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第四話


 それは、夏休みのある日。


 閑散とした廊下に陽炎が現れて、頬をぬるりと落ちた汗を感じた時だった。


 ——俺こと、高橋亮介たかはしりょうすけは野生の巨乳ロリに出会ったのだ。


 黒に近い茶色に染め上げた綺麗な髪に、頬を赤くして、自らの部屋の下で蹲る彼女。ゴクリと生唾を飲んで問うと小粒の涙を流しながらこう言った。


「鍵……なくしちゃったぁ……」


 子供の様な見た目に、子供の様な仕草、しかしそれに見合わない大きな胸とたまに見せる天然なお姉さん。そんな彼女——いや、椎奈真音しいなまおんに惚れるのは時間の問題かもしれない。



―――――――――――――――――――――――——————————————



「結局、見つかりませんでしたね……」


「うぅ……どこで、なくしちゃったんだろ……」


「あれじゃないですか? 真音さん、大学行って帰ってきてあそこにいたんですよね?」


「え、うん……」


「大学で落としたんですよ、きっと」


「や、やっぱりそうなのかなぁ……でもさ、落とし物コーナー行っても何もないんだよ、パソコンとか、スマホとかのばっかりでさぁ」


「いや、それは少し……鍵より深刻ですね」


 はぁ、と溜息を漏らす真音さん。

 しかしなぁ、と俺は呟いた。


 いい加減、俺のベットの上で寝ながら、俺の愛用している枕を抱きかかえて、短パンにキャミソールという恰好。まさにパフェの中にまるまるメロン突っ込んでスイカも突っ込んで最後までチョコたっぷりの棒入れて————みたいな馬鹿が食うようなデザートみたいになってやがる。


 さすがの俺も目の逃げ場がない。


 と言うかむしろ——


「むぅ……っていうか……なんで後ろ向いてるの?」


「いや、それは自問自答してほしい」


「じもん、じとう?」


「えぇ、まあ分からないのならいいですよっ」


「は、はぁ……」


「————それで、鍵は結局いいんですか? 見つけなくて?」


「ん……だって、ないんだもんっ」


「いいんかよ……まあ、それなら二週間待つ感じですか?」


「に、二週間……やっぱり探したほうがいいかな……」


 ちらちらと目配せをしてくるが俺にその決断を委ねられても困る。まあ、真音さんがここ居られるのは俺の権限であることは事実だが……正直、そんな重い役目を負いたくはない。


「別に、俺は気にしないんで勝手にしてくださいっ」


「そ、そんな他人行儀なっ!」


「だって、俺じゃないですし~~」


「うわ、ひどい‼‼ 拾ったんだからいいでしょぉ‼‼


「拾ったとか自分で言うなよ……てか、俺高校生だから……犯罪とかなんじゃないんすか?」


「——うえっ⁉ そうなの⁉」


 まあきっと、それは誘拐側、家の持ち主の場合なんだろうけど……面白いからこのまま怖がらせておこうか。


「そうですよ、もしかしたらそこで機動隊が待ち構えていたり……」


「っ⁉」


 しかし、冗談が過ぎたのか、真音さんはベットから抜け出して俺の膝辺りに顔を擦りつけるように抱き着いてきた。ぎゅるりと押し付けられる胸に俺の心臓は一瞬で鼓動を早めたがなんとかポーカーフェイスを続ける。


 だが、さすがに、高校生にはそのマシュマロの様な柔らかに勝てるわけがなかった。


「——う、嘘ですよ、嘘です! こんなんで機動隊なんて動くわけないですよ‼‼」


「そ、そうなの……?」


「本当ですっ……考えたら分かりますよ!」


「……だ、だってぇ……そういうこと言っちゃうからぁ」


 なんとかして、真音さんを引き剥がすと彼女も自分が何をしていたかに気づき、俯いた。その悲しそうな顔は中々に可愛かったが、同時に俺も恥ずかしかった。揺れる胸、ぷりんの胸、マシュマロの胸……だめだ、頭の中がおっぱいでいっぱいだ。


 おっぱいだけにな。


 やっぱごめん、なんでもないわ。


「はぁ……」

「もぅ……」


 結局、その後もお互いに恥ずかしくて、ご飯を食べるまでは何も話すことが出来なかった。


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