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序章
「あのね」
焼けるような空。
それを見下ろしながら、その声に耳を傾ける。
「私ね。一緒に過ごせて、幸せだったよ?」
とてもさみしそうな声。
その声を聞くと、涙があふれてくる。
「もし……同じ気持ちで居てくれたなら、嬉しいな」
燃える空はさらに赤に染めて。
輝き始める。
「こんな時に言うのもおかしいけど……」
少し照れくさそうな、震えたような声で続ける。
いつも聞いていたその声で。
「私、好きだったんだ……こんな事言っても、もう遅いかな?」
クスリと笑うように。
照れるように。
恥じらうように。
「ありがとう……今までありがとうね」
周囲はどんどん光りに消えてゆく。
まぶしく、視力を奪っていく。
そして。
「最後に告白出来た私は、幸せ者だね!」
その言葉が最後に、すべてが光りで包まれる。
すべてが……すべてが光で消えた。
――――――
そんな過去の記憶が重なり、混ざり。
解れ、離れて。
部屋中に響く音とともに、静かにつぶやく。
失意の感情とともに。
「また、救うことが出来なかった……」