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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第三章:橙色の領土。クサントス領

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仕事をしないと馬鹿になる

「モグモグ……。キースさんは朝からここにずっといるんですか?」


 ミルは口の中をサンドイッチでいっぱいにしながら聞いてくる。


「うん。他の人の戦いを見るのって結構勉強になるんだよ。僕が初見じゃ動けないかもしれない攻撃を、他の人に使ってくれていると対策が出来る。怖い攻撃が来ても焦らないようにしておけば、勝利にグッと近づけるはずだよ」


「なるほど。じゃあ、ぼく達も戦いを見て勉強します」


 ミルはサンドイッチを食べながら、試合を見てふむふむと頭を動かしていた。シトラも同様に食事をしながら戦い方を学ぶ。


 僕達は一日中闘技場で試合を見ていた。高級な宿に戻り、お風呂に皆で入って疲れを癒したあと、活力の漲る料理を食べて二人は眠り、僕は鍛錬に勤しむ。


 僕は体の筋肉を今以上に密度を高めていく。見かけではわかりにくいが他の人よりも筋肉の密度が多いらしく、鍛えれば鍛えるだけ強くなるそうだ。


 僕はアルブの言葉を信じて毎日限界を越えながら鍛錬をした。強さが増しているかは自分でわからない。でも、確実に身になっている。自分の体を魔力視で見てみると筋肉に魔力がしっかりと詰まっているとわかる。


「僕は毎日頑張ってるな……。そう思うと、日々が充実してるって感じれるよ……」


 僕は朝まで鍛錬をして体から汗を流す。その汗を温泉で綺麗にした後、寝室に戻る。


 クサントス領に来てから、この朝の過ごし方が普通になってしまった。まだ、七日目だが、クサントス領はとてもいい所だ。そう思える。


 一個下のルフス領が何であんなに揺らいでいるのかわからないくらい、平和だ。きっと裏にはいろいろあるんだろうけど、今のところ不満はない。こんなにいい場所だと、貴族が来たくなるのもわかる。


「ふわぁ~ん。むにゃむにゃ……。キースさんに寝起きの愛のキスを……」


 ミルは寝ぼけながら唇を尖らせ、夢の中だったと知り、しょんぼりした後、起き上がる。いつの間にか寝間着を脱いで全裸になり、お風呂にちょっこうしていった。ミルの寝ていた布団はグチャグチャで、寝間着と下着の抜け殻が落ちている。


「はぁ、仕方がないな」


 僕はミルの下着を回収しようとしたがシトラに先を越された。加えてちょっと睨まれた。

 理由はわからないが、僕の顔がにやけていたからだそうだ。自分では真顔でいたつもりなのに……、いつにやけていたのだろうか。


 僕はミルの布団で寝ころがり、あまり香りがしてとても落ち着く。そんなことをしていたらお風呂上がりのミルが飛び込んできて布団がまたグチャグチャ……。シトラに盛大に怒られた後、布団を綺麗に伸ばして折りたたむ。


「もう、二人の生活がだらしなすぎ。どうしたらそうなるの。全く、自由過ぎるのも対外にしないと駄目だね。二人は仕事をしていないと馬鹿になる」


「ごもっとも……」×キース、ミル。


 僕とミルは仕事が大好きな種族なので、ここのところ仕事をしなさすぎて頭の中が子供みたいになっていた。


 生活がだらしないのも仕事をしていないからかもしれない。シトラはメイドの仕事が板についており、どのような場所にいてもおちゃらけることはほぼ無い。


「ミル、今日の試合をしたら、仕事でも探そうか……」


「そうですね。仕事をしないと、ぼくとキースさんは貯金を食いつぶすだけの虫と同じになってしまいますよ……」


「じゃあ、私は二人が仕事をしている間、自由に行動が出来ると言うことでいい?」


「え?」×キース、ミル。


「私だって一人でいたい時くらいある。ミルちゃんみたいにキースといつもべったりしていたいわけじゃないし、まぁ、たまにくっ付きたくなるけど……。メイドって言うのは主の仕事以外の部分を助ける仕事。つまり、主が仕事中、自分の仕事がないとほぼ暇なの。この時間が結構好きなんだよ。だから、二人が仕事中は私は休む」


 シトラははっきりと言った。まぁ、休める時に休んでもらわないといけないから、僕はもちろん了承した。


「たまには安い宿に泊まって料理は自分達で作って食べる。そんな日があってもいいんじゃない。その方が私達らしい気がする。お風呂に入りたいときは普通に大きな温泉に入りに行けばいい」


「確かに……。そう言う質素な生活も悪くないか」


「ですです。キースさんと一つ屋根の下で暮らすのも何か新婚みたいで絶対に楽しいと思います」


 僕達は朝食を得たあと高級宿を出て馬車で闘技場に向かう。


「さて、準備運動もしたし、後は勝つだけだ」


 僕は六勝している人を探した。だが、六勝している人の多くがすでに二回負けている人が多く、後が無いと言って僕と戦おうとしない。六勝ゼロ敗または一敗の人かがいないか探すも、見当たらない。ミルとシトラは相手を見つけ、先に試合場に移動していった。


「どうしたものか……。相手がいないんじゃ、戦いようがない」


 僕は自分の試合を後回しにしてミルとシトラの試合を見ることにした。


「よ~し、勝つぞ~」


 ミルは拳を掲げ、気合いを入れる。相手も六勝しているだけあって強そうな女性だ。


 試合が開始されると、相手はミルの得意なカウンターを警戒して遠距離攻撃を繰り出す。逆にミルは自分から攻め、相手の意表をついていった。


 ミルは勢いよく攻めるものの、相手は橙色魔法の身体強化を使っているため、的確に距離を取り、ミルの攻撃をかわす。


 ミルは攻撃をかわされても止まらずに攻め続けた。どうやら、体力勝負に持ち込むらしい。相手も、時間が過ぎるだけ魔力を消耗するので泣く泣く攻撃に移る。だが、近距離戦闘になるとミルのカウンターを食らい続け、相手は倒れた。


「ふぅ~、よし! 作戦通り!」


 ミルは大きな痛手を負わず、攻め続けることで相手を無理やり戦わせると言う作戦を決行し、見事成功させた。


「よし、私も勝つ」


 シトラもやる気を見せ、本戦に出場できる七勝目を目指す。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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