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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第三章:橙色の領土。クサントス領

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領主邸で宴会

「なるほど。良い考えですね。じゃあ、リーフさんのお店に行きましょう」


「ちょっと待って。今、もう午後五時を過ぎてるわ。服屋さんに言ってドレスを受け取らないと、午後八時の打ち上げ会に間に合わないわよ」


 シトラはミルに言う。


「確かに。ぼくって結構せっかちなんですかね。猫族なのに」


「猫族なのにね……。まあ、そう言うところも含めてミルだから、気にしなくてもいいよ」


 僕はミルに微笑みかける。ミルは微笑み返し、僕にムギュっと抱き着いてきた。動きにくいったらありゃしない。


 僕達は午後六時前、服屋さんに到着。服の仕立てが完了しているとのことでミルとシトラに着てもらった。どちらもとても良く似合っており、完璧な採寸だった。


「うん、すごくいい。とってもかわいいよ」


「えへへー、ありがとうございます」


 ミルは笑い、子供っぽく、元気な印象を与えてくる。


「ま、まあ。感謝しておくわ」


 シトラは腕を組み、頬を赤らめながらはにかみ、大人の雰囲気を醸し出していた。


 僕はアルブを抱きしながら両者の姿を見て、この二名が自分の妻だと未だに思えない。でも、現実なのだ。

 両者はトランクにドレスを入れてもらい、購入が完了した。近くに腕がいい美容師がいると聞き、伸びすぎた髪を整えてもらう。時間が無いので少々急ぎ目だ。


 時間が遅かったこともあり、人数が空いていた。そのおかげで三名一気に髪を整えてもらえた。一人金貨一枚で、僕は耳が完全に出て前髪は眉より上、毛量を減らしてもらい、すっきりした顔立ちになるよう整えてもらう。


 ミルは顎下より少し上辺りまで切ってもらい、髪を空いてもらった。

 シトラは長い髪を綺麗に整えてもらい、枝毛や生え際を整え髪の色艶を出してもらう。髪を切ったら洗ってもらい、お風呂に入る手間を省く。

 僕は蝋を塗ってもらい、髪を整えた。ミルとシトラはアロマオイルを塗り、香りと色艶を増す。


「はわわ……、な、何この子達……」


 美容院の方々が皆、引くほど僕達の出来栄えが良かったらしい。


「じゃあ、ミル、シトラ。いったん帰って着替えてからクサントス領の領主邸に行くよ」


「は、は、はいっ!」


 ミルは僕を見ながら頬を赤面させ、上がっている。


「キース、髪を綺麗にそろえるだけで物凄く大人っぽくなるのね……」


 シトラは苦笑いを浮かべながら呟いた。


「僕は大人っぽいじゃなくてもう大人なんだよ。成人しているからね」


「心はまだまだ子供でしょう……。まったく、強がっちゃって」


 シトラは僕を小ばかにするように言った。否定できないのが悔しいところだ。


 僕達は家に戻る。僕は高級な紳士服に着替える。上下合わせ金貨五〇〇、靴金貨一〇〇〇枚、もうよくこんな品を持っているよなと思わざるを得ない。まあ、これのおかげでシトラを助け出せたので良い思い出だ。

 フルーファだと大きすぎて社交場に持って行きにくい。アダマスを送ってくれたドリミアさんに感謝しなくては……。


「キースさん、超カッコいい……。いつものキースさんも好きですけど、今の超イケメンキースさんもう超々好き……。ぼ、ぼくみたいな雌猫が一緒にいて良い相手じゃないよー!」


 ミルはシトラに化粧されており、いつもよりも透明感が増した肌を赤らめる。


「そんなことないよ。逆に僕がミルの隣にいたらもったいないくらい、ミルは可愛らしい」


「きゃー、ありがとうございますっ!」


 ミルは飛び跳ねながら喜んでいた。


「ミルちゃん、あんまりピョンピョン飛び跳ねないの。こけてドレスが汚れたら大変でしょ」


 シトラはミルの肩を掴み、行動を押さえた。


「そ、そうですね。少し大人しくしないとこけちゃいますよね」


 ミルはじっと止まる。


 僕達は準備が出来たので午後七時三〇分ごろに家を出発し、五五分ごろに領主邸に到着した。


「なんか、ルフス領よりも豪華な領主邸ですね」


 ミルは視界に広がる屋敷を見る。


「そうだね。やっぱり儲かっている領土の領主邸は大きくて豪華なんだよ。まあ、ルフス領の領主、イグニスさんが倹約家だからルフス領の領主邸は質素って言うのもあると思うよ」


「イグニスさんの領主邸は無駄がないから逆にすごい。あそこまで無駄を省いた場所も珍しいと思う。ここは……。って、まあそんなことどうでもいいか」


 シトラは気にすることじゃないと考え直し、口を噤む。


「じゃあ、入ろう」


 僕は領主邸の前に立つ門番に話しかける。


「すみません、キース・ドラグニティです。べニアさんに呼ばれてきました」


「ようこそお越しくださいました。どうぞ、お通りください」


 門番の男性は鉄格子を開け、中に入れてくれた。


 僕達は庭園を歩き、領主邸の入り口までやって来た。そこにも男性が立っており、名前を言うと扉を開けてくれた。


 領主邸の中に入ると広間があった。すでに今回の橙色武術祭で上位に入賞した方達が招かれており、クサントス領の領主やクサントスギルドのべニアさんと話しをしていた。クサントス領の政治家の方達も出席している。


 僕はまあまあと言うか、結構緊張している。


「だ、大丈夫かな……。僕、浮いてない?」


「キースさんは空気ですから、気にしすぎるだけ無駄ですよ」


 ミルは僕が昔言った言葉をつぶやき、安心させてくる。


 自分は空気だと言い聞かせ、午後八時を待った。


「皆さん、今回の橙色武術祭を大いに盛り上げていただき誠にありがとうございました。並びに、大量のマクロープスと巨大な黒甲虫の討伐をしていただき、感謝御礼申し上げます」


 クサントス領の領主であるジンオレ・ハートフルさんが広い階段の中央付近で話していた。


「今日はささやかな宴会ではありますが、是非とも楽しんで行ってください」


 ジンオレさんは頭を下げ、広間に料理とお酒が運ばれてくる。すべてクサントス領産の品で、とても美味しそうだ。


「キースさんはお酒に弱いですから、たくさん飲んじゃ駄目ですよ」


「キースはグラス一杯までだからね。それ以上飲んだら、寝ちゃうから」


「う、うん。わかったよ。ほどほどにしておくよ」


 僕はオレンジリキュールが入ったグラスを持ち、乾杯の挨拶を行うべニアさんの話しを聞く。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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