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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第三章:橙色の領土。クサントス領

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準決勝

「どうするか……」


「おらおらおらおらおらっ!」


 相手は未だに魔法を放っており、相当な魔力量を持っていた。『身体強化』で強化した体で攻撃してきた方が早い気もするけど。


 ――時間もない、少し試してみようか。


 僕は男性の放つ岩石から逃げず、当たることにした。


 岩石は丸ではなく、菱形のように先がとんがっており、回転している。そのため、貫通力と威力が増していた。頭に当たれば突き刺さって危険だ。そのため、急所には当たらないように配慮し、歯を食いしばって受ける。


 体に岩石が突き刺さる。脚や腕、腹部に刺さり、八カ所、怪我をした。だが、岩石は消えず、体に突き刺さり続けている。標的に当たったら残る試用なのかな……。


「これで、攻撃が出来る」


 僕は腕に突き刺さっている岩石を引き抜く。無色の魔力を纏わせ、消えるのを抑止。空に浮いている男性目掛けて岩石を投げる。


「橙色魔法:『サンドウォール』」


 男性は岩石の発射を止め、土の壁を空中に生み出した。だが……。


「ぐあぁぁぁぁっ……」


 僕が放った岩石は土の壁を貫通し、男性の腹部に突き刺さった。


 『身体強化』をした体に突き刺さったのはなぜだろう。無色の魔力には相手の魔法を打ち消す力でもあるのだろうか。そうなると。ほぼ全ての魔法が無に帰すのではと思ったが、ただ単に僕が馬鹿力だっただけかもしれない。


 でも、相手の男性は出血と魔力の損失により、戦闘不能になり、僕が勝った。


 僕の体に突き刺さっていた岩石は消えず、刺さったままだったので引き抜き、傷を見ると。出血は止まり、もう、肉が再生している。


 傷があまりにもすぐに塞がるので、僕は不信に思われないよう、倒れておく。


 僕も担架で運ばれ、医務室にやって来た。


 傷をお医者さんに見せるも、どこも怪我を負っていないので、特に治療する必要がないと言われ、医務室を出る。多くの者に不信がられないよう、医務室の近くで待っているとシトラとミルが形相を変え、走ってくる。


 僕は二名に抱き着かれるも、二名が走って来た勢いのままだったので、体がふっとんだ。石壁に衝突し、体がめり込む。もう、試合の傷よりもこっちの傷の方が痛かった……。


「し、シトラ、ミル……。どうしたの?」


「どうしたのじゃないでしょ……。キースが倒れたから、走ってきたんじゃない……」


「うぅ……。キースさんが倒れちゃうなんて思ってもみませんでした。なんで、あんな無茶をしたんですか」


「いや、あのまま普通に立って動いていたら変に思われるでしょ。だから、一応倒れて怪我を負ったんだなと思わせたかったんだよ」


「だから、言ったじゃないですか。主は無事ですって」


 アルブは宙に浮きながら呟いた。


 シトラとミルは僕の発言に怒ったのか、目尻を吊り上げ、頭突きを繰り出してくる。あまりにも痛すぎて気を失い掛ける。


 シトラとミルは本当に心配してくれたらしく、申し訳ない気持ちになる。倒れない方がよかっただろうか……。今更、やり直すことは出来ないので、二名にしっかりと謝った。


 両者共に、怪我が無くてよかったとすぐに許してくれた。


 その後も、僕たちは順当に勝ち続けた。


 八月二五日、女の部第一二試合。残り四名になり、シトラとミル、二名の人族になり、最後の最後まで、シトラとミルが相対することが無く、シトラとミルの両方が勝った場合、僕達のもとにお金が入ってくることが確定する。お金はいらないが、シトラとミルの戦いを見たかった僕からすれば、両者に勝ってもらいたい。


「橙色武術祭も大詰めに入ってまいりました。女性の参加者三万名のなかで勝ち残った四名が本日戦い、決勝に進む者を決定いたします。金貨一〇〇〇〇枚を手にするのはどなたなのでしょうか皆さんで最後の最後まで見届けましょう」


 司会者の女性が、魔道具に向かい話かけ、闘技場全体へ声を届ける。


 僕とアルブは観客席で戦いを見守る。


「準決勝第一回戦。シトラ・ドラグニティさん対ソアラ・ブレーブさんです」


 試合場の両端にシトラと黄色髪の女性が入ってきた。細身ながら持ち物は大剣で所々に鉄製の鎧をまとい、動きに関係のある部分は革や布を使った衣装を着ている。橙色武術祭では珍しく、橙色以外の者同士の戦いとなった。


「ふぅー、まさかここまで来れるとは思ってなかった。相手は獣族の方だけど、頑張るぞ」


 ソアラさんの年齢は一〇代だと思われる。やる気に満ち溢れており、緊張していない。


「はぁ……。ふぅ……。はぁ……、ふぅ……」


 シトラは深呼吸をしながら気を整えていた。昨日からずっと緊張しており、睡眠不足が伺えた。心が強く、ぐーすか眠るミルに加え、シトラは緊張しやすい性格らしい。僕に抱きしめられてようやく眠れたくらいだ。


「両者前へ」


 シトラとソアラさんは互いに礼をして内側の白線に向かう。白線に到着したのち、審判の方が手を頭上にあげた。


「橙色武術祭、準決勝一回戦。開始っ!」


 審判が手を振り下ろすと、試合が始まった。


「『黄色魔法:細胞活性(セルアクティビティ)』」


 ソアラさんが魔法を使った。すると脚に黄色い光が集まる。


「ふぅ……」


 シトラはゆっくりと構え、精神の安定を最優先に考える。


「行きますっ!」


 ソアラさんは刃の長さが二メートほどある大剣の持ち手を両手で握り、地面を蹴った。すると、地面に静電気だけを残し、消えていなくなった。

 一秒にも満たない時間でシトラの背後を取り、真横から振り抜く。


 シトラは跳躍し、横の薙ぎ払いを回避する。


 ソアラさんは脚の速度が上がっても大剣を振る速度は大して変わっていなかった。そのため、シトラの背後を取ったからと言って確実に攻撃が入るわけではない。


 シトラは空中で腰を捻り、回し蹴りをソアラさんに打ち込む。


「ぐほっ!」


 ソアラさんは顔面でシトラの回し蹴りを食らい、吹っ飛んだ。ただ、大剣の重さと軽い身のこなしによって場外には飛ばす、空中で体勢を整えたら、足下から着地。


「あちゃ、鼻血出ちゃってるよ」


 ソアラさんは流血していたが、シトラはお構いなしに突撃し、拳を振るう。だが、ソアラさんは黄色魔法を使用しているため、シトラよりも足が速い。そのため、シトラの攻撃は容易く回避された。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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