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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
赤色の勇者をもとに戻すために出来ること

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真っ赤な髪の好青年

「皆さん、大丈夫ですか?」


 『赤の森』の入り口で仕事をしているルフスギルドの職員が話しかけてくる。


「森の中に大量のホーンラビットが現れて、追われていたんです」


 トーチさんが冷静になり、職員に話す。


「ホーンラビットですか……。この時間帯だと珍しいですね。でも、キースさんや『赤光のルベウス』さん達が逃げ帰るほどのホーンラビットが現れたんですか?」


「そ、それが、もの凄い数で……。どこを見渡してもホーンラビットだらけだったんです。『赤の森』の出入り口辺りは人が多いからか、ホーンラビットの姿が無くて……」


「ざっと何羽いたとか、情報をください」


「えっと、えっと……。一万くらいですかね」


「い、一万……」


 ギルド員の方は数の多さに圧倒されている。だが、どう考えても一万羽より多かった。


「トーチ、混乱しすぎ」


 マイアさんがトーチさんの方に声を掛ける。


「で、ですよね。さすがに一万羽なんて……」


 ギルド員は紙に書いた一万と言う字を消しているのか、手を横に動かしていた。


「少なくとも一〇万羽はいたよ」


「一〇万羽……。う、嘘……」


「嘘じゃありません。なんなら、もっと多くいる可能性だってあります」


「そんなに大量のホーンラビットからよく逃げ帰って来れましたね……。さすがです」


「関心している場合じゃありませんよ。森の中であの数がいたんです。『赤の平原』にはもっと数多くのホーンラビットが潜んでいる可能性があります。早急に駆除しないと危ないです」


 僕はギルド員の方を急かし、ホーンラビットの対処をさせる。


「わ、わかりました。今すぐ、ルフスギルドに連絡を入れます」


 ギルド職員は魔力を使って伝法を送る。


「これで魔物の大量発生時の対策が取られるはずです。皆さんは一度、ルフスギルドの方に戻っていただいてギルドマスターの話を聞いてから行動してください」


「わかりました」


 僕と『赤光のルベウス』さん達はルフスギルドにいったん戻る。ホーンラビットの角の買い取りと、僕とミル、シトラの三人は冒険者の試験を受けていたので結果を貰うためだ。


 馬と荷台を借り、ルフスギルドに向う。一時間ほどで門に到着し、門番にギルドカード(仮)を見せて通過したあと、三〇分かけてギルドの前にまで移動した。


「やっと着いた……。さ、皆さん。事をすましたらホーンラビットの大量発生に備えてください。どれだけの数がいるのか想像できませんが、数には数で応戦しないと拉致が空きません。長い戦いになると思いますから、ポーションなどの準備は念入りにしておいてください」


「き、キース君。ホーンラビットの角を本当に貰っても良いの?」


 トーチさん達は僕の取った素材を四人で分担しながら持っていた。


「はい。僕は手癖で取ってしまっただけなのでトーチさん達が貰ってください」


「で、でも。これだけの数なら相当な大金になりますよ。それでもいいんですか?」


 マイアさんは僕と素材を何度も見まわして尋ねてくる。


「僕達には蓄えがあるので、問題ありません。お金は使わないと意味がありませんからね」


「キース君、太っ腹すぎるっすよ。お金を渡しているのに、そんな清々しい表情をされると、受け取らずにはいられないっす」


 フランさんが麻袋に入れられているパンパンの角を見ながら嬉しそうにしていた。


「これで私達も戦えるね。よ~し! 頑張って役にたつぞ!」


 ロミアさんは握り拳を作り、きりっとした凛々しい表情を浮かべる。やる気は誰よりも大きく、以前のゴブリンの大量発生時を覚えていないらしい。


「キースさん……」


 ミルは大量発生と聞いてから、もの凄く不安そうな表情をしていた。


 多くの犠牲者を出した『赤の森』のフレイの暴走。


 はっきりと見ていたロミアさんはリークさんの魔法によって記憶を書き換えられており、爆発事故と言うことになっている。


 フレイが今回も出てくるのなら細心の注意が必要だ。最悪、僕達で止めないといけないかもしれない。逃げるのが吉だが、死人を増やすわけにもいかないから、出来ればフレイには出てきてほしくない。


 そう思っていた矢先……。


「じゃあ、ハイネさん! 俺は『赤の森』に先に行ってきます!」


「ああ、気をつけてな」


「はい! 何たって俺は赤色の勇者ですからね。任せておいてくださいよ!」


 真っ赤な短髪にきりりとした眼、顔立ちはどこにいてもカッコイイともてはやされるほど整っており、瞳がキラキラと輝いていた。服装は真っ赤な鎧で恐怖すら覚えるが、勇者の衣装と考えると型にはまっている。


 ルフスギルドの入り口から出てきたのはギルドマスターのハイネさんと、フレイと思われる男だった。


 ――だ、誰だあの好青年。僕の知っているフレイと眼の輝きが全然違うぞ。あれが本来のフレイの姿なのか……。


「き、キースさん……。あれがフレイですか……」


 ミルは僕と同じように驚いており、眼を疑っている。


「ふ、フレイ……。え、えっと……、私はロミア・モートって言うの。一応幼馴染なんだけど……、覚えてる?」


 ロミアさんはフレイとばったりと出くわし、初対面のような挨拶をする。


「ロミア! 久しぶりだな! 何年ぶりだ。えっとえっと、俺が一二歳の時にロミアは騎士養成学校に行っちまったから、ざっと六年ぶりか! いや~、色々とデカく成りやがって~」


「え……。私、フレイと何回か会ってるんだけど……」


「あぁ、ごめん。なんか俺、記憶喪失っぽいんだよな。赤色の勇者になったのは覚えてるんだが……、記憶が抜けてるところがあるんだよ。最近の出来事は全く思い出せない。って、こんな話をしている場合じゃなかった。俺は『赤の森』で大量発生しているホーンラビットの討伐をしてくる。終わったら成人したことだし、酒でも一緒に飲もうぜ」


 フレイと思われる好青年は太陽のような眩しい笑顔をロミアさんに向けた。


「ふ、フレイ……。フレイだ……」


 ロミアさんはフレイの姿を見て大号泣し、ホーンラビットの素材を落として抱き着く。


「うわ、ちょ、ロミア。いきなりどうしたんだよ。大人っぽくなった俺に惚れちまったのか? いや~、カッコイイ男はつらいぜ~」


 フレイは顔を赤くしながらにやけ、自分で抱き着いてもいいのか躊躇していた。ロミアさんは容赦なくフレイに抱き着き、涙を赤い鎧に付着させている。


「ろ、ロミア……。その、えっと……、帰ってきたら募る話もあるだろうし、夕食にでも……いかねえか? 今回は俺が驕るからさ、昔のパンのお礼にでも……」


「うん、うん! 行こう、絶対に行こうね。約束だからね!」


「ありがとう、ロミア。よ~し! いっちょ頑張りますか!」


 フレイが魔法を発動しそうになった時、ロミアさんがフレイの首に手を回した。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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