耐える幹部と追い討ちと人の尊厳
前回までのあらすじ。
バカ達の所為でオークキング、う○こ漏らしそう。
「な、舐めるなよ……!これでも俺は……!」
腹痛に堪える彼──オークキングの身体から紫の淡い光が漏れ始める。
彼の身体に纏わり付いていた腹ペコの赤い魔力が徐々に色褪せていく。
「魔王軍の幹部なんだぞ……!便意の一つや二つ、耐えてみせる……!」
「ふっ、その虚勢、いつまで保つかしら?」
脂汗を垂れ流す魔王幹部を見下す悪役令嬢。
昨今の悪役令嬢は実は良い奴がムーブというのに、このバカ令嬢は時代を逆光していた。
「ちっ……!オークキング、ルルちゃんの魔法を無効化しているっす!」
「なるほど、そこそこの耐性と魔力操作に長けている者だと、ルルの魔法を無効化できるのね」
変態奴隷とバカ令嬢は舌打ちしながら、オークキングの方を見る。
「ルル、追加で魔力を送り込む事ができるかしら?」
「できない事はないですが、そんな事をしたら、次に放つ分の魔力が……!」
「なら、私があげるっすよ」
謎の団結力を見せる女性陣。
というか、バカ令嬢は変態奴隷と対立しそうな空気醸し出してただろ。
なに意気投合してんだよ。
いや、今はそれどころじゃない。
彼女達が和気藹々と作戦会議を立てている内に、俺は現在進行形で腹痛に耐えるオークキングに逃げるよう促す。
「逃げろ、オークキング!じゃないと、お前、ガチでう○こ漏らすぞ!」
「ふっ、これでも俺は魔王軍四天王の1人……!便意の1つ2つ耐えてみせる……ぐぅっ………!!」
「お前の肛門括約筋と責任感が強いのは分かった!けど、今は逃げる事を優先するべきだ!今すぐ逃げないと、う○こ漏らす以上の痴態を晒す事になるぞ!!」
「そのような事……、この身が魔人に堕ちた時から覚悟している……!」
瞳に炎を灯しながら、カッコ良い事を言うオークキング。
だが、彼の想定している最悪な事態は甘過ぎた。
「レイのお陰でルルの魔力も回復したし、重ね掛けしてみましょうか。便意&性感度&精力を+9999にしてみましょう」
身の毛もよだつ事を提案するバカ令嬢。
「あ、だったら、精力よりも知能+9999にしたら面白いと思いますよ、お嬢様」
情け容赦ない進言をする変態奴隷。
「良いですね、レイさん。知能がめちゃくちゃ高かったら、全て出し切った後の後悔がより絶望感増すと思いますし」
ドS感タップリな笑みを浮かべる腹ペコ僧侶。
「……流石に、そこまで、しない……よな?」
バカ令嬢達の恐ろしさを知らないオークキングは呑気な言葉を口から吐き出した。
「残念だったな、オークキング。お前の所のお嬢は知らないが、あのバカ令嬢とサディストに目覚めつつある腹ペコ僧侶は本気だ。現にあいつらは過去に男2人を公衆の面前で強制絶頂させた前科がある」
「人の尊厳を何だと思っているんだ、彼女達は……!?」
「「「いずれ朽ちて無くなるもの」」」」
「すまない、魔王様……!俺は初めて貴方の命に背く!!!!」
「うん、それが正しい判断だ!!」
けど、遅過ぎる決断だった。
漏れないように耐えながら、オークキングはこの場から離脱しようとする。
その背後をス○シウム光線みたいな構えで狙おうとする腹ペコ僧侶。
俺は刀を抜くと、腹ペコ僧侶が放った魔法を叩き斬った。
「なっ……!?少年……!?」
「逃げろ、オークキング。お前の退路は俺が守ってやる」
固唾を飲みながら、俺はバカ令嬢達と向かい合う。
彼女達は何故か偉そうな態度を取っていた。
「そっち側に着いたって事は、──何やっても良いって事っすね?」
「いや、そういう訳じゃないけど」
「コウさん、退いてください今日の夕食が逃げてしまいます!」
「ルル、あれは人だ。食い物じゃない」
「やっぱ、コウって女よりも男の方が好きじゃ……!」
「俺は普通に女の子の方が好きだぞ」
「なら、何でそっちに着いているのよ!!??」
「人の尊厳を尊重しているから」
生き生きとした様子で彼女達は俺にブーブー文句を垂れる。
バカ令嬢と腹ペコ僧侶だけで持て余していたのに、変態奴隷が加入した所為で俺の手に負える代物じゃなくなった。
……だから、力尽くでも彼女達の暴走を止める必要が出てきた訳で。
「すまん、少年……!恩に着る……!!」
一刻も早くこの場からにげだそうとするオークキングに追撃を仕掛けようとするバカ令嬢達。
……そろそろ調子に乗っている彼女達にお灸を据えないと。
てか、誰かが止めないと災厄級の事が起こりかねん。
再度、唾を飲み込みながら、頭すっからかんみたいな笑みを浮かべる彼女達と向かい合う。
何も考えていなさそうだった。
「歯向かうなら容赦しないっすよ!」
「あの時のリベンジ、ここでやらせて貰います!」
「コウの心をあの男から取り戻すわ!」
やる気満々な彼女達に内心怒りを抱きながら、俺は深呼吸する。
そして、怒りがあまり外に出ないように努めつつ、こう言った。
「──お前ら、ガチでいい加減にしろよ?」
そこから始まる第1回内乱パーティ。
勝敗は言わずもがな。
……その後の事は俺の精神衛生上よろしくないので敢えて語らない。
何でこんな所に来て、俺は同年代らしき女の子達相手に人の尊厳とやらを説かなきゃいけないんだろう?
ああ、……早くお家に帰りたい。
ここまで読んでくれた方、ブクマしてくれた方、評価ポイントを送ってくださった方に感謝の言葉を申し上げます。
皆様のお陰で本作品のブクマが100件超える事ができました(6月22日現在)。
この場を借りて、いつも読んでくれている方、ブクマしてくれた方、評価ポイントを送ってくださった方、感想を書いてくれた方、レビューを書いてくれた方に厚くお礼を申し上げます。
本当にありがとうございます。
前作「価値あるものに花束を」に続き、皆さんのお陰で二作連続ブクマ100件超えを達成する事ができました。
自分のような未熟者が二作連続ブクマ100件を達成できたのは皆様のお陰です。
重ね重ね御礼申し上げます。
また、先日、勇人様に本作品の感想を頂きました。
勇人様、わざわざ貴重な時間を割いて、本作品の感想を書いて頂き、本当にありがとうございます。
この場を借りて、厚くお礼を申し上げます。
次の更新は明日の12時頃を予定しております。
これからも完結目指して更新しますのでお付き合いよろしくお願い致します。




