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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
第三章:橙色の領土。クサントス領

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穏やかな日々を手に入れる

「うぅぅ……。やった~! キースさん、ありがとうございます! 本当に本当に辛かったんですぅ~! これで、普通にキースさんと過ごせます」


 ミルは僕に抱き着き、尻尾を振った。


「ミル、この状況をお店の人に謝らないと。ミルは気づいてないかもしれないけど、今、盛大にお漏らししているからね」


「へ? ひゃっ! ご、ごご、ごめんなさい!」


 ミルは僕からすぐに離れ、服やら下着やら全部脱いだ。そのまま、お店の人を呼びに行こうとするから、僕は流石に止めて新しい寝間着を羽織らせる。すぐあとにミルはお店の人を呼んできて土下座をして謝っていた。お店の人は一切怒らずにミルの下着まで綺麗に洗って返してくれた。


「これで、発情しても大丈夫だね。ミル、シトラを呼んできてくれるかな」


「了解です!」


 完全回復したミルはシトラを呼びに外に向かった。僕の考えはどうやら当たっていたようだ。


「いやはや、主。あんな風に魔力を吸い取るなんてよく思いつきましたね」


 アルブは僕の肩に飛んできて呟いた。


「いや、同じ魔力の色なら、操作出来ると思ったんだ。案の定うまくいってよかったよ」


 ミルはシトラを連れて来た。全身汗だくで、意識がもうろうとしており、僕を見た途端に尻尾を振りまくって獣の眼をしていた。今にも襲い掛かってきそうだ。


 先ほど魔力を吸われたミルが言うには耐えがたい刺激が加わるから、漏れてしまうのは必然らしい。なので、風呂場で治療を行う。


 僕はシトラを抱き抱え、風呂場に向った。シトラは僕の顔を何度も舐めてきて盛大に甘えて来た。こんなに甘えん坊になるとは思っておらず、今すぐにでも可愛がってあげたいが、今、シトラの感情は性欲によって支配されているので、本当の気持ちではない。すぐに治療してあげないと可哀そうだ。


 僕はシトラのお腹に手を当てて先ほどと同じように魔力を吸い取っていく。すると案の定シトラもお漏らししながら震え、気を失いかけていた。


「はぁ、はぁ、はぁ……。わ、私は……、いったい何を……」


「シトラ、お疲れ様。体の疼きは止まった?」


「キース……。そう言われてみれば……、確かに苦しくない。って……、う、嘘……。滅茶苦茶漏らしてる……。ちょ、私に何をしたの! まさか、無理やりやったんじゃないでしょうね!」


 シトラは母親の形相で、僕につかみかかってきた。


「し、シトラ、落ちついて。僕はシトラの体の中に溜まっている魔力を吸い出しただけだ」


「魔力を吸い出した……?」


「そう。僕、魔力が見えるようになったんだ。魔力眼って言うんだけど、それでシトラの体を見たら、大量の魔力が溜まっていた。多分、獣族の発情は魔力が無意識に溜まっている状態なんだと思う。僕の考えだと繁殖のときに大量の魔力を使うから、通常時は使えないんだよ。いつもは体に魔力を溜めて発情時に開放する。そう言う体の仕組みになっているんじゃないかな?」


「な、なるほど……。発情している私の体から、魔力を吸い取ったから普通に戻ったと」


「うん……」


「じゃ、じゃあ、何で漏らしちゃってるの……」


「ミル曰く、激しい刺激のせいなんだって。でも、すごく痛い訳じゃないらしい。だから、シトラが刺激を受けて歪んでいる顔はすごく可愛かったよ……」


「…………」


 シトラの顔が真っ赤になり、僕は顔面に鉄拳を食らってお湯路のお湯に突っ込んだ。


「キースの馬鹿! 変態! 甲斐性無し! 無知!」


 シトラの罵声がお湯の中でも聞こえ、僕は訳がわからなかった……。


 僕とシトラは共にお風呂場を出て、ドタバタした朝を迎えたあと、美味しい朝食を得た。


「ふふ~ん、ふふ~ん。はぁ~、普通に食事ができるってこんなにうれしいんですね」


 ミルは僕にくっ付きながら卵焼きを摘まみ、麦飯を掻きこんでいる。


「まぁ……、確かに。目覚めは最悪だったけどね……。あ、そう言えばまだ、お礼を言ってなかった。ありがとう、キース。色々言ったけど、本当に辛かったから助かった」


シトラは僕の向かい側に座り、煮魚の味をおしとやかに楽しんでいる。


「いたた……。歯が何本折れたかわからないよ……。もう、治ったけどさ」


 僕は先ほどのシトラの拳によって顔面がほぼ潰れたような痛みに襲われた。案の定、歯はバキバキにおれており、お風呂場に落ちていた。いつの間にか再生しており、元通りになっている。


 どうやら僕の体はもう人ではないようだ。


「皆さんが無色の魔力だったから上手くいったのでしょうね。他の魔力でも同じことが出来るのか、試してみたいですけど、今のところ難しそうですね」


 アルブは顔に麦飯をベタベタにつけた状態で呟く。


「はぁ、あんな体験は二度とごめんよ……。恥ずかしすぎる」


 シトラは頬を赤らめ、お茶をすすっている。


「ぼくはキースさんにまた、魔力を吸い取ってもらいたいです~。あんなすごい刺激を知っちゃったら、もう、たまりません」


 ミルは僕に頬を擦りつけながら話した。


「ま、二人が辛いと思ったらいつでも言ってよ。僕が魔力を吸い取ってあげるから」


「は~い」


 ミルは高らかに手をあげて答えた。


「……わかった」


 シトラは頬を赤らめながら呟く。


 僕達は少々穏やかな日々を手に入れられそうだ。


 僕達は朝食を終え、そのまま、闘技場に向った。今回は六試合目だ。少しずつ相手の強さも上がっており、一筋縄ではいかない。僕の攻撃も五回も観られればそれなりの対策と研究がされており、持久戦で戦うと自分達が不利だと気づかれた。


 僕の持ち味は体力なので、じわりじわりと敵の体力を削り、高い一撃を決めて倒すと言うお得意の戦法が取れなくなった。


「はっ! うらっ! そりゃっ!」


 六回戦目の相手は初めから全力全開。いかに速攻撃し、倒せるかという戦法以外に答えが見つかっていないと思われる。


 でも、僕としては一番厄介な戦い方だ。僕の反応速度が遅れれば普通に攻撃を食らう。ただ、アルブが無限に寄る防御を張ってくれるおかげで事なきを得ているだけだ。


 こうなると、僕だけの力で戦っているわけではない。そう思い、今度からアルブは観戦してもらうだけにする。


 六回戦目の相手も魔力が切れて自ら棄権した。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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