですよ。そんな未来を送っても良いんですか?」


 僕は使者たちに言う。


「く……。ここはいったんおとがめなしと言うことか……」


「ああ……。そうするしかないな」


 使者達は死刑になりたくないらしく、互いの不貞を認め合った。これで、彼らは死にはしない。後はどのようにして成果を持ちかえるかだ。


「皆さん、スージア兄さんに用があるんですよね。何が要件か言ってくれれば、伝えておきます。そうすれば、王城に話しを持ち掛けると言う仕事ができるはずです」


「……まだ、あんたがスージアさんの知り合いと言う確証が持てない。俺達は彼に直接話す」


「そうですか。じゃあ、皆でスージア兄さんに話すと言うことで良いですね。元からそう言うことだった。スージア兄さん達は三日間帰って来ていません。もうそろそろ帰ってくると思いますから、静かに待っていてください」


 フラーウス領の使者たちは家の広間で待つことにしたようだ。家の中に知らない者達がいるとなると、軽快してしまう。シトラやミルも警戒しており、よく眠れそうもなかった。


 夜が過ぎると、フラーウス領の使者たちは広間で眠り、黙りこくっていた。


「キース君っ! キース君っ! 起きてる!」


 家の扉をどんどんと叩くイリスちゃんの声が聞こえた。


 僕は眠っている使者たちを避けながら入口にやって来た。扉を開けると息を切らしたイリスちゃんがいる。


「ど、どうしたの、イリスちゃん。そんなに慌てて」


「お父様とビオレータ姉様、スージアさん、テリア姉様、ドロウ公爵家の者達と話し合いをしたの。話しはある程度纏まったんだけど……。スージアさんが国王になってテリア姉様が王妃になるくらいなら、ビオレータ姉様が結婚するって言いだして」


「え……。ビオレータ第一王女が結婚。だ、誰と」


「フレイ・ルブルム……。赤色の勇者だよ」


「ふ、フライ……、ルブルム……。そ、そんな馬鹿な……」


 僕は足が震えた。恐怖ではなく、そんなことになったら国は大丈夫なのかと……。


「で、でも。国王が選んだほうが国王になるんでしょ。なら、スージア兄さんの方を」


「勇者が相手の時は公爵よりも勇者の方が優先されるの。赤色の勇者が結婚を承諾すれば国王になり、王妃がビオレータ姉様になる……」


「う、嘘でしょ……、いや、だって……」


「昔からの決まりだし、法律を簡単に返ることはできない。お父さんが亡くなった時、ビオレータ姉様が誰かと結婚していれば本当に王妃になる……」


「と、とりあえず、ビオレータ第一王女の話しは置いておいて……。スージア兄さんとテリアさんの話しはどうなったの?」


「そっちは戦いになっちゃった……」


「戦いって?」


「テリア姉様を掛けてスージアさんとリュウズさんが戦って勝ったほうがテリア姉様と結婚するって言う話し。あと、公爵家当主にもなるみたいだよ……」


「え……。そうなったんだ。じゃあ、何も心配する必要が無い。スージア兄さんがリュウズに負けるとかあり得ないよ」


「えっとえっと……。現当主はリュウズさんを勝たせるために魔道具とか魔導書とか、回復薬諸々用意してるの。でもスージアさんは剣一本……」


「な……。そんなの不公平じゃないか!」


「そ、そうなんだよ!」


 イリスちゃんも同じことを思っていたらしい。確かにスージア兄さんは強い。一対一の決闘なら負け知らずだ。

 でも、多くの道具を使われたら話しは別だ。無駄に多くのお金を持っている公爵家が本気を出せば、才能が皆無のリュウズでもスージア兄さんに勝ってしまうかもしれない。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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