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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第三章:橙色の領土。クサントス領

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勇者の順位

「ただいまー」


「あ、キースさん。お帰りなさい」


「み、ミル、何その格好?」


 僕が玄関に入ると、ミルはエプロンを着けていたわけだが、なぜか、エプロン以外着ていない。後ろを向けばお尻と尻尾が丸見えだ。


「さっき服が雨でぬれちゃったので、着替えるのも面倒ですし、エプロンだけつけておけばいいかなーと思ったんです。気温は暑いですし、服を着ていない方が心地いいですよ」


「そ、そうなんだ……。えっと、シトラの前でしたら怒られるから、ほどほどにね」


「はーい」


 ミルは後ろを向き、居間の方に歩いていく。細く毛が白っぽい尻尾が揺れ、とても楽しそうにしていたので、今日は多めに見ることにした。


「ミル、何を買ってきたの?」


「卵と大豆、(イール)、長芋などなど、体にいい品を一杯買ってきました。今から沢山作りますね!」


「ほ、ほどほどにね……」


 ミルは大豆を茹で解したあと、潰し、解き卵に混ぜ込む。そのまま、熱されたフライパンにバターを引き、解き卵を入れる。じゅーッという快音が聞こえると、ミルが一生懸命に卵を混ぜ、オムレツを作った。


 鰻はすでにさばかれており、焼かれていた。表面をさっと洗い、甘辛いソースを付け、遠火でふっくらと焼き上げる。麦飯の入ったどんぶりに切った鰻を乗せ、ソースをかける。長芋の皮を剥き、輪切りにして鰹節と塩味の強い黒いソースをかけた。


 テーブルの上には滋養強壮に利く食品ばかりが並び、明日の体力は長い間もちそうだ。


「キースさん、あーん」


「あ、あーん……」


 ミルは僕にオムレツを食べさせてくる。今もなお、裸でエプロンを付けており、前部分ががばがばで時おり見えそうになっていた。今度からは下着くらい着せるべきだとかんがえなおす。


「ミル。今日はミルが頑張ったのに、なぜ僕が甘やかされているの?」


「ぼくはキースさんとこうやっている方が楽しいですし、嬉しいんですよ。だから、気にしないでください。にしても、本当に暑いですねー。冷房は効いているんでしょうかー」


 ミルは首元のエプロンを指に引っかけ、パタパタと仰ぐ。そのせいで、ほぼ見えていた。ミルのいたずらか、僕を弄る算段だろうが、その手には乗らない。冷房は効いており、普通に涼しいのだ。なら、もっと下げて、ミルの薄着を無理やり厚着に変えてやればいい。


 冷房の魔石に大量の魔力を送り、温度調節を変える。すると、部屋に雪が不利そうなほど凍えた。


「ひゃーっ! さ、寒い! キースさん、さすがに寒すぎますっ!」


「じゃあ、僕をからかうのはもうやめようね」


「ううー。ぼくもキースさんとイチャコラしたいですー」


「ミルの誕生日まで七日もないでしょ。シトラに言われたことを守れないの?」


「約束を破ったのはシトラさんの方ですよ。ぼくが成人するまでキースさんに手を出さないって言ってたのにぼくがちょっと目を離したすきにキスとか一杯してたんですよね!」


「ミルが思うほどたくさんしてないよ。時々してたけど……」


「ほらー、やっぱりずるいですーっ!」


 ミルは少々ぐずり、僕に突っかかってきた。僕はミルを優しく抱きしめ、頬擦りをする。


「うぅ、嬉しいですけど、キスしてくださいよ……」


「我慢我慢。耐えきった方がミルもきっと嬉しくなれるよ。成人したって気持ちになるはずだから、もう少し待とう」


「はうぅ……。時間が早く過ぎてほしいです……。もう、キースさんと繋がりたくて仕方なくなっちゃってるんです。ぼく、一年前はもっとおしとやかだったのに、キースさんのせいで淫乱猫になってしまったじゃないですか。責任を取ってください」


「責任って……。でも、ミルがいなくなったら僕はすごく悲しいから、責任はとるよ。だから、安心して待ってて。明日、オリーザさんに勝って。明後日、ライアンに勝ったら、ミルはもっと僕に惚れてくれるでしょ。そうなってからの方が優越感に浸れるんじゃない?」


「そんな肩書なくても、ぼくは昔のキースさんでも大大好きだったので、負けちゃってもぼくが慰めてあげますから、気負わないでくださいね」


「ほんと、ミルは優しいね。ありがとう、気が凄く楽になったよ」


 僕はミルの頬にキスをしてつるつるの背中を優しく撫でる。


「うぅ……。もう、このまま押し倒してほしいくらいです……」


 ミルは軽く発情し、ゴロゴロと喉を鳴らしながらお尻を振る。僕は気にせず、お風呂に運び、一緒に入った。昔、アイクさんのお店で一緒に入っていたころを思い出す。


「キースさん。橙色武術祭が終わったら次はどこに行く気ですか?」


「そうだなー。クサントス領の隣がフラーウス領だから、そこに行こうと思う」


「フラーウス領ですか……。ルフス領と並んで治安があまりよくないと言いますか、領土の存在感が薄いと言いますか」


「はは……。まあ、確かにね。黄色の勇者は勇者順位戦で五位だったからね。主に戦闘民族だし、色々あるんだと思うよ」


「勇者の順位って前はどうだったんですか?」


「一位から藍色、赤色、橙色、青色、黄色、紫色、緑色って言う順番だったはずだよ。一番儲かっている領土が藍色、二つ目に橙色、三つ目に青色って感じかな。でも、一番住みたいって言われている領土は緑色の勇者が収めるウィリデ領だ。治安が物凄く良いらしい」


「へえー。ならなら、ウィリデ領に行きましょうよー」


「でも、フラーウス領には行った覚えがないし、どんな領土かもわからないから、行ってみないと本当のところはわからないよ。ルフス領だって悪い悪いって言われていたけど、そんなこと言われるほど悪い場所じゃなかったでしょ」


「そうですけど……」


「まあ、未来の話は明日と明後日を乗り越えた後にしよう」


「そうですね。その方が良い案が浮かびそうな気がします」


 僕とルパ、アルブはお風呂に浸かって身を暖めた後、体を洗って再度お湯に浸かり、お風呂を出た。そのまま歯を磨き、寝る準備を進める。


「えへへー。今日はキースさんと同じ布団で寝ます。それくらい良いですよねー」


 ミルは僕の布団に寝転がり、微笑んでいた。


「全く。甘えん坊なんだから」


 僕はミルの髪をブラッシングして綺麗に整えた後、抱き着き合いながら眠る。アルブは僕とミルの間に挟まるようにして眠った。


 次の日、僕とミルは闘技場に向かう。今日は橙色武術祭の決勝戦だ。今日優勝した者が男の部優勝となり、明日、ライアンと戦える権利が貰える。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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