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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第三章:橙色の領土。クサントス領

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ライアンが受けるはずだった依頼

「村に現れたマクロープスの討伐。道を塞いでいる巨大岩の除去。荷台の護衛……。色々あるんですね。でも、普通の冒険者でも出来そうな気がするんですけど」


「ああ。人数を積めば、可能だ。だが、今は黒色のマクロープスや『橙の鉱山』の監視、その他諸々に多くの労力がかかっている。人員を大量に割くのは難しい。だからこそ『名無し』の二人に頼みたいんだ」


 べニアさんはクサントスギルドの事情を話した。


「そうですか……。わかりました。出来る限り、頑張ります。じゃあ、今日はこの三つの依頼をこなしてきますね」


「い、いきなり三つも受けて大丈夫かい?」


「別に受けても今日中に終わらせないといけない訳じゃありませんよね?」


「ああ。依頼をしっかりとこなしてくれれば構わない」


「わかりました。では、荷台の護衛から終わらせてきます」


「よろしく頼む。一応、依頼許可証も持っていくといい。何を言われるかわからないからな」


 僕はべニアさんから依頼許可書を貰った。まあ、本来は橙色の勇者が受けるはずだった依頼だ。少なからず、危険な依頼ばかりのはずなので、僕達が来たら確実に怒るだろう。だからこそ、ギルドが認めたという書類が必要なのだ。


「じゃあ、ミル。仕事に行こうか」


「はい。行きましょう」


 僕とミルはクサントスギルドを出て、依頼を出した宝石店のもとに向かう。


 どうやら、商品を列車まで運びたいとのことだ。宝石を王都で売るらしく、列車に荷台ごと乗せて向かうらしい。


 大きな荷物を運ぶ貨物列車の位置がクサントス領の端の方にあるらしく、その間に盗賊に襲われる可能性を危惧して依頼を出したそうだ。列車に乗ってからは別の冒険者と共に王都に向かうらしく、護衛をお願いされた。


 初めは疑われたが、舐めて掛かって来た盗賊をさっと捕まえると信じてくれたようで、感謝された。馬車で片道一〇時間の道のりらしく、時間がもったいないと思った僕達は馬や荷台を持ち上げて走った。すると、盗賊に襲われることもなく、一時間ほどで駅に着き、驚かれる。感謝され、依頼の達成完了の印を貰った。


「橙色の勇者の依頼、案外簡単でしたね」


 ミルはさりげなく呟く。


「まあ、何度も盗賊に襲われたし、ライアンがいた方が安全なのは間違いなかったね」


 僕達は続いてマクロープスの被害が出たという村に向かう。その村はクサントス領の壁から一〇キロメートル付近の村で一〇〇世帯が住む村だった。マクロープスが食べ物を漁り、村の中を横行しているようで、真面に外を歩けないのだとか。


「キースさん、マクロープスを発見しました。見かけからして狂暴な個体ですね」


「そうだね。でも、一体なら、難なく倒せるんじゃないかな。まあ、敵が一体だけとはかぎらないから、油断はしないように」


「はい!」


 僕達はマクロープスと対峙する。


「ベッベッベッベッベッベッベッ!」


 マクロープスは僕に気づき、遅い掛かって来た。地面を強く蹴り、高く飛ぶ。四メートルほどから、僕達の頭上を蹴りつけてくる。

 空中からの攻撃は物凄くよけやすい。 空中では方向転換も難しく、落ちてくるだけなので狙っている場所がわかるからだ。


「ふっ!」


「べべっつ!」


 僕は攻撃してきたマクロープスの足を持ち、頭を地面にたたきつける。すると、脳しんとうを起こしたのか動かなくなった。


「はーい、ちょっとゴキっとしますよー」


 ミルが頭を持ち、マクロープスの首の骨を折った。


 血が無駄に飛び出さないため、後処理も楽になる。


 僕はマクロープスの胸を裂き、魔石を取り出した。その後、アルブにマクロープスの体を食べてもらう。


「よし。一体のマクロープスの討伐は終わった。あとは村を見回り、隠れている個体がいないか調べる。その後、村の周りを調べて魔物を駆除しよう」


「はい。その方がいいですね」


 僕達は村の中を見回り、マクロープスのがいないかを調べた。すると、他の場所に三体隠れており、全て倒す。


「村の中にいた個体は計四体でしたね。見回りをして正解でした」


「うん。あとは村の周りを見回っていないか調べよう」


 僕達は村の周りに魔物がいないか調べた。魔物はおらず、依頼を達成した。


 三つ目の依頼として大きな岩が山脈の道を塞いでいて通れないと言うので向かう。


 山道に八メートルほどの巨大な岩が大雨の土砂崩れによって移動してしまい、道を塞いでいた。どうやって除去しようか考えていると、ミルが岩を叩き出した。どこかに反響する部分があれば、亀裂が発生している可能性があるらしく、力を加えれば割れるかもしれないと言う。


「キースさん、ここに思いっきり攻撃してみてください」


 ミルは岩の一部に触れ、僕に位置を教えて来た。


「わかった。ミルは危ないから離れていて」


「了解です」


 僕はフルーファを斧の状態で持ち、大きく腰を捻って木を切るように打ち込んだ。すると大岩に大量の亀裂が入り、割れていく。全体に亀裂が行きわたると、砕けた氷のように崩れ去った。あとは壊れた岩を除去していくだけだ。


「この岩をどこに除去しましょうか。大量にあるので除去するには時間が掛かりそうです」


「そうだな……。上に置くとまた同じような被害が出るかもしれない。砕きまくって地面に撒いていこう」


「そうですね。力が着きそうですし、岩の中から何か見つかるかもしれませんよね」


「そんな運よく見つかったりしないよ」


 僕達は砕けた岩を更に砕き、砂利にする。そうすれば、雨などによって勝手に広がっていき、地面に馴染んでくれるはずだ。岩と岩同士をぶつけ合わせたり、地面にたたきつけたり、拳で殴ったりして割っていく。ある程度無くなってきたら、地面を均して馬車が移動しやすいように配慮する。


「よし、仕事終了。昼食を得るのも忘れて仕事をしてしまった……」


「そう言えば昼食を得るの、忘れてましたね。ギルドに早く戻って料理を食べに行きましょう。思い出しちゃったのでお腹がすごく空いて来ました」


「僕もだよ。じゃあ、三種類の依頼を終えたとクサントスギルドに報告しに行こう」


「はい!」

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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