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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
身なりを整える為に金貨を一〇〇〇枚貯める。

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僕とミルとの関係を誤解される

「ミル、昨日あった四人の匂いって覚えてる?」


「はい、ばっちり覚えています。なので、病院の中にいてもわかります。皆さんのいる病室にあんない出来ますよ」


 ミルは胸を張り、堂々と言った。どうやら自信があるらしい。


「じゃあ、お願いしようかな。四人のいる病室に連れて行って」


「わかりました。ついてきてください」


 ミルは自信満々に移動し始め、鼻をスンスンと鳴らし、病院の中を歩いていく。数分間移動し、二階の最も奥の病室の前で止まった。


「ここです! えっと、えっと、うぅ、名前が読めません……」


 ミルはプルウィウス語の知識がなく、部屋にいる人の名前が読めなかったらしい。


 僕はミルに変わって部屋にいる人の名前を見ると『赤光のルベウス』さん達の名前が書いてあった。


「ミル、正解だよ。さすがだね」


「ほんとですか。やった。キースさんのお役に少し立てました!」


 ミルは耳をピコピコと動かし、嬉しがっている。加えて尻尾もうねり、二へニヘ顔がとまらない。


 僕は手に持っている花束をミルの頭にポンッと置き、表情を押さえるように伝えると、彼女は両手で頬をべしっと叩き、何とか凛々しい顏に戻す。


 僕は黒卵さんを背負い、花束と果物の盛り合わせを持っている。ミルは菓子折りを持ち、病室に入るために扉を叩く。


「は、はい……」


 トーチさんの声が聞こえ、僕は病室に入った。

 病室に入ると四台のベッドが一部屋に並んでおり、『赤光のルベウス』さん達全員が包帯でぐるぐる巻きにされていた。特に酷い怪我を追っていたロミアさんの包帯は分厚く、身動きもとれなさそうだ。


「皆さん、命に別状がなくて安心しました。これ、つまらないものですけど、貰ってください」


 僕は食べやすい果実の入った盛り合わせを選んでいた。イチゴやサクランボなど皮をむかずとも食べられる果実が多く、体の栄養になるはずだ。


 オレンジ色のガーベラにも意味があり、我慢強さという花言葉がある。菓子折りには特に意味はないが甘いお菓子があった方が女性は喜ぶと思ったのだ。


「き、キース君。うぅぅ、ありがとう。凄く嬉しいよ」


 トーチさんは果実の盛り合わせを受け取り、泣いていた。


「まさか、私たちにお見舞いしに来てくれる人がいるなんて、思ってもいませんでした」


 マイアさんは花束を受け取り涙ぐんでいる。


「お菓子っす、美味しそうなお菓子っす……」


 フランさんはお菓子を見て泣いていた。


「ロミアさんは寝ているんですか?」


「ロミアは重症でしばらく目を覚まさないって。ロミアの口の中に誰かがポーションの含まれた布を入れてなかったら窒息死か火傷によるショック死にいたった可能性が高いって医者が言ってた。誰かわからないけど、ロミアを助けてくれたお礼が言いたい。私達はロミアに助けてもらったから、代わりにロミアを助けてくれた人を見つけようと思って」


 トーチさんは眠っていたので気づいていなかったらしいが、ロミアさんを助けたのは僕だ。でも、それを僕が言うのは出来過ぎているので言わない。ロミアさんがすでに知っているのでいずれ気づかれるだろうが、今は他の三人の体調回復が最優先だ。


「皆さん自分の体の回復を優先してください。ロミアさんを助けた人探しは僕が引き受けます。なので、気にせず寝ててください」


「そんな、悪いよ。キース君だって暇じゃないのに」


 トーチさんは腑に落ちない表情で呟く。


「いえ、気にしないでください。僕が自己満足のために行うだけですから」


 ――まぁ、ロミアさんを助けたのは僕だから、もう、見つかっているんだけどね。


「その、聞いていいのかわからないんですけど、キース君の隣にいるかわいい子は誰ですか?」


 マイアさんはミルの方に視線を送り、質問してきた。


「あ、えっと。紹介が遅れましたね。この子はミル・キーウェイと言って僕の従者です」


「は、初めまして。キースさんのペット兼従者のミル・キーウェイと言います。よろしくお願いします」


 ミルは頭をペコリと下げ、三人に自己紹介をこなした。ぺットという言葉を禁止にするかと心に決め、僕はミルの頭に手刀を『デシッツ!』と言う音が鳴りそうな勢いで落とす。


「いたっ! ちょ、キースさん、なにをするんですか」


 ミルは頭を手で押さえ、涙目になっている。


「ミルはペットじゃないって言っているでしょ。他の三人が声も出ないくらい引いちゃっているよ。ちゃんと言い直して」


「もうぅ、キースさんは恥ずかしがりやなんですから。えっとぼくはキースさんの愛玩猫族兼従者です。いでっつ!」


 僕はミルの頭部に手刀をもう一度落とした。


「勘違いされそうな言い方はしないでよ。僕はそんなふうに思った覚えはない。従者だけで充分だから」


「むぅ~、昨日はあの手この手でキースさんの暗い気分を晴らしてあげたんですよ。ぼく達は裸で抱き合った仲じゃないですか。もう、主と従者の間柄を超えていますよ。ムググ……」


 僕はミルの口を塞ぎ、静かにさせる。周りの皆さんは少々引き気味になっていた。


「えっと、えっと。今の発言は半分正解であって半分不正解でして。抱き合ったのは本当なんですけど、皆さんが想像しているようなことは一切していません。ミルは未成年ですから、一切手を出していません」


 皆さんは理解してくれているのかどうかわからない。でも、僕の性格を知っているのか信じてくれたようだ。


「もう、ミル。人に勘違いされるような言い方は金輪際止めてよね」


「べつにぼくは嘘をついている訳じゃありませんよ。本当のことしか言っていません」


 ミルは頬をむ~っと膨らませて怒っている。


「ま、まぁ、そうなんだけどさ。少しは自重しようねって話……」


「はーい。わかりました~。こんなぼくをしっかりと怒ってくれるキースさんも大好きです~」


 ミルは皆の見ている前で僕に抱き着いてくる。可愛いが場所を弁えてもらわないと周りからの視線が痛い。


「キース君はミルちゃんとイチャイチャしているところを見せに来たのかな?」


 トーチさんは目を細め、少し怒り口調で声をかけてきた。


「キース君は獣族が好きだったんですね。なるほど。だから、誰にも興味を示さなかったわけですか……」


 マイアさんは笑顔で話しているが、眼元が笑っていない。


「にしてもミルちゃんとキース君はお似合いっすね。波長が似てるっす。ひかれあうのもわかるっすよ」


 フランさんは笑顔で称えてくれたが僕たちの関係を誤解しているようだ。


 僕はトーチさんとマイアさんからの評価が、下がってしまい、友人関係が壊れてしまうと思って僕とミルの関係を三〇分ほど説明し、やっと理解してもらえた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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