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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第三章:橙色の領土。クサントス領

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相席焼き肉屋

 夕方まで、僕達は疲れを癒すように瞑想をして過ごした。


 午後六時頃、僕達は夕食を得に、外に向かう。


 シトラとミルの鼻に頼り、肉のにおいを辿ると、僕の鼻でもわかるくらい焼肉の良い匂いがして来た。


 僕とミル、シトラがやってきた焼き肉屋は人気で待っている人が何にもいた。


 一時間ほど待つと席が空き、四人席が無いので、六人席に通された。

 その時、三人組がいるらしく相席にしても良いかと店員に聞かれた。

 別に気にしないと言うと、大層感謝された。まあ、肉を食べるついでに、新しい会話相手が出来るかもしれないと思い、少し楽しみだった。まあ、シトラとミルは不服そうだったけど……。


 僕達が座敷で待っていると、扉が開く。


「すみません。失礼します……って、キース」


「ライアン……」


「あ、シトラさんにミルさんだ」


 ライアンの後方から、黄色い短髪の女性、ソアラさんが顔を出し、後方から橙色長髪のティナさんが顔を傾ける。


「はー、良かった良かった。相手が男だらけだったらどうしようかと思った。ささ、ティナさん、ソアラさん、奥の方へどうぞどうぞ」


「はぁ……、本当に面倒臭い……。こんな所にまでついてこないでくださいよ。付きまとう行為は犯罪ですよ」


 ティナさんは怒りながらも、焼肉が食べたいのか、スタスタと歩き、シトラの前に座る。


 ソアラさんが僕の前に座り、ライアンがミルの前に座った。


「じゃあ、今日は俺のおごりだから、好きなだけ食べてくれっ! もちろんキースたちもな」


 ライアンはいつも通り、食事代をすべて奢ると言い出した。


「もう、またそれ……。今日、どれだけ奢れば気が済むんですか」


 ティナさんはライアンの方を向き、呟く。


「いやー、ティナさんが可愛すぎてさー、いっぱい奢りたくなっちゃうんだよ」


「ほんと口が軽い方ですね。不愉快です。借りなんて返しませんからね」


「もちろん。返してもらわなくて結構だ。楽しく食べて飲んでくれたら俺はそれで十分」


「ライアンさんもそう言っていることだし、ティナさん、今夜は楽しみましょうよー」


 ソアラさんは乗り気だった。


「はぁ……、いくらになっても知りませんよ」


「大丈夫だ。俺は金持ちだからな」


「嫌味な人……」


 ティナさんとライアンは仲が良くないのか、一方通行の話し合いでしかなかった。


「僕達の分は僕達で出すから、気にしなくてもいいよ。明後日に賞金が入るし」


「確かに、って、キースの従者強すぎだろ。一位二位で決勝とか、もう賞金確定じゃないか」


「まあ、二名が頑張っただけだよ。僕は何もしてない」


「ええ……、シトラさんとミルさんってキースさんの従者だったんですか?」


 ティナさんは僕の名前を知っていた。


「そうですよ。あと、僕の名前を知っていたんですね」


「そ、そりゃあ、橙色武術祭の準決勝まで残っている方ですし、知っていて当然です。でも、キースさんとシトラさん、ミルさんの三名は皆さん、三原色の魔力を持っていませんよね。なのに何で決勝にまで上り詰めるほど強いんですか?」


「別に僕達は自分が強いと思っていません。僕たちは魔法を使わなくても戦えるように鍛錬しているだけの話です。僕の師匠が魔法に頼らず、戦えるように指導してくれたおかげです。三原色の魔力を持っていようが持っていまいが、関係ないんですよ」


「魔法に頼らず戦えるように……。なんとも耳が痛い言葉ですね」


 ティナさんは苦笑いをしながら言う。


「うぅ……。私、ずっと魔法使ってました」


 ソアラさんは試合の流れを思い出し、自分を攻めていた。


「魔法を使うことが悪いことじゃありません。ただ、自分の力を把握し、正確に使えるようにならないといけないと言うことを教えてくれているだけなので、気にしないでください」


「自分の力を把握し、正確に使えるようにならないといけない……。なるほど」


 ティナさんは顎に手を置き、ふむふむと考え込んでいた。


「じゃあじゃあ、二段攻撃みたいなあの拳は何なんですか?」


「えっとですね。簡単に言うと、無色の魔力を飛ばしています」


「無色の魔力を飛ばしている?」


 ティナさんだけでなく、ソアラさんとライアンも首を傾げた。


「はい。一撃目から魔力の拳が突き出され、二段攻撃になると言う仕組みです。僕達が無色の魔力を多く持っているから出来る荒業ですよ」


「凄い……。詠唱無しで使える魔法みたい」


「別に凄くはありません。ただただ拳に魔力を溜めて打ち出しているだけですから、やろうと思えば皆さんにも出来るんじゃないですかね」


 僕達が話していると、定員さんが水とお絞り、小皿に薬味を入れて持ってきた。感謝し、注文を受けてもらう。


「ハラミ八○人前。カルビ八○人前。牛タン八○人前……」


 ティナさんはとんでもない量を注文した。お店の人も苦笑いを浮かべ、持って来れるかどうかわからないギリギリの表情をした。どうやら僕達の分の肉も纏めてたのでくれたようだ。ライアンの顔が引きつるも、お金持ちなのだからいいだろう。


 数分後……。


「はぐはぐはぐはぐっ! ゴクゴクゴクっ」


 ティナさんは大量の肉を箸で挟み、特製タレにくぐらせて口に含み食べる。そのまま、エールを飲み、胃の中を埋め尽くさせた。


「はぁー。最高。お肉とお酒があまりにも相性が良すぎて全然止まれない。もう一杯エールくださいっ!」


 ティナさんの食いっぷりはシトラやミルと同等で、お酒を飲んでいる分上かもしれない。


「ほんと、こんなに飲んで食べて出来るなんてありがとうございます。感謝したくないですけど、せざるを得ません。ありがとうございます」


 ティナさんはライアンの方を向き、頭を下げていた。


「いやいやー。ティナさんが喜んでくれてよかった。俺はそれだけで十分だよ。ささ、もっと食べて飲んで。楽しくなっちゃって」


「はーい、私もいっぱい食べちゃいます。お酒もいっぱい飲んでのぼせちゃいまーす」


 ソアラさんはジョッキを持ちながら、お酒をゴクゴクと飲み干した。


 前にいる三名が酔っぱらいだし、もう手が付けられないくらい、ベロベロに酔っていた。ここまで酔ったら理性が真面に働かない可能性がある。大丈夫だろうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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