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ハチミツとナマケモノ

 

登場人物:エイスケ、ビーちゃん




ビーちゃん(以下、ビー) 「パンケーキにはやっぱりハチミツだよね」

エイスケ(以下、エイ) 「どれくらいかける?」

ビー 「だいたいスプーン二杯分かな」

エイ 「スプーン二杯……。一生分だな」

ビー 「一生分? 何が?」

エイ 「蜂が一生かけて集める蜜の量ってさ、平均してちっちゃいスプーン二杯分らしいぞ」

ビー 「えっ、そうなのか」

エイ 「お前、一生蜂に足向けて寝れないな」

ビー 「食べにくいよ! んな事言われると! かわいそうになってくるよ、蜂」

エイ 「いや、実はそんなにかわいそうでもない」

ビー 「どういうこと?」

エイ 「お前さ、働き蜂って何割が働いてるか知ってる?」

ビー 「そりゃ、働き蜂って言うくらいだから全部?」

エイ 「それがさ、がむしゃらに働いてんのは全体の三割で、後の七割は休み休み働いてんの」

ビー 「へー、働き蜂って、脇目も振らず蜜集めるってイメージなんだけどな」

エイ 「働き蜂ってより『適度にサボり蜂』だな」

ビー 「やめなさいって」

エイ 「他にも面白い習性あってさ、ほら、花って毎年沢山咲くわけじゃないじゃん。少ない年あんじゃん。蜜取れないじゃん。そしたら他の物で代用すんだよ。これ、フランスで起きた話なんだけどさ、アルザスって地方で真っ青なハチミツが採れたんだ。もう、これ絵の具か? インクか? ってくらいの色」

ビー 「……うわぁ、気味悪いな、それ」

エイ 「その年は気候の関係で、蜜がとれる花が少なかったんだな。だから他の甘い物で代用した」

ビー 「なんかヤバいもんだったのか?」

エイ 「カラフルな砂糖衣でコーティングされたチョコレートあんじゃん。マーブルチョコみたいな。そのコーティング用の砂糖液」

ビー 「あ、そんなヤバいもんじゃないんだ。色がヘンなだけなら面白商品として充分売れそうだけど」

エイ 「大元辿ってったら、養蜂場のすぐ近くにある廃棄物処理場のタンクだったってね」

ビー 「めっちゃヤバいな! それ持って帰った蜂も大丈夫か?」

エイ 「タンクの中身が赤だったらなあ、ハロウィンの仮装で使う血糊みたいな感じで売れて、ボロ儲けだったかもしれねえのに、惜しいことしたよな、蜂」

ビー 「アハハハ、蜂がお金貰えるわけじゃないから。でもフランスのハロウィンって、想像しにくいな」

エイ 「お菓子くれなきゃギロチンするぞ。とか言うんだろうな、きっと」

ビー 「そんなわけないだろ! 怖すぎるよ、それ!」

エイ 「血糊ハチミツであなたもゾンビに。廃棄物エキス入り。使い続ければ、いつか必ず本当に……」

ビー 「怖いから! 怖いから!」

エイ 「結局、わざわざ遠くに行かなくても、すぐ近くで蜜より遥かに甘い物が簡単に手に入るようになったから入り浸っちゃったんだな」

ビー 「まあ、蜂が簡単に中身とれるような処理場のタンクも問題あると思うけどね」

エイ 「だからさ、蜂に限らず動物って根本的に怠け者だと思うんだよ」

ビー 「ライオンの雄なんか何もしないからね、基本的に」

エイ 「それで百獣の王と言えるのか!」

ビー 「いやそこまで言わなくても」

エイ 「巣を守る為には張り切りやがって。怠けるなら、とことん怠けてみろ!」

ビー 「そっち? てか、巣を守るのはしなきゃダメだろ!」

エイ 「もっと突き抜けて怠けてみろよ。ナマケモノなんかなー、ずっと木の上いんじゃん。あいつら子供が落ちてもじっとしてんだぞ。その図太さを見習えよ。怠け者精神はあいつらのが上だぞ」

ビー 「まあ、ナマケモノだからね」

エイ 「動物全体が持ってる怠け者精神がずば抜けてんのがナマケモノ。だからさ、俺は百獣の王っつったらナマケモノを推すね」

ビー 「貫禄ない王だな、それ!」




――今回の結論―― 『真の王者は、ナマケモノ』




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