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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第三章:橙色の領土。クサントス領

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後処理

「僕が見つけたと言うよりかはミルが見つけてくれました。僕は元凶のマクロープスを倒し、マクロープス達を殲滅してきました。黒甲虫も倒したので魔素が十分薄れたと思いますから、これでマクロープスの暴走も止まるはずです」


「うう……、何から何まで君に助けてもらって本当に申し訳ない……。どうか、私の体を思う存分使ってくれ。どんな仕打ちでも受けよう」


 べニアさんは僕に抱き着こうとしてきた。


「ぶぶーっ! これ以上キースさんに近づいちゃ駄目ですっ!」


 ミルはべニアさんの進行を止め、僕に抱き着いてきた。


「はは、そうだね。キース君にはすでに従者がいるんだった。えっと、それでライアンは?」


「あー、ライアンならお楽しみ中です……」


「…………あの野郎、キース君に全部手柄取られやがって」


 べニアさんは握り拳を作り、お怒りだった。


「あの、黒甲虫とマクロープス達の魔石ですけど、街の復興費用にでも使ってください」


「なっ!」


 べニアさんとミルは同じ反応をした後、全く違う行動をとった。


「本当かい、キース君っ! 君が倒した黒色マクロープスの魔石を譲ってくれるのかい! 黒甲虫の素材や魔石まで、全部良いのかい!」


 べニアさんは目をお金に変えていた。


「ぶぶー! 駄目です駄目ですっ! キースさんはお人よしすぎるのでこんなこと言ってますけど滅茶苦茶死にかけてますからね! 全部譲るなんて駄目に決まってるじゃないですか!」


 ミルは僕の体をゆすり、訴えかけてきた。


「黒甲虫だけでも推定総額金貨八億枚はある! そんな額を譲ってくれるなんて」


「譲りませんよ! 絶対の絶対に譲りませんからね!」


 べニアさんとミルの壮絶な言い争いの中、誘拐された女性たちはギルド員たちに名簿や名前、色々聞かれたあと家や避難所に走っていった。


 僕は洞窟で倒したマクロープス達の魔石数を数えていく。麻袋に一〇個の魔石が入り、手もとにざっと二○袋あるので、二○○個くらいあると思われる。

 ほぼ、黒色になっていた個体で、魔力量が多かった。街で倒した個数も合わさるとざっと四八八個。ミルやシトラが倒した数も足したらもっと行くかもしれない。


 ――僕、いつの間にか結構倒してたんだ。フルーファとアルブもたくさん食べてたんだね。


「はい、ここまでお腹いっぱいになるなんて思っていませんでした」


 アルブは沢山食べたのに、お腹が膨らんでいなかった。どうやらもうすでに魔力として消化してしまったのだろう。


「魔石一個金貨五○枚だとして、五○○個だとすると、二五○○○枚。黒色マクロープスの魔石が……、べニアさん。黒色のマクロープスの魔石は金貨何枚ですか?」


「黒色の魔石は相当な値打ちがある。前の品が金貨五億枚だ! おっと、まだ支払っていなかったね。虹硬貨五○枚を渡すよ!」


「……き、金銭感覚が狂う」


「でも、黒色のマクロープスの魔石が大量に出回れば、少なからず値段は下がる。でも一億枚は硬いはずだ! それを譲ってもらえるなんて!」


「だから、譲りませんって! しっかりと貰います! そもそも、べニアさん達が買い取るんですから、しっかり儲けられますよね。命を張った価値をしっかりと還元してください!」


「ううむ……。確かにその通りだ。じゃ、じゃあ。原価より一割り下げて買い取らせてくれ」


「なにを言っているんですか。私達がいなかったらクサントス領は大量のマクロープスに虐殺されていたんですよ! そのやばさがわからないんですか!」


「うううぐ……」


 べニアさんはミルに論破された。


「ミル、べニアさんも悪気があって言っているわけじゃない。今、クサントス領は経済的な損失が大量に出ている。祭りや『橙の鉱山』、冒険者の減少。べニアさんも感謝してるし、残ったお金を絞り取るような行為は止めようよ」


「うう、キースさん……。確かに分かります。でも、それはクサントス領の問題です! ぼくたちの問題じゃありません。別にぼくたちはマクロープスの魔石を他の領土で売っても良いんですよ。景気が良い領土に行けば多くのお金をもらえるかもしれませんからね」


「そ、それだけはやめてくれ。今、売る物すらなくなったらクサントス領が崩壊する」


「キースさん。冒険者は体が資本。アイクさんから習いましたよね。働いた報酬はきっちりもらうのが冒険者の務めです。逆に、ギルド側は働いた冒険者にそれ相応の対価を払うのが義務なんです! ここで折れたら、クサントス領は腐っていく一方ですよ。ライアンに頼りっぱなしじゃいずれまた同じことになりますからね!」


「ああ、今回の件で身をもって知った。勇者一人が優秀でも駄目なんだってな……。領全体で力を付けなければ、また他人任せになってしまう。今回の件の負債は私達自ら払う責任があるだろう。今、全額払うことは出来ないが、ギルド銀行から引き落としができるようにしておく」


「はい、ぜひそうしてください。で、気になったんですけど橙色武術祭はどうなるんですか?」


「その話しだが、ライアンが戻ってこない以上どうすることもできない。復興を行う前に皆の士気を上げるため、ライアンとキース君の戦いは行いたいと思っている。加えて後夜祭も行は無いと領民が黙っていない。復興の意欲をださせないと、あとあと尾を引く結果になる」


「そうなると……、明日か明後日かってことになりますよね」


「今日、ライアンが返って来れば明日にでもお願いしたい。今日はゆっくりと休んでくれ」


「わかりました。明日、全力で戦いたいと思います。えっと、ライアンがヘロヘロの状態だったら普通に殴っておきますね」


 僕はべニアさんに言う。


「ああ。頼む」


 べニアさんは頭を下げ、お願いしてきた。


 僕はギルドカードとマクロープスの魔石を渡した。ギルドカードの口座に今回の討伐で得られた報酬を入れておくとのことなので、また、資金が増えたようだ。まあ老後のお金と考えればいいか。


 僕とミルは八月三○日の朝に闘技場に向かう。シトラは怒っているだろうな。


 闘技場に到着すると匂いと気配だけで気づかれ、入口から駆けてくる綺麗な女性が現れた。


「シトラ、ただいまー。ぐふっ!」


 僕はシトラにぶん殴られ、地面を何度も跳ねながら仰向けに倒れる。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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