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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第三章:橙色の領土。クサントス領

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家に王族が来る

「ミル。イリスちゃんは適当に言っているだけだから、気にしないで」


「もう、適当ってどういう意味。私は本気だよっ!」


 イリスちゃんは飛び跳ねる。


「とりあえず、イリスちゃん。多くの人が困惑しているからさ、皆に挨拶した方が良い」


「そ、そうだね。いきなり来ちゃったし、驚かせてるよね」


 イリスちゃんは広間の方へと向かう。


「えー、皆さん。すみません。おさわがせいたしました。プルウィウス王国第三王女、イリス・プルウィウスと言います。以後お見知りおきを」


 イリスちゃんは広間の階段に上り、皆から見える場所に移動したのち、青いドレスを持ち上げて軽くお辞儀をした。


「い、イリス様。いらっしゃるのなら、前もって連絡していただかないと、こちらも驚きすぎて……」


 クサントス領の領主、ジンレオさんも額から汗を掻きまくり、政治家たちも同様しまくりだ。他の者は物珍しい人物を見るような瞳を向け、酔いが少々冷めていた。


「イリス様、お久しぶりです。橙色の勇者、ライアン・ハートフルです。以前お会いしたのは勇者順位戦の時でしたかね」


 ライアンは珍しく紳士的対応を取り、イリスちゃんに跪いて手の甲にキスをした。


「ライアンさん。こんばんわ。前よりも大分強くなったようですね」


「ええ。ただ、今年の橙色武術祭は不甲斐ない結果でした。なので、更に精進し、多くの者を守れるよう、今以上に強くなります。来年の勇者順位戦は藍色の勇者を打ち破り、必ずや一位になってみせます!」


 ライアンは大きな声を出し、言い放った。やる気満々のようだ。


「うんうん。良いですね。そのまま意欲を高め。ぜひ、藍色の勇者を打ち倒してください。多くの者が藍色の勇者が負けるところを一度は眺めたいと思っていますからね」


「い、いや……。まあ、確かに見たくはある……」


 僕はぼそっと呟いた。


 イリスちゃんは多くの者達に相室した後、僕のもとに戻って来た。


「じゃあ、キース君。家に案内してください」


「え、キースさん。イリスさんが家に泊まるんですか」


 ミルは目を丸くしながら聞いてきた。


「うん……。そうらしい。僕たちの家に泊まるんだって。まあ、橙色武術祭で優勝した二名がいるから文句はないと思う」


 周りの者も頷いていた。イリスちゃんに敵意が向けられても僕とシトラなら撃退できるだろう。そう言う考えが見えるのと、王族と言う面倒な存在を近くに置いておきたくないと言う腹の内側が感じられた。


「はぁ……。わかりましたよ。家で泊めてあげます。何日ですか?」


「ざっと八日ほど泊まらせてもらいますね」


 イリスちゃんは両手を合わせ、微笑んだ。


「は、八日……。長いですっ! 数日は宿に泊まってくださいよ」


「いいじゃない。もしかして、キース君とイチャイチャしたいから、とかそう言うことなら、気にせずしてもらっても良いよ。逆に私も混ぜて……」


 僕はイリスちゃんの口を手で塞ぎ、少々黙らせる。僕たちはそのまま、クサントス領の領主邸を出て家に向って歩いていく。


「もう、キース君。喋っている最中に口を塞ぐなんてひどいよ」


「イリスちゃんが変なこと言いそうになっていたからでしょ」


「えー、変なことってどんなことー。私、わからなーい」


 イリスちゃんは呟く。


「絶対わかっているようないい口なんだよな……。まあ、いいか」


 僕達は家まで到着し、イリスちゃんを招き入れた。


「おおー、凄い古風だね。でも、中は凄く綺麗。なんか旅館に来た感じがするよ」


 イリスちゃんは廊下をドタドタと走り、扉を開け、至る所を見て回った。


「寝室が二部屋しかないし、私はキース君と同じ布団で寝ようかなー」


 イリスちゃんが何か呟くと、シトラとミルが暗い顏をする。相手は王族だ。気が少々変わっただけで何を言われるかわからない。


「冗談冗談。って言うのも冗談。皆で仲良く寝ようよー。と言うか、今日はもう遅いしお風呂に入って早く寝ちゃおう」


 イリスちゃんはお風呂を探し始めた。お風呂を見つけるや否や、ドレスを脱ぎ始める。


「キース君も一緒に入るー。キース君になら、別に私の全裸姿、見せてあげても良いよー」


 イリスちゃんは色気がない無地のキャミソールとカボチャパンツになり、僕に言って来た。


「丁重にお断りさせていただきます。入るのなら、ミルとシトラの二名とお願いします」


「むぅー。意気地なしー。じゃあ、シトラちゃんとミルちゃん、お風呂に一緒に入ろー」


 イリスちゃんはシトラとミルを呼んだ。


「は、はい……」


 両者共に面倒臭いと顔に書いてる。でも、王族に逆らえず、入ると言う選択ししかなかった。


 両者は脱衣所で服を脱ぎ、イリスちゃんと共にお風呂場に入った。


 僕は女子達がお風呂に入っている間、鍛錬をした。アダマスを振り、剣の型を覚える。フルーファを振り、今までの反復練習。新しいことと昔からやってきたことを行い、楽しかった。


 よく見たらアラブがおらず、お風呂場の方にいると言うことがわかった。


「まあ、アルブも女の子だし、良いか」


 僕は気にせず鍛錬を続けた。お風呂場の方から普通に楽しそうな声が聞こえるので、辛い訳ではなさそう。


 男一人で少々物寂しい思いになりながら、過ごしていると女子達がお風呂からあがったと思われる音が聞こえた。


 僕は盛大に汗を掻き、全身汗まみれ。武器を部屋の壁に掛け居間に入る。シトラの寝間着を着たイリスちゃんと下着姿のミル、髪を乾かしているシトラ。シトラの膝の上に乗るアルブの姿があった。


「皆出たみたいだし、僕もお風呂に入るね」


「どうぞ、ごゆっくりー。今なら女の子三人分の汗が滲み出たお風呂が堪能できちゃうよー」


「イリスちゃん、育ち方をどこで間違えたの……」


「ひどーい。キース君ならもっとウハウハすると思ったのにー」


 イリスちゃんは夜風に青い髪を靡かせながら跳ねる。


 僕は脱衣所で服を脱ぎ、お風呂場に入る。確かにいつもと香りが違うような気がしなくもない。でも、気にせず体の汗をシャワーでいったん落としたあと、入浴。一八分ほどゆっくり浸かったら、お湯から出て体を石鹸で洗い、シャワーで洗い流したのち、お湯にもう一度浸かって体を温め直した。そのあと、お風呂を出る。

 乾いた布で体を拭き、新しい下着と冒険者服を着る。

 今日は眠らず、イリスちゃんの護衛に努める。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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