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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
赤色の勇者をもとに戻すために出来ること

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一時のわかれ

「ルフス領から出て行ってほしいって言われた。だから、今から僕達はアイクさんのお店に行って挨拶をした後、馬車でルフス領を出る」


「え……。ホーンラビットの大量発生の方は……」


 ミルは眼を丸くし、呟いた。


「ハイネさんは僕達がルフス領に拘わってほしくないらしい。だから、早急に出て行ってくれって」


「そうなんですか……。ま、面倒な仕事が無くなって幸運だったと思いましょう。無駄に危険な仕事をしなくてもよくなったんですよ。ね、キースさん。だから、そんな暗い顏をしないでください」


 ミルは僕の手を取っていつも通り、言ってほしい言葉を投げかけてくれた。


「ありがとう、ミル。頼り過ぎてはいけないとわかっているんだけど……、僕もまだまだ弱いな。心が子供すぎるって……、ハイネさんにも言われたし、大人には程遠いよ」


「キースは何でも考えすぎるのがいけないの。さっさと出て行ってくれって言われたのなら、潔く出て行ってやればいいのよ。ほら、行くよ」


 シトラのド正論によって僕は丸め込まれ、手を引かれながらギルドの外に移動させられた。


「シトラ、僕はもう昔の僕じゃないんだからそんなに手を握らなくても良いよ。普通に歩けるからさ」


「何遠慮してるの。ミルちゃんとはちゃっかりつないでるくせに……」


 シトラは頬を膨らませながら、小さな声で言う。


「え? あ、ほんとだ。いつの間に……」


 僕はミルとも手を繋いでいた。あまりにも滑らかだったので気づかなかった。


「さ、キースさん! 今からぼく達の楽しい旅の始まりですよ! まだ、アイクさんに挨拶をしてないですけど、それが終わったら辛かった時を忘れちゃうくらい楽しい旅にしましょう」


 ミルは明るく振舞い、気分を上げていた。


「ミルちゃん、そんなにはしゃぐとこけるよ」


 シトラもフレイやルフス領の行く末などどうでもいいといった具合にサバサバしている。


「…………」


 僕は二名に手を引かれながら『赤光のルベウス』さん達のもとに移動した。


「皆さん、僕たちはハイネさんからルフスギルドへの出入り禁止を言い渡されました。なのでホーンラビットの討伐には参加できません。自分の命を第一に考えて冒険者の仕事を頑張ってください」


 僕は頭を下げて申し訳ない気持ちを伝える。


「そうなんだ……。でも、フレイが元に戻ったのなら、ホーンラビットが何万羽現われようとも負けるわけないよ。キース君の力が借りられないのは残念だけど、安心して。私達も冒険者としての拍を見せるから」


 トーチさんは僕の肩に手を置き、気にしなくていいと言うように笑顔を見せてくれた。


「もしかしたら、フレイがもう、全部終わらせちゃっているかもしれないですからね。でも、キース君に会えないのは少々心細いです」


 マイアさんも、気にしてないと言った表情をする。


「ハイネさんも何か考えてキース君を出禁にしたと思うっすよ。だから気にしなくてもいいっす。キース君ならどこに行っても仕事があるっすよ」


 フランさんは僕の頭をガシガシと撫で、微笑んだ。


「フレイが元に戻ったルフス領に怖いものなんてないよ! キース君は安心して旅立って。キース君の帰って来れる場所は私達がちゃんと残しておく。好きな時にいつでも帰って来てね。私達、待ってるから」


 ロミアさんは僕にギュッと抱き着き、優しい言葉を伝えてくれた。


「ありがとうございます。皆さんのお役に立てないのは残念ですけど……、もう少し大人になって戻って来ようと思います。では、お元気で」


 僕は皆さんに頭を再度下げて別れる。


「キース君! 行ってらっしゃ~い!」


 『赤光のルベウス』さん達は僕に向って手を大きく振り、帰りを待ってくれるそうだ。何とも歯がゆい気持ちだが、待っていてもらえると思うと凄く安心する。


「女の子にキャ~キャ~言われて鼻の下を伸ばしちゃって……」


 シトラは眉間にしわを寄せ、ムスッとした顔になったあと僕から視線を背ける。


「ほんとですよ。こんな近くに可愛い可愛い獣族が二人がいるというのに、キースさんの眼は節穴ですか」


 ミルもシトラと同じように視線を背け、怒っている。


「は、鼻の下は伸ばしてないよ」


 僕の苦し紛れの言葉とロミアさんの豊満な胸の感触が噛み合わない。


 僕たちはアイクさんのお店に向った。昼頃なので、お客さんは多い。アイクさん一人で接客をしており、とても忙しそうだ。


「先にエルツさんのところに行こうかな」


 僕たちは闇市へと脚を運んだ。辛気臭い雰囲気がプンプンしており、出来れば目を背けたい。


「闇市……。ぼく、ここには来たくなかったですね……」


「私も……。キースに全裸を見られた時が忘れられない……」


 シトラは顔を赤くして呟く。


「あの時は仕方なかったでしょ。僕だって見たくて見たわけじゃないし……」


「じゃあ、見たくなかったってこと?」


「…………そうは言ってないでしょ」


 僕はシトラから視線を逸らす。すると、シトラはニヤニヤしながら僕の隣に立つ。


 メイド服を着ているシトラの胸元が異様に広く、豊満な胸の谷間が見える。間と言うか、ぴっちり閉じ切っているので一本線が入っているようだ。


 僕たちが歩いていると、エルツさんのいる奴隷商へと到着した。ここに来るのは何気に久しぶりなので、緊張する。


「エルツさん、いますか?」


 僕は扉を開けてお店の中に入った。


「ん……。おお、キースか。久しぶりだな。元気にしてたか?」


「はい。エルツさんの方も元気そうで何よりです。えっと、僕たちはルフス領を出て旅をしてきます。時には戻って来ようと考えていますけど、一応挨拶しておこうと思いまして立ち寄りました。エルツさんにアイクさんを紹介してもらえなかったら僕の人生は終わっていました。それくらい感謝しています」


「おいおい、流石に言い過ぎだと思うぞ。でもまぁ、初めて会った時に比べたら身長も伸びて強くなり、美少女を両手に抱えちまうとはな~。あの時は想像も出来なかったぜ」


「はは……、僕も想像していませんでしたよ。まさかここまでルフス領がフレイに依存している状態だなんて……。ま、今となってはどうでもいい話です。万が一フレイが暴走したときは皆さんで何とか対処してください。僕たちはルフス領を離れます」


「そ、そうか。元気でな。風邪を引くなよ」


 エルツさんは荷物を移動させながら僕の話を流した。


 エルツさんも僕たちがいなくなった方がいいと思っているらしい。まぁ、本以か不本意化はわからないけど、やはり胸が少し痛い。


「では、またどこかで会いましょう。お元気で」


 僕はエルツさんに頭を下げ、奴隷商をあとにする。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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