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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
身なりを整える為に金貨を一〇〇〇枚貯める。

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ブラックワイバーンを倒したあとの処理

「はぁあああああああああああああっ!」


『グラアアアアアアアアアアアアアア!』


 ブラックワイバーンの骨が太いせいか、脊髄の間にダガーナイフを突き刺しても刃が短くて神経を切り裂けない。僕はナイフが折れてしまう可能性もあるが、最後の力で柄を捻る。すると縦に入っていたダガーナイフの刃が真横を向き、バギっといって脊椎同士を四センチメートルほど離れさせた。ブラックワイバーンは首をもたげていたので、軟骨部分潰されており隙間が無く、実質、骨同士を四センチメートルはがした結果となった。


 すると、翼がぐにゃっとへたり、力が入らなくなったのか真っ逆さまに落ちていく。どうやら、僕の攻撃で脊髄に損傷が入り、体を動かせなくなったらしい。


 アイクさんのから貰ったダガーナイフの耐久力のおかげだが、ここまで頑張ってくれたミルのおかげでもある。


 ブラックワイバーンはただ飛びあがっただけなので、真下は『赤の岩山』の頂上である。ミルは慌てて移動し、僕はブラックワイバーンの背中を足場にして、結構広い地面のある岩山に飛び込む。ゴロゴロと転がり、力を分散させて無事だ。


 僕が高い位置の地面に飛び移った後、ブラックワイバーンが低い位置の地面に衝突した音が聞こえる。咆哮の音はもう、聞こえない。


 ブラックワイバーンの全身に命令が行きわたらなくなり、肺も動かせないみたいだ。その為、体の機能が衰えていく。


「やった~! やった~! やったった~!」


 ミルはぴょんぴょんと飛び跳ね、子供のように喜んでいた。数回飛び跳ねたのち、グてッと倒れ込み、ふくよかなお尻を丸出しにして気絶する。


 体力をさすがに使い過ぎたらしい。


 僕はミルのお尻をちょっとだけ眺めてローブでしっかりと隠す。その後、ブラックワイバーンの生死を確認するため、黒卵さんの入った革袋を持ちながら頭に向う。


 ブラックワイバーンは、はぁ、はぁ、はぁ……とどんどん浅い呼吸になっていき、眼から光が消えていく。冒険者の憧れであるブラックワイバーンの最後を見るのがギルドカード(仮)の僕だなんて思っていなかった。


 僕は例え相手が魔物でも、死ぬ姿を見るのはとても心苦しい。最後、ブラックワイバーンの肌に手を当てて言葉を発する。


「君の死は無駄にしないよ。僕と戦ってくれてありがとう」


「グラアア……」


 ブラックワイバーンの最後の声が出ると瞳孔が開き、討伐が完了した。


「はぁ…………。終わった…………。黒卵さん、ありがとうございました。あなたのおかげでブラックワイバーンをどうにか倒せました」


『…………』


 黒卵さんからの反応はない。


 僕は後方から元気な声を出す冒険者さん達がやってきたのを察した。


 どうやらルフスギルドからの増援が来たらしい。だが、増援はすぐに頂上へは上がってこなかった。きっと僕達が逃がした冒険者さん達を見つけ、そっちの方が重要だと思ったのだろう。


 僕は少しだけ冷静になり、ゴブリンの黒い血でベタベタの頭を雪解け水で洗う。すぐに白色に戻ってくれるといいのだが……。水面に反射する自分の髪色を見る。


「よかった、白に戻った。これで大丈夫……ん? 大丈夫なのか?」


 僕はブラックワイバーンを狩った者が白髪の青年だという事実が発覚したら、もう王都中の大報道になってしまうと考えた。


 やばいと思った僕はブラックワイバーンとミル、黒卵さんを持つ。


 ブラックワイバーンに関しては持つと言いるより引きずって歩くと言ったほうが正しい。


 ブラックワイバーンの肌だ。少々地面に擦れたくらいで傷つくわけがない。


 僕は崖から飛び降り、地面を滑る。自分の身が世界に気付かれるのは避けなければ。糞親父が何て言ってくるかわからない。金を出せとか、戻ってこいだとか言ってくるかもしれない。絶対に嫌だね。ここで白髪がブラックワイバーンを倒したなんて噂が立ったら最悪だ。


 僕は森の中にブラックワイバーンと共に身をすぐさま移動した。


 巨大な森があって助かった。雪も積もっているため、ブラックワイバーンを隠せる。


 僕は岩山から出て森の中に入り、雪の積もった崖の近くにブラックワイバーンを隠す。まず、ロックアントの女王で気を引いてもらおうと思い、女王の死体を持ち、岩山の頂上へと舞い戻った。


 焦りまくっていた僕は自分でも信じられない力を発揮しており、ミルが僕に無自覚にくっ付いていてくれているおかげで両手が使え、運ぶことが可能だった。


 冒険者さん達が倒したロックアントの死骸も頂上には転がっているので、女王が倒されているという状況で眼を引かない訳がない。その間に僕の髪を赤色に染めてルフス領まで持ちかえる。無謀な計画かもしれないが、シトラのためだ、何が何でもやり遂げなければ……。


 僕がロックアントの女王を頂上において去ろうとしていた直後、マゼンタ髪の冒険者達が眼を丸くして女王を見回していた。効果がしっかりとあるとわかり、ブラックワイバーンのいる場所まで舞い戻る。


「うぅ~ん。白い髪を何とかして赤色か黄色に変えたいな……。自分の血を流して赤髪にするか。いやいや、さすがにそれはないな。どうにかしてルフス領にブラックワイバーンを持ち帰り、ギルドマスターに報告したあと、靴をつくりに行かないと」


「う、うぅ……。あれ……。ぼくはいったい……」


 ミルは僕の腕の中で眼を覚ました。焚火が出来ないので、温かい黒卵さんを抱えながらミルも温めてもらっていた。


「ミル、疲れてるでしょ、寝ててもいいよ」


「えっと……。ぼく、ブラックワイバーンを倒す夢を見たんですけど……。正夢になりますかね?」


 ミルは寝ぼけていた。疲れすぎて頭が働いていない。


「ミル、残念だから夢じゃないんだ。僕とミルでブラックワイバーンを倒したんだよ」


「え……。あ、ああ! あぁぁああ! そうでした! ぼくの腕が引き千切れそうな夢を見たと思ったら全部本当のことだったんですね。じゃあ、ぼくが握り締めているブラックワイバーンの逆鱗も本物なんですね!」


 ミルは大切そうに握り締めている逆鱗を僕の眼の前に出してきた。


「うん。僕とミルで一緒に引きはがした逆鱗だよ。夢なんかじゃない。でも、今は少しだけ夢だったらよかったと思ってる……。この後の状態を考えて行動すればよかった……」


「ん? どういう意味ですか?」


「えっとね……」


 僕はミルにブラックワイバーンを倒したら起きそうな弊害を話した。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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