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プロローグ

 カクヨムで好評だったのでこちらでも投稿していきます!

 かなりのストックはあるので毎日投稿できるかと思うので是非!

「どうしたんですか……?」


 高校二年生の夏休み。


 セミの鳴き声が晴れ模様の空に響き渡り、湿った暑さでどうにかなりそうだったある日の午後。


 高橋亮介たかはしりょうすけは野生の巨乳ロリに出会った。


―――――――――――――――――――――――――——————————


「はぁ……あっつ」


 今朝のお天気お姉さん、気温は何度って言ってたっけ? 確か、猛暑日とかなんとかって……最近は地球温暖化とか騒がれているがもしかしたらこれがその影響だったりするのだろうか。


 まあ、そんなこと……どうでもいいか。とにかく暑い、この暑すぎる……気温と気持ち悪い湿った空気をなんとかして欲しいものだ。


「いやぁ、何か今日は暑いですねぇ」

「もうほんと、うちの子なんて裸で家中走り回ってるわよ」


 マンションから出てきたマダムに俺は軽く会釈を済ませて、開きっぱなしのボロイ自動ドアをくぐって中に入る。まったく、これじゃあ防犯どころの騒ぎではない。大家さんの性格の悪さが垣間見えるな。


 それに、生憎。


 今日はエレベーターは整備中だ。汗水たらして密閉空間で働く整備員には感謝するが、こんな暑い日に階段で登るのは中々辛い。しかし、登る以外道もなく愚痴を垂れながらも俺は登った。


「なげえぇ……」


 息も上がって、ヘロヘロになった膝に手をついて休み、息を整え歩き出す。


 しかし、一歩踏み出した瞬間。


 もう片方の足は前に出ようとしなかった。


 火事? それとも、強盗? 

 ——そんな嫌な予感が頭をぎったがそうではない。


 まさに俺の家、五〇二号室の前、五〇三号室の下で誰かが蹲っているのだ。けが人か? いや、そんなわけがない。けが人が痛んだ身体を引きずって来られるような場所ではない。


 そんな考えが頭を駆け巡ると——その誰かが声を発する。


「だ……だ、れ?」


 ふんわりと気の抜けた高い声。声からして女性だろうか、目を細めてみるとそこに居るのが女性だと言うことが分かった。


 それに、一昨日あたりに前の部屋で引っ越し作業をしていたような気がするがその人だろうか。こんな暑い日に外で一体何がしたいのか、俺にはいささか疑問だ。


「どぅ、しよぉ」


 呟く彼女。

 最近は部活ばかりで、女子とも話していなかった気がする。幼馴染のあいつともかれこれ数日会っていない。


 いや、しかし。なんて可愛い女性だ。あいつも可愛かったがそれに負けず劣らずの童顔だ。


 ふんわりと肩まで伸びた茶髪、そして小動物の様に小さな身体。しかし、その身体には見合わないほどの豊満なおっぱいが思春期の瞳には目立って映る。


 胸だけ見たらお姉さんなのだが、高校二年生には泣きべそを掻く幼女ロリのようにしか見えなかった。


 ————つまり、興奮はしない。


 証明完了。

 QED


 俺が頭の中で壮大な証明問題をクリアするとすぐに、彼女が弱々しい声で呟いた。


「か、かぎがぁ……」


「え?」


「鍵……鍵、無くしちゃった……」


「鍵?」


「か、か、鍵……鍵無くしちゃったんです‼‼」


 疑問を浮かべる亮介にヒソヒソと呟く彼女。


 それまで膝の間に埋めていた顔を起こすと、やつれた顔をした高校生に向けて叫び出した。


「は、はぁ……?」


「だから、無くしちゃったんです‼‼」


 情に訴えかける彼女を前に、素っ頓狂な表情を向ける。


 玄関の横には看板がしっかりと立てられていて、どうやら名前は椎奈真音しいなまおんと言うらしい。ふりふりの髪の毛には似合わない名前ではあったが初めて出会った女性に言うのは少し失礼だろう。


「どう、どうしよぉ……」


「——そうですか、じゃあ……」


 大人なら自分で何とかする。

 それが普通だと、考えて。

 一瞬でそう判断して、亮介は振り向いて鍵を開けた。


 だが、しかし。


「待って‼‼」


 ガシリと右腕が掴まれる。

 体の大きさの割に強い握力に驚いて、少し筋肉が強張った。


「え、なんですか……」


「そ、その……」


「や、やめてください……俺、この後勉強があるんで——」


「——い、家に……家に入れてください‼‼」


 解き放たれた一言から始まった二人だけの半同棲ラブコメディ。

 知らない隣人同士から始まる、甘々のんびりライフが幕を開ける。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 読ませていただきました。 プロローグだけですが……それだけでも滲み出る面白さ。 個人的に好きな文章とがマッチして中々面白かったです。 特に読みづらい所もなく、スラスラと読める所も良いです。…
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