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第七話



「あぁ、あぁ、あぁ、あぁ、あぁ、あぁ、あぁ、あぁ……あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼‼」


 小鳥のさえずりも聞こえなくなったお昼、俺は狭い家の中で叫んでいた。

 怒号に次ぐ、怒号。

 羞恥に次ぐ、羞恥。


「死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい‼‼‼‼」


 そして、願望による死欲。


 嘘ではあるが、消えてなくなりたいのは本音だった。


 あまりの可愛さに、俺も衝動的に動いてしまった。


 悔しいし、まじで恥ずかしい。羞恥心? なんで働かなかったんだ? あのくそったれな心‼‼ 今こそ動くべき時だろ? なんだなんだ‼‼


 ————と後悔がいかにも悪そうな頭の中を駆け巡る。


 巨乳ロリに興奮してしまった。巨乳は良い、百歩譲って。ただ、これが本当の少女だった俺は警察に捕まってそのまま箱に連れてかれるぞ‼‼


 というもしもが俺を襲う。


「だ、抱き着いちまった……くそぉっ」


「————ど、どうしたの……?」


 地べたに転がりながら頭を押さえていると、トイレを済ませた真音さんが廊下の方からやってきた。中腰になってこちらを覗き込む彼女。頼むから今の見っともない顔を見るのはやめてくれ……。


「——ぁ、いやぁ……その、体操を……というか、なんといか……」


「たいそう?」


「たいそうです……」


「た、い、そ、う??」


「た、たいそうっていうのは……あれですよ、体動かす感じのーー」


 苦し紛れの言い訳。


「たいそうは知ってるよ‼‼」


 いやはや、このマンションも壁が厚いわけでもないため真音さんだって聞こえていたはずだ。それなのにどうしたの——っておちょくってるのか? まあ、そんな柄じゃないけど。


「……っ、ですよね~~」


「もぅ……っ」


 ぷくりと——アヒル口を膨らませる彼女。

 グーと拳を作り、下にぎゅーんと伸ばして、もうもうもう! と地団駄じだんだを踏んでいる。おかげで、たぷんたぷんと揺れゆくお胸から目が離れなかった。


 というか、もう吸い込まれている。

 ええ、目が飛び出て、骸骨になっている。


 こんな死に方が出来れば最高なんだけどな、考えないか? みんなも谷間の中で死にたいって思っt——————黙れ作者‼‼


「それで、ご飯は食べないの?」


「ん、あ、あぁ……」


「みそ汁……また作ったけど」


「なら食べます」


「は、早いねぇ……へへ、嬉しいけど」


「真音さんの味噌汁は美味しいですから……」


 頬を赤くして、頭を掻く仕草に俺の性癖がまんま刺さるが、ゴクリと生唾を飲んで抑え込んだ。


「ん」


 テーブルに座り、みそ汁を飲む。

 ゴクリと喉を伝ったあっさりとした優しい味がこれまた、朝ごはんにはしっくりくるのだ。まあ今はもう十一時だけど。


「どう?」


「おいしいです……」


「ならよかった」


 はにかんだ笑顔。

 そして、真音さんのどこがいいって……この、不意に来るお姉さん感だ。寝てる時さえ含まなければ、お姉さん感……バブミを感じずにはいられない。いつか、耳かきとか、膝枕とか、耳舐めとか……。


 おっと、本音が漏れてしまった。聞かなかったことにしてくれ。


「そうだ、りょーちゃん」


「ん?」


 みそ汁と啜っていると、真音さんが俺の名を呼んだ。


「耳かき、してほしくない?」


「……み、耳かき?」


 瞬間、心通じて。


 いや。


 第玖話、瞬間心重ねて。

 放送開始。



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