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第六話


「亮介く~~んっ、亮介くぅ~~んっ」


 バフッ、バフッ、バフッ。


 ふと目が覚めるとそんな音が俺の聴覚を征服していた。


 この音が何の音か分かるだろうか?

 そう、答えはおっぱいの音だ。


 今日は六時に目が覚めて、適当に牛乳でも飲み、来客用の布団で寝ている真音さんのはだけているパジャマからなるべく目を逸らしながら二度寝したはずだ。


 ついでに言っておくが今日は三日目ではない。作者はどうやら馬鹿らしい。夏休みが始まってすでに六日ほど経っている。間違えるとは全く、二次元のロリ王では救いようもないか。


 現在、俺のお腹あたりで寝ている真音さんが作るご飯も美味しくて、コンビニ食ばっかりだった俺も胃袋を掴まれてしまった。


 それに、おかげでこの同棲生活も良いものではないか感じてすらいる。変な薬でも盛られているかもしれないのにな、まったく。


 そして、何だこの状況。

 胸がお腹あたりをぐりぐり。

 夢か何かか?


「っ」


 頬をつねると痛覚があるようで、現実らしい。


 いや、違うか。

 これは寝相の悪さ。


 所謂いわゆる夢遊病むゆうびょうである。


 ん? 寝巻から下着を着けてない天然おっぱいを童貞の高校生に擦りつける巨乳ロリな大学生がどこにいるって? そう言われてもここにいる、それが事実だった。今は何とか寝たふりで耐えてはいるが、この戦法もどこまで持つかは分からない。


「亮介くぅ~~ん、りょうくぅ~~ん」


 甘々と縋る椎奈真音。童顔と巨乳と茶髪、そして小柄なのが相まってとてつもなく可愛く見える。


「ん~~~~、っぱぁ……」


 ついには顔をお腹に埋める始末。

 天変地異がひっくり返ってしまいそうだ。


 寝巻の上から伝わるほのか暖かさとマシュマロの様な柔らかさに心臓の鼓動がドクドクと鳴り響いて、動機が止まらない。さらに、小さな突起物の様なものが自分のお腹を擦れる度、意識は遥か彼方へと飛んでいきそうになる。


「んくっ……あぁ、りょぅちゃ、んっ」


 喘ぐ声。


 自慰でもしているのか? と疑ってしまいそうな思考を何とか停止させるがそれでも真音さんの蕩けた表情は変わらなかった。


 あぁ、やばい。

 俺の息子もこの刺激に耐えられるかどうか……そんな懸念すらも押し寄せてくる。


「りょうちゃぁ~~ん、すきぃ……」


 九日間、俺は何をしたのだ?


 真音さんの料理を食べて、鍵を一緒に探して、高校生なのに一緒に大学の授業を受けたり、一緒に寝たり、遊んだりと————特に、特別な何かをした記憶なんてない。


 それ故、ここまで好かれると思春期の嬉しい心と共に恐怖心も多少は生まれる。


「ぁ……んっ」


 やばい、罪悪感やら気持ち良さやらで記憶が飛んでいきそうだ。


 プルンプルンと跳ねるおっぱいにドキドキが止まらないの。結局のところ、冷静を保てるのも時間の問題だった。


 ごろりと寝返りを打って、こちらを向く椎奈真音。そのキュートなアヒル口がぷくりとピンク色を見せて、俺の心を魅了する。


 そのままいっそ、チューでもしてやろうと身体が動きそうになったが、何とか理性で抑えつける。


「しゅきぃ……」


 ああ、もう駄目だ。


 ——俺は、同棲生活九日目にして完膚なきまで心が折れたのだ。


「んぎゅ」



 ついつい、抱き着いてしまった。




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