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三原色の魔力を持っていない無能な僕に、最後に投げつけられたのがドラゴンの卵だった件。〈家無し、仕事無し、貯金無し。それでも家族を助け出す〉  作者: コヨコヨ
身なりを整える為に金貨を一〇〇〇枚貯める。

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嫉妬の対象

「は、初めまして。ミル・キーウェイと言います。言っておきますけど、ぼくはキースさんの彼女ではなくペットです! あと僕はキースさんほど優秀じゃありません」


「ほう、キース君。可愛い女の子をペットにする趣味があるとは、なかなか隅に置けない男だね。私もキース君のペットに入れてもらおうかな~」


「だ、駄目です! キースさんのペットはぼくだけで十分なので!」


「ほう、相当慕われてるね。さてはもうやったのかな?」


「な、何をですか。勝手に想像するのはやめてください。あと、ミル、変な誤解を与えるような言い方はよくないよ」


 僕はハイネさんとミルを叱った。ハイネさんは面白がっていただけだが、ミルはただただ、張り合っていただけだ。僕は恥ずかしくて仕方がなかったが、二人がそう言う人種なので仕方がないと思い、話の本題に入ってもらう。


「今『赤の森』でゴブリンの大量発生が起ったんだ。ただの大量発生だから、ルフス領の民に被害が及ぶ可能性は低いんだが、いかんせん人手が足りなくてね。キース君の力も貸してくれないかなと思ってさ」


「えっと、ごめんなさい。僕はゴブリンと戦えるほど強くありません。ミルを危険な目に合わせるわけにはいかないんです」


「そうか。まぁギルドカード(仮)のキース君にお願いするのもおかしな話だったな。すまない、忘れてくれ。大量発生は私達の方で何とかするから、他の依頼を懸命にこなしてくれると助かる」


「そうさせてもらいます」


 僕はハイネさんの申し出を断った。身の丈に合わない仕事をしたら死ぬ。アイクさんの言葉だ。自分の力に過信せず、着実に出来る仕事をすれば死にはしない。


 僕は冒険者で成長したいわけではなく、お金を稼ぎたいだけだ。

 今はミルもいる。もっと死ぬわけにはいかない。


 僕はギルドでいつも通りのスライム討伐とロックアントの討伐依頼を受けてルフス領の門まで走った。


 午前七時二〇分ルフス領門前。


 馬車や馬が大通を駆け抜けており、冒険者達が『赤の森』へと向かっているのだがわかる。門は非常事態のため、開きっぱなしだ。きっと少しでも滞りをなくすためだろう。


「キースさん、ぼくたちはいかなくていいんですか?」


 ミルは僕の方を見て聞いてきた。


「行きたいのはやまやまだけど、僕たちにはゴブリンの大群に太刀打ちできるだけの力を持っていない。ブラックワイバーンの方もそうだけど、死んだら意味がない。僕たちの目的はゴブリンじゃなくてブラックワイバーンの方だ。『赤の森』の方は赤色の勇者が何とかしてくれるよ。あんまり信用しない方がいいけどね」


「キースさんは赤色の勇者の話になると絶対に嫌な顔をしますよね。何でですか?」


 僕は赤色の勇者に殺されかけたことをミルに話していない。


 ミルはフレイが未だにいい人だと思い込んでいる。どうやら、ミルが頑張って来れた理由の一つに赤色の勇者の生い立ちが自分と同じように辛いものだったから、同じように努力すれば幸せになれると思っていたそうだ。


「えっと、まぁ、嫉妬心かな。僕は三原色の魔力がなくて赤色の勇者はプルウィウス国で七本の指に入るくらい強い魔力を持っている。その差が悔しいのかもしれない」


「なるほど。キースさんでも人に嫉妬するんですね。ぼくは嫉妬深いのでいつもいつも気分を鎮めちゃうんですよ。ほんと弱弱しい気持ちですよね」


「いや、嫉妬するということは自分もああなりたいという気持ちの表れでもあるから、指標になると思う。ほら、どんなにすごい人でも、憧れない人っているでしょ。凄いお金持ちとか、強すぎる冒険者とか」


「確かに、自分の興味ない人には嫉妬しませんね。ぼく、最近一番嫉妬したのはさっき会ったハイネさんです。あんなに胸が大きくてお尻も大きくて全てが色っぽい人は初めて見ました。ミリアさんも凄いですけど、ハイネさんの後だと、見劣りしちゃいますね」


「ミルは大きなおっぱいを持っている人に嫉妬しやすいんだね。何でなの?」


「な、なんでって言われても。キースさんは胸の大きな人の方が好きそうですし」


 ミルは自分の胸を見下ろして泣きそうになっている。


「そりゃあ、胸が大きい人の方が魅力的に見えるかもしれないけど、僕はどっちでもいいんだ。好きになった子のおっぱいが大きかろうと小さかろうと、僕には好きな子しか見えてないからね」


「じゃあ、ぼくくらいの胸でもいいってことですか?」


 ミルは手ですっぽりと収まってしまう胸に手を当てて聞いてくる。


「うん。全然問題ない。むしろ、ミルの場合は下半身が素晴らしいから胸なんて気にする必要はないよ」


 僕はミルのむっちりとした太ももや、プリプリのお尻周りをみる。はやり、いつ見ても素晴らしい。とても綺麗な曲線美。ほれぼれする。口に出すと気持ちが悪いので、僕は心の中でグッととどめておく。


「き、キースさんのエッチ……」


 ミルは僕の視線に気づいたのか、内股になり、手で隠そうとする。頬を膨らませ、ちょっと怒っていた。だが、どこか嬉しそうに尻尾を振るものだから、心の内が知れない。


「まぁ、否定できないかな。言っておきたいのは、ミルは魅力的だから、いちいち落ち込まなくてもいいよって伝えたかったんだ。逆にミルは僕以外の人に好意を持たれたいわけ?」


「キースさん以外の人ですか? これっぽっちも興味ありません。何なら、他の人に好意なんて持たれたくありません。容易にぶっ殺せます」


 ミルの眼からハイライトが消えて、もの凄く暗く見える。

 

「なら、僕は今のミルが凄い素敵だと思っているから、自分の容姿でもう悩まなくていいよ。ミルの笑顔や体つき、声、どれもこれも、魅力で溢れてる。僕に好きな相手がいなかったら即好きになっているよ」


「ううぅ。キースさん、褒めすぎですよ。あぁ、一番嫉妬する相手もう、更新しました。ぼく、キースさんに好意を持たれている相手に一番嫉妬してます。うぅ~、キースさんが好意を抱いている相手ってどんな方なんですか?」


 ミルは頬をぷく~っと膨らませ、怒っていた。


「どんな。ん~~。何て言うんだろう。難しくて言葉に出来ない。って、こんな話をしている場合じゃないよ。早く『赤の岩山』に移動しよう」


「もう、はぐらかさないで教えてくださいよぉ」


「じゃあ、僕の走って着いてこれたら教えてあげるよ。頑張ってついてこられるかな?」


「うぉ~! やってやりますよ。キースさんに着いて行って情報を絶対に手に入れます」


 ミルはシトラに嫉妬心を燃やし、僕の走りについてきた。ミルの嫉妬心は強く、僕の走りに粘り強くくらいついてきてルフス領の門から『赤の岩山』の間を一度も止まらず走り切った。


 僕は感心し、ミルはすでに体力を使い果たしている。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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