入り口とハリセンと打ち上げ用の花火
地下通路は港町から少し離れた場所にある森の奥深くにあった。
「よし!地下通路に突入するわよ!!」
「「おー!!!!」
喉元過ぎれば何とやら。数十分前までシリアスモードだった彼女達は3歩歩いただけでいつものテンションに戻った。
「はしゃぐな」
地下通路入り口前で騒ぐバカ・腹ペコ変態の頭をハリセン──さっき作った──で叩く。
「ここ、魔王軍が潜伏しているって話だろ?見つかったら、どうするつもりだ?」
「そん時は実力行使よ」
「ふっ、腕が鳴るです」
「まあ、私の実家みたいなもんですし、ゆっくりしてください。ささ、狭苦しい所ですが」
「できるか」
全く緊張感のない彼女達の頭にハリセンを打ちかます。
気持ちの良い音が地下通路入り口前に響き渡った。
「てか、ご主人様、それ何すか。なんか私達の頭を叩く度に気持ち良い音鳴っているっすけど」
「お前らの暴走を止めるための道具──って、おいおいおい!腹ペコ、先走るな!」
地下通路に突入しようとする腹ペコ僧侶を力尽くで止める。
「何ズカズカと入っているんだよ。見つかったらどうするんだ?」
「すみません、美味しい匂いが漂って来たもんで」
「答えになっていない」
「まあまあ、コウ、少し落ち着きなさい。そこまで警戒しなくても簡単には見つからな──」
バカ令嬢が地下通路に足を踏み入れた途端、アラームが鳴り始めた。
「あ、そういや、魔王軍の人以外が入るとアラームが鳴る仕組みでした」
開始0分でハードモードに突入した。というか、開始1秒足らずで侵入がバレる部門でギネス記録狙えると思う。
「よし!コウ!後は任せたわ!!」
「結局、俺頼みじゃねぇか!?」
地下通路から聞こえる大人数の足音。俺はいつ彼等が来ても良いように刀に抜こう──とした瞬間、身体に激痛が走る。
「くっ……」
先程の騎士団長戦でかなり体力を消耗したようだ。
とてもじゃないが、闘う所か剣を引き抜く事さえもできそうにない。
「うん、ご主人様がダメって事はお終いっすね!このパーティ!!全滅間違いないっす!」
「うわああああああ!!!!魔王軍に殺されるうううううう!!!!」
俺が闘える状況じゃない事を知るや否や腹ペコ僧侶と変態は負けを認める。
バカ令嬢とはいうと、どこからか取り出した球状の何かに火を点けていた。
「おい、バカ令嬢。一体何に火を点けているんだ?」
「ん?これ?」
火を点けた球状の何かを通路に向けて放り投げる。
球状のそれが勢い良く階段を下るのを眺めながら、彼女は俺の質問に答えた。
「打ち上げ用の花火」
数秒後、地下通路の入り口は爆発によって崩壊する。
爆炎と爆煙の向こう側から断末魔が聞こえて来た。
「ついに殺人に手を染めやがった!!」
「大丈夫大丈夫。火薬の量も少ないから運が悪いと死ぬと思うわ」
「運が悪いと死ぬじゃん!」
「大丈夫っすよ。魔王軍は魔人──魔獣の力を有した人達で構成されてますから。ちょっとやそっとの爆撃じゃ死にません」
魔王の娘である変態の言葉を聞き、俺は安堵の溜息を吐き出す。
「…………多分」
「運が悪いと死ぬ事に変わりはない!!」
「でも、どうするんですか?普通に入り口なくなりましたよ?」
「大丈夫っすよ、入り口は沢山ありますから」
「それは破壊し甲斐があるわね」
「おい、そこ。趣旨変わっているぞ」
バカ令嬢のバカの所為で入り口が破壊されたので他の入り口の所に向かう。
他の入り口は徒歩5分くらいの所にあった。
「よし!地下通路に突入するわよ!!」
「「おー!!」」
「過ちを繰り返すな」
またまた俺は彼女達の頭をハリセンで叩く。
「まあまあ、コウ、少し落ち着きなさい。そこまで警戒しなくても簡単には見つからないわ」
「さっき見つかっただろうが」
再びアラームが鳴り始める。
今度の戦犯は腹ペコ僧侶だった。
「え!?ここにも罠が設置されているんですか!?」
「逆に何で設置されていないと思った?」
「もう仕方ないっすね。次行くっすよ、次」
変態はバカ令嬢から受け取った打ち上げ用の花火で入口を爆破した後、俺達を次の入り口に連れて行く。
「よし……」
「言わせねぇよ」
再々度、同じ過ちを繰り返そうとするバカ令嬢の頭を叩く。
「「おおー!!」」
「だから、はしゃぐな」
「んじゃ、流れ的に私がアラーム鳴らす番っすね」
「やらせねぇよ」
変態を止めようとした瞬間、爆音が鳴り響く。爆音が聞こえた場所を見る。そこには地下通路を爆破したバカ令嬢がいた。
「先に入り口を爆破しといたわ」
「趣旨変わってるじゃねぇか」
もう何がしたいか分からないバカ令嬢の頭をハリセンで叩き、次の入り口に向かう。
入り口に着くや否や、俺はバカ令嬢の頭をハリセンで叩いた。
「まだ何も言ってないんだけど!!」
次に腹ペコと変態の頭を叩く。
「まだ何もしていません!」
「この理不尽さ………!流石、私の主人になり得し者!」
尚も叫び続ける彼女達の頭をハリセンで叩く。
彼女達を物理的に黙らせた後、俺はバカ達がバカするよりも先に地下通路に侵入する。
足を踏み入れた途端、警報が鳴り響いた。
……そういや罠があるんだっけ。
完全に忘れていた。
振り返る。
バカ令嬢達は可哀想な奴を見るような目で俺を見ていた。
「コウ、これ……使う?」
バカ令嬢が手渡すは打ち上げる用の花火。
俺は彼女から火種を貰うと、それで入口をぶっ壊した。
……次回に続く。
ここまで読んでくれた方、ブクマしてくれた方、評価ポイントを送ってくださった方、そして、新しくブクマしてくれた方に感謝の言葉を申し上げます。
また、感想を書いてくださった勇人様に厚くお礼を申し上げます。
いつもいつも感想を贈って下さって本当にありがとうございます。
これからも皆様が楽しいと思えるようなお話を書いていこうと思いますので、お付き合いよろしくお願い致します。
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キャンペーンと言っても、月〜金の間、毎日更新するだけです。
明後日以降更新する予定のお話は初の試みを行ったため、少しばかり今までと毛色が違うと思いますが、基本的にギャグがメインなので安心してください。
まだ中盤に突入したばかりですが、これからも完結目指して更新していきますのでお付き合いよろしくお願い致します。
次の更新は明日の12時頃を予定しております。




