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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第三章:橙色の領土。クサントス領

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勇者任せの領土

 僕たちはクサントスギルドに到着し、ライアンが受けるはずの依頼を代わりに受ける。


 今日は二件だけにして確実に終わらせる作戦だ。


 午前中で一件終わらせ、午後に二件目を行う。

 どちらも魔物の討伐で増えすぎた魔物を駆除してほしいという依頼だった。


 ミルは僕に撫でられても発情せず、普通に接することができた。きっと薬のおかげだろう。気を良くしたミルは僕に甘えてくる。


 今まで発情してしまうので大きな触れ合いは難しかったが、薬のおかげでどれだけ撫でられてもずっと嬉しい状態が続くのだという。


 依頼を達成したあと、クサントスギルドに向かい、報酬を貰って帰宅した。


 クサントスギルドは今日もてんやわんやしており、忙しい時のルフスギルドのようだった。


「まあ、今は勇者がいないし、助けてもらえる可能性がないもんな」


 前までクサントスギルドの人々は「勇者がいれば、どうにかしてくれるでしょ」と言った精神が見えていた。だから、今は危険な依頼を誰も受けないそうだ。そんなに勇者任せの領土もあるんだなと思う一方、ルフス領はなるべく勇者に頼らないようにしていたという反対の態勢を取っており、上手く回っているのが面白い。


 今、僕達が働かなくなったらどうなるんだろうか。そう思わずにはいられない。


 仕事を終わらせた僕達は帰宅する。人の役に立てるのは働いている身としてはありがたいが、僕達が危険な目に会っている状況がしっくりこない。


 僕はクサントス領が好きだが、ここの住民ではなく観光客だ。なのに、何で僕はこんなにもクサントス領のために働いているのだろうか。まあ、困っている人を助けるのが僕の本分だからいいんだけど。


 僕は家に帰り、シトラに癒される。


 仕事をして橙色の勇者の仕事を代わりにこなし、家に帰ってくると言う生活を送って一二日ほど経った。


「おはようございます」


 僕はクサントスギルドに朝早くから来て、依頼を受けるために受付に向かう。


「ああ、キース君、おはよう。毎日毎日すごいね君は……。でも、今日からは普通の生活に戻ってもらっていい」


 べニアさんはライアンが復活したから、別の仕事をしてもらって構わないと言ってきた。


「わかりました。では、普通の生活に戻らせてもらいます。えっと、黒いマクロープスや『橙の鉱山』などはどうなりましたか?」


「黒いマクロープスは今、ライアンが倒しに行った。仲間を庇いながらの戦いに苦戦したらしいがもう、負けないと言って起き上がりぎわに走っていってしまったよ。私はもう少し体を動かしてからの方がいいと言ったんだが……」


「せっかちな勇者なんですね」


「ああ。本当に行動に移すのが早い奴だ。無理をされたら困るが、あいつは簡単に負けない。きっと黒いマクロープスを狩って帰って来るさ。『橙の鉱山』は今のところ音沙汰無しだ。瘴気の量は常に危険地を越えているから一般人の移動は禁止されている。有名な観光地だったんだがな……。経済への影響が出ないと良いが……」


 べニアさんは色々な心配事が増えて寝不足なのか目の下が黒い。


「はぁ……。仕事が増え続ける一方だ。何とかして危機をだっしなければ……」


 べニアさんは重い足取りでギルド内に入って行く。


 僕とミルはバルーン草の採取を行い、生活費と貯蓄を得る。いつ働けなくなるかわからないし、お金はあるに越したことはない。貯めていても、損しないのがお金の良い所だ。


 僕達は仕事を終えて家に帰っていた。そんな時、北東側から大きな音が聞こえた。花火のような爆発音だ。何かしらの火薬に引火したか、魔法で爆発を起こしたのか。


「なにが起こっているんでしょうね?」


 ミルは僕の顔を見ながら言う。


「わからない。音が聞こえてくると言うことは結構近い位置で爆発が起こったんだと思う。ミルの耳で聞き取れない?」


「ん~、何かが迫ってきているような気配はありますけど、さすがに遠すぎて何が起こっているのかまではわかりませんね」


「そうなんだ」


 僕はアルブに質問しようと思い、上を見る。アルブは北東側を高い位置から見ており、何が起こっているのか調べていた。


「アルブ、今何が起こっているかわかる?」


「ここからじゃ、はっきりととらえきれません。少し見に行ってきてもよろしいですか?」


「わかった。でも、気を付けてね。何が起こるかわからない」


「はい。なるべく高い位置から確認します」


 アルブは空を飛び、北東の方向に移動した。


「アルブが何が起こっているか調べてくれるって。じゃあ、僕達は家に帰っていようか」


「そうですね。ただの事故に走って行っても無駄足になるかもしれませんし」


 僕とミルは家に帰る。七月の下旬。八月に近づくにつれて気温が高くなり、日照時間が長くなる。夕方までは行っていないが、明るすぎて眼が痛いくらいだ。


 家に到着すると、アルブも到着した。


「主、黒いマクロープスがクサントス領付近に攻めて来たようです。橙色の勇者が交戦していました。あと、牛族の男性が黒いマクロープスが引き連れて来た通常のマクロープスと戦っています」


「え……。マクロープスが攻めて来た? そんなことあり得るの……?」


「現に攻められているんですから、魔物が人の領地に侵入しようと企てているんです。理由はわかりません。ただ、魔物は人を食糧と見なしている場合が多いですから、大量の餌がある街にやってくるのもおかしい話じゃないかと」


「クサントスギルドは動いているの?」


「動いてはいますが、多くの冒険者が勇者の邪魔にならないようにと戦いから避けていました。どうやら、死ぬのが怖いようですね」


「まあ、生き物だから皆死ぬのが怖いけど、街を守るのも冒険者の仕事の内なのに……」


「キースさん、ぼくたちも行きましょう。今日は快晴ですし、ぼくの力を発揮できます!」


 ミルはやる気満々だった。


「そうだね。通常個体でも倒せば、戦いやすくなると思うし、向かおうか」


 僕達は走っている間に、人とぶつからないようにするため、屋根に飛び乗る。そのまま、走り、北東に向った。大きな壁の外から大量の打撃音と爆発音が鳴り響いている。

 僕とミルは国境の壁に到着し、上部から外の状況を見た。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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