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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第三章:橙色の領土。クサントス領

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信用できる者

「乱れる者はとことん乱れるからな。まあ、少年を遊び人にした感じがライアンだ。雌は強い雄との子が欲しくなる傾向がある。特に獣族はそうだ。強い雄が雌を手に入れ、弱い者は淘汰される。一夫多妻が多いのは子供を残し、強い者を産む確率を上げるためだ」


 リーフさんは熱弁していた。


「へえ……」


「だが、人は本当に愛した者一人に絞るべきと言う民もいる。まぁ、好きな者と死ぬまで一緒にいたいと思えるかどうかが必要だ。遊び相手は顔と体で判断するが、結婚相手は心と相性で選ぶといい。その方が失敗しない」


「貴族の世界じゃそうもいかないですけどね……。権力、金、地位が絡んできますから」


「まぁ……、それを言っちゃおしまいよ」


「でも僕は貴族ではないので、心と相性を一番に考えますね」


「ああ。それがいい。だが、決して遊ぶことが悪い訳じゃない。しっかりと礼儀と倫理を持って接すれば遊んでも構わない。ただし、彼女や妻など愛する者がいるのに遊ぶのは駄目だ」


「わかりました。えっと、まだよくわからない部分があるので質問しても構いませんか?」


「ああ、とことん質問すればいい」


 僕は今まで知らなかったことを沢山質問した。獣族と人族の間に子供は出来るのかや、無色同士の子供は三原色の魔力を持つのかなど、聞ける質問をとことんした。


「リーフさんが付き合ってきた男性は何人ですか?」


「私はな~、ざっと五人の人間と結婚した。子供は出来なかったがな、楽しい日々だったよ」


「へぇ~、じゃあ、今は?」


「今は独り身さ。皆、私より先に死んじまった。わかっていたがな。始めの夫は医者だった。そいつが温泉好きでな。私も温泉好きになり、共に研究をしていたんだ。人と森の民の間には子が生まれにくいからな、避妊具の研究もたくさんしたよ。いやぁ、私も若かったし楽しい日々だった」


 リーフさんは頷き、はにかみながら目尻を拭う。


「リーフさんが、子供を作る行為をしていたなんて想像できません。その小さな体に木の棒が入るんですか?」


「私はこう見えても昔はボンキュボンの大人の体をしていたんだよ。森の民はほぼ不老だ。だが、魔力が減ると幼くなっていく。だから、子供とお年寄りの見分けが難しい。魔力の質を見れば一目瞭然なんだがな」


 僕は魔力視でリーフさんの体を見た。すると、薄い緑色の魔力が流れており、どうも弱弱しい淡い光だった。


「緑色の魔力が薄くて淡い光方をしています。魔力量が少ないみたいですね」


「おお、よくわかったな。なぜわかったんだい?」


「目に無色の魔力を溜めてみると、他の魔力がよく見えるんです。逆に、魔力を持っていない物は上手く見えませんから、リーフさんの顔は上手く見えません」


「なんと……。無色の魔力にそんな使い方が……。興味深い。そもそも、長い時を生きてきて真っ白な髪など見た覚えがない。完全な白髪、混じりけの無い無色の魔力の特徴、控えさせてくれ」


 リーフさんは研究者のような顔になり、生き生きとしていた。僕は講義をしてもらったお礼に、僕の情報を彼女に渡す。貰ってばかりでは良好な関係は作れない。


「この子が無色の魔力をつかさどるドラゴン。アルブです」


 僕はアルブを持ってリーフさんに見せた。


「むむむ……、見えない……」


 リーフさんは目を凝らしながら呟いた。


「え? 見えないんですか?」


「すみません、主、私が『無視』を発動していました。今、解除します」


 アルブが呟くと、リーフさんは目を丸くしながらたじろぐ。


「ほ、本物のドラゴン……。は、始めて見た!」


 リーフさんは子供のようにアルブを抱きかかえ、撫でまくった。


「何億年も前からこの地上にいたらしいんですけど、ずっと生まれることが出来なかったらしくて、僕の魔力を吸ってやっと生まれることができたみたいです」


「白いドラゴン……。伝承は無いが、考察はされていた。黒いドラゴンがいるのなら、白いドラゴンもいるだろうと。まぁ、古代の石碑に書かれているだけで、今は誰もドラゴンなんていないと思っているが……、まさか本当に存在したとはこの眼で見られるなんて幸運だ」


「アルブはとても弱い僕に力をくれました。『無限』『無重力』『無反動砲』『無視』『無休』『無傷』まだいくつもあるらしいんですけど、発動していません」


「精霊と契約して加護を得るのと同じか……。なるほどなるほど。能力の詳しい詳細は?」


「『無限』は発動中、僕の魔力量が無限になり、対象との空間が無限になります」


「…………」


 リーフさんは手を止めた。苦笑いをしながら……。


「魔力量が無限……。えっと、他の効果は聞かなくてもよさそうだ。少年、君はとんでもない生物と契約を交わしてしまったようだね」


「はい。本当にそうなんですよ。僕、『無限』を使っていれば不老不死になれるみたいで」


「まぁ、老いとは魔力の質が落ちることと同意だ。魔力量が無限なら、老いず死にはしない。だが、死のうと思えば死ねるのはまだよかったな」


「はい。命拾いしました」


「はははっ、少年、君は面白いね。はぁ~、私以外に話した覚えは?」


「無いです。リーフさんは信用できると思って話しています」


「少年は見る目もあるようだ。確かに、私よりも口が堅い者を知らない。安心したまえ、この情報は墓まで持って行こう。私が死んだら埋葬をお願いしたいくらいだ」


「なにを言っているんですか。リーフさんはまだまだ長生きしますよ。老人は魔力が本当に薄いです。でも、リーフさんはまだ色がはっきりとわかります。今のままでもあと三〇〇年以上は生きるんじゃないですかね」


「はぁ~、やだやだ。まだそんなに長い間生きてないといけないのか。困るな~」


 リーフさんはベッドから起き上がり、立って背筋を伸ばす。


「うん。良い感じだ。驚いたら腰が治ったよ」


「そんなことあるんですか?」


「冗談だ。薬が効いただけに決まっているだろう。年寄りの冗談にも付き合えるようにならないとな。はははっ!」


 リーフさんは笑いながら歩き、魔法で薬草を集めていく。その姿を魔力視で見ると体の魔力が光り輝いていた。


 ――こりゃ、あと八〇〇年くらい生きるかも……。


 僕とリーフさんが寝室から出ると、ミルが四つん這いになって脚に擦り寄ってくる。


「ごろにゃ~、ごろにゃ~」


 ミルは全裸になり、背中を床に擦り合わせ、僕にお腹を見せてくる。完全に猫になっていた。


「あ……、ごめん、ミル。完全に忘れてた」


「本能のみが吐出し、理性が飛んでるな。発情しきるとこうなる『緑色魔法:スリープ』」


 リーフさんはミルを魔法で眠らせ、産まれたばかりの姿のミルを観察し始めた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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